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首相は「安倍晋三記念小学校」問題で"天敵"朝日に勝てるか?
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/column/2017/03/12/post-1449.html
サンデー毎日 2017年3月12日号
牧太郎の青い空白い雲 610
なぜか、『産経新聞』しか報道してないが......安倍晋三首相は『朝日新聞』に勝った! トランプ大統領も『ニューヨーク・タイムズ』に勝った! という自慢話があるらしい。
安倍さん贔屓(びいき)の『産経新聞』が2月11日付の紙面で、トランプ氏が日米ゴルフ会談で安倍さんを厚遇した「理由」をこう解説した。
〈昨年11月の米ニューヨークのトランプタワーでの初会談で、軽くゴルフ談議をした後、安倍はこう切り出した。
「実はあなたと私には共通点がある」
怪訝(けげん)な顔をするトランプを横目に安倍は続けた。
「あなたはニューヨーク・タイムズ(NYT)に徹底的にたたかれた。私もNYTと提携している朝日新聞に徹底的にたたかれた。だが、私は勝った...」
これを聞いたトランプは右手の親指を突き立ててこう言った。
「俺も勝った!」
トランプの警戒心はここで吹っ飛んだと思われる〉
何とも子供じみたエピソードだが、あの二人ならありそうな話だ。
少なくとも、安倍さんは不倶戴天(ふぐたいてん)の「朝日に勝った!」と思っている。
× × ×
確かに、安倍さんは「慰安婦問題」で『朝日新聞』の報道を批判し、世論からも少なからず朝日バッシングがあった。留飲を下げているのかもしれない。でも、天下の朝日新聞社がこのまま引き下がるとも思えない。事実、逆襲を始めた。教育勅語騒動などに揺れる「安倍晋三記念小学校」問題だ。
安倍夫人が名誉校長を務める私立「瑞穂の國記念小學院」(大阪府豊中市・今年4月開校予定)の用地として、学校法人「森友学園」(大阪市)に対して、近畿財務局が近隣国有地の10分の1という格安価格(1億3400万円)で国有地を売却していた。
これまでの報道では、問題の新設小学校を運営する「森友学園」が校舎建設中に新たな「埋設物」が見つかった!と主張、その撤去費用として土地を管理する国土交通省大阪航空局が8億円以上もの金額を算出した。
要するに、普通なら約9・5億円する土地を撤去費を差し引いた約1・3億円で手に入れたことになる。激激激安!というより「タダ同然」ではないか。
積算根拠に基づけば、現場で入れ替えられた土壌の量は「ダンプカー4000台分」に相当するという。隣には公園もある市街地で、4000台のダンプカーが往来したら「地域の大問題」になっておかしくないというのだが......そんな形跡はない。
疑ってみれば「ありもしない埋蔵物」をでっち上げた「詐欺行為」と見えなくもない。
× × ×
この小学校の総裁・校長の籠池泰典氏(森友学園理事長)は信念の人である。教育勅語的精神に基づく教育をする!と宣言する愛国の人である。 安倍首相の支持基盤「日本会議」大阪支部の幹部(代表委員)でもある。分かりやすく言えば「極右の人」なのだ。
〈安倍晋三内閣総理大臣のように身近な人をモデルにし、偉人を手本とする〉
信念の人ではあるが、(当方から見れば)お世辞も上手な「商売人」にも見える。 その総裁が週刊誌のインタビュー応じて、こう言い放った。
〈いかにも朝日新聞とか新左翼による、日本の歴史と伝統を潰そうという動きですよ! 絶滅危惧種みたいな人たちが朝日と手を組んで我々の学校を潰そうとしている〉
そこで、「安倍晋三記念小学校」問題は俄然(がぜん)、「朝日新聞vs.安倍首相のバトル」の様相を帯びた。『朝日新聞』が勝つか?安倍さんが返り討ちにするのか?
事態を聞かされたと思われる?トランプ氏も気が気ではないだろう。先進国の中で、トランプ氏と盟友になってくれたのは、安倍さんだけなのだから。
× × ×
だが、「朝日vs.安倍首相」バトルを観戦ばかりしてはいられない。なぜなら、この小学校の教育は独裁者の弟が兄を暗殺した「あの将軍様の国」にそっくりなのだ。
森友学園の幼稚園の運動会では、園児が「日本を悪者にする中国や韓国は心を改めて! 安倍首相は頑張れ!」と宣言させるとも報じられている。「お国のために死ね」と滅私奉公を国民に強制した「教育勅語」。これを園児に暗唱させるのだ。
「安倍晋三記念小学校」は下手をすると、「安倍晋三の国」のために暴走する若者を育てるのではあるまいか? またぞろ安倍さんが勝ったら......暗黒時代が急スピードでやって来る予感がする。
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