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ヒトラーを真似て支持率に執着する安倍政権の衆愚操作−(田中良紹氏)
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13th Mar 2017 市村 悦延 · @hellotomhanks
「またか」と思わせる安倍政権の衆愚操作である。政権を直撃している森友学園問題から国民の目をそらすように、安倍総理は唐突に南スーダンから陸上自衛隊を撤退させる方針を発表した。
「またか」というのは、昨年暮れにもオバマ政権の逆鱗に触れて政権の支持率に影響が出かねないと思われた時、安倍総理は唐突に真珠湾訪問を発表して「反戦平和」を金科玉条とする国内の大衆心理に迎合しようとした(2016年12月5日ブログ「オバマ政権の怒りに触れ真珠湾訪問のカードを切った安倍総理」)。
しかし安倍政権の目的は都合の悪いことから国民の目をそらし、支持率の維持だけを考えているため、政策的に一貫した考えがあるわけではない。その場しのぎのポーズに過ぎないことが見え見えなのだ。
ただ「反戦平和」を念仏のように唱えれば世界は平和になると考える大衆には、時折その気持ちに寄り添うポーズをして見せることが有効な操作方法になることを安倍政権は知っている。
それはかつてヒトラーが用いた政治手法そのものである。ヒトラーは政権を獲得すると「平和演説」を行って諸外国に好感を与えると同時に、第一次大戦で敗れたドイツ国民の「反戦平和」感情を取り込むことに成功した。
そしてヒトラーは中央銀行総裁のシャハトと組んで経済再建に乗り出し、平和の祭典オリンピックに力を入れ、第一次大戦後のドイツ民主化によって力を得た既成勢力と敵対しながら財界、官僚、軍部など伝統的エリート層と友好関係を結んだ。
そのヒトラーが最も力を入れたのは国民の支持率である。そのため「失業」の撲滅、アウトバーン建設など公共事業の拡充、そして「強いドイツを目指す」ことを宣伝し、「民衆宰相」、「平和愛好家」のイメージを植え付け、人気の度合いを測るため国民投票を4度も行った。
かつて麻生副総理は「ナチスの手口を真似たらどうか」と発言したことがあるが、フーテンに言わせれば安倍政権は十分に真似している。黒田日銀総裁と組んでアベノミクスの幻想を振りまき、東京オリンピックは自分が主役とばかり力を入れ、戦後民主化政策の影響を受けたメディアを潰し、財界、官僚、軍部などの伝統的エリート層と友好関係を結んでいる。
そしてヒトラー同様に支持率には異常なほど気を遣う。それが昨年末の真珠湾訪問や今回の南スーダンからの自衛隊撤退のように「反戦平和」感情に寄り添うポーズとなるのだが、しかし安倍総理は天才ヒトラーにはなれない。そう思わせるのが昨今の情勢である。
ヒトラーはシャハトと組んで経済再建に成功したがアベノミクスは「まだ道半ば」と言うしかない。東京オリンピックの主役の座も小池百合子東京都知事という「壁」が現れた。そして森友学園の問題から目をそらせようと発表された南スーダンからの自衛隊撤退は、あまりにもタイミングが露骨すぎて逆に問題の深刻さを浮き彫りにしている。
フーテンは森友問題が国会で取り上げられた直後に、問題の小学校には認可が下りず、籠池理事長を「トカゲのしっぽ切り」をすることで問題を終息させるだろうと思った。それ以外に安倍政権が存続できる方法はないと思われたからである。
2月17日の衆議院予算委員会で民進党が不可解な国有地払い下げ問題を追及した時、安倍総理は籠池理事長を自分の考え方に共鳴してくれる人物と好意的な見方を示し、夫人も教育熱心さに打たれて名誉校長を引き受けたと答弁したが、同時に「国有地払い下げに関りがあったら総理大臣も衆議院議員も辞める」と強すぎる否定をしたことでフーテンに「おっ!」と思わせた。
そして1週間後には小学校の名誉校長であった昭恵夫人が辞任し安倍総理の答弁も一転する。夫人は無理矢理名誉校長を引き受けさせられ、自分にも「しつこく」講演依頼をしてきた人物として籠池理事長を非難した。そこでフーテンは「トカゲのしっぽ切りになる」とブログに書いた。(2017年2月25日ブログ「隠蔽」と言われて気色ばみ逆に「隠蔽工作」を感じさせた安倍総理)
籠池理事長には然るべき利益を約束して表舞台から消えてもらうシナリオが作られているはずだと思った。一方で問題の中枢にいるのは安倍総理夫妻だけではない。森友学園の教育方針を評価し「認可適当」と判断した大阪府の松井一郎知事がどうなるかという問題もある。すると松井知事は猛然と籠池理事長を攻撃し始め、これで「しっぽ」は籠池理事長ただ一人と思わせた。
ところが3月9日に「しっぽ」が反撃に出てフーテンはシナリオが未完成であることを知った。報道陣の前に姿を現した籠池理事長は「大阪府の認可」をあくまでも求め、インターネットにも30分ほどの動画映像を投稿して「しっぽ切りはやめてほしい」と訴えた。そして仲間であるはずの稲田防衛大臣が「10年前にしか会っていない」と言ったことや、安倍総理の「しつこい」発言を非難したのである。
これでは国会の参考人招致を与党が認めることは出来ないはずである。安倍政権は籠池理事長というトラを野に放ってしまったのだ。しかしその翌日に籠池理事長は一転して大阪府に対し小学校設立申請を取り下げ、安倍政権の意向に沿う形を取りながら、夕方に記者会見を行うことになった。
するとほぼ同じタイミングで安倍総理が「ぶら下がり」という緊急時に行う記者会見スタイルで、南スーダンからの自衛隊撤退を発表した。どこから見ても籠池会見の注目度を下げさせようとする発表の仕方である。
自衛隊の撤退は昨年9月から政府内で検討されていたと後付けで言うが、国会では撤退する必要はないとの認識を示しており、説明はちぐはぐである。総理日程から分かるのは籠池理事長が反撃の姿勢を見せた9日の夕方5時22分から1時間半ほどNSC(国家安全保障会議)が開かれ、翌10日の籠池理事長の会見が始まった直後の夕方5時51分から再びNSCが10分ほど開かれ、6時05分から安倍総理は「ぶら下がり」で自衛隊撤退を発表した。
また8日の日程を見ると夕方5時前から40分ほど国家安全保障局長、内閣情報官、外務省総合外交政策局長、防衛省防衛政策局長、統合幕僚長による会議が行われているので撤退方針はそこで決められた可能性が高い。つまりその頃から急きょ撤退方針を発表する事を考え、籠池理事長に申請取り下げをさせる日に発表することを考えたとみられる。
それほどに森友学園問題は安倍総理にとって致命的な問題であるということだ。しかし籠池理事長の会見を見るとシナリオはまだ未完成のままのようだ。小学校設立の申請を取り下げることは承諾したが、校舎の解体に応ずる考えはなく、本人はあくまでも開校延期と主張している。従って森友問題は幕引きにならない。
しかも「第二の森友」と言われる問題も明らかになった。こちらは安倍総理の長年の友人が経営する大学に37億円の価格のついた市有地が無償で譲渡され、その学校法人が経営する保育園の名誉園長を昭恵夫人が務めているという。森友学園と同じ構図なのだ。従って問題が終息することにはならない。
さらに「蜜月」とか「満額回答」と衆愚が喜んだ米国のトランプ政権との関係も喜んではいられない。ロス商務長官は記者会見で「日米の貿易協定は優先度が高い」と述べ、二国間交渉で農産物の市場開放を要求する姿勢を明らかにした。「ネギ鴨外交」は国益にならないことの証である。4月から始まる麻生副総理とペンス副大統領の経済対話が思いやられる。
トランプ大統領によるゴルフ接待は何を生み出したのか、安全保障で米国は100%日本の側に立つと言われても、米国議会を10年余見てきたフーテンは100%その言葉を信ずる気になどならない。政治家の言葉を信用する人間はただの「お人好しに過ぎない」ことは世界の常識である。
安倍政権は追い詰められてきた。そして追い詰められてくれば国民に支持されそうなカードを次々に切ってくる。それが国益になるかと言えばそれはまた別の話である。それよりも夫婦そろって「お友達」に利権を与えるような政治、仲間内の思想を優先しそれを広めるために国民の税金を使い捨てにする政治が目の前にある。それを何とかしなければこの国に未来はないとフーテンは考える。
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