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幻冬舎plus
• 2017年02月26日 12:00
森友学園の8億円より、日銀の国債買い入れ500兆円の方が深刻
- 小幡 績
私の体調不良で間隔が空いてしまった。お詫びします。間が空きすぎたので、今日は少し違った話を。
国会やメディアでは、安倍首相の夫人が名誉校長をやっていた小学校、あるいはそれに関連する不動産取引のことが話題になっている。
しかし、「経済政策大全」としては今のところ関心がない。これは経済問題ではなく、政治問題だからだ。
経済政策の観点から、この疑惑に今のところ関心がない理由は、明確な「経済的な歪(ゆがみ)」が生じていない(判明していない)からだ。
「経済的な歪」とは何だろうか。
それは「効率性の喪失」である。
「効率性」とは何か。
「資源の最適配分」である。
「資源の最適配分」には、人々の時間とエネルギーの配分も含まれる。
時間配分、労働資本の投下の最適配分である。
この小学校の案件が問題とされているのは、この学校の経営者に破格の条件で土地が払い下げられたのではないか、あるいは廃棄物の処理代が過大に支払われたのではないか、ということだ。金額でいうと8億円とか9億円というオーダーである。
せいぜいそれだけの話だ。
この業者、あるいは経営者が不当に8億円をせしめたとして、それだけのことだ。財政支出の中には、何千億円という無駄があるし、そもそもオリンピックを自国でやることに意味がないと思っている私にとっては4兆円の無駄の方が大きいし、それよりも500兆円の日銀の国債買い入れの方が問題だ。つまり、問題としては限りなく小さな問題だ、ということだ。
つまり、第一に、金額が小さい。歪があったとしても小さい案件であり、相対的な重要性はない。
そして、第二に、この業者あるいは学校経営者が不当に8億円をせしめたとしても「効率性」の影響は不明である。つまり、誰が8億円をとったとしても、それは誰かが損をして(納税者が)、誰かが得をした(この業者)だけのことであって、全体ではカネは失われていない。
経済的効率性の観点から望ましくない政策というのは、資源配分を歪める政策である。所得移転はどうでもいい。誰が得をしても構わないのである。だから、8億円がこの業者に流れた、というよりは、この土地が、この業者以外に利用させた方が有効活用できたかどうか、というところにかかっている。8億円が誰のところにいこうが経済的には関係ない。純粋に政治的な問題である。
もし、8億円の方向性が逆であれば、問題である。業者が政治家に8億円を賄賂(わいろ)として渡したのであれば、それはより深刻な問題となる可能性がある。つまり、経済学の観点から賄賂の何が問題かというと、政治家が私服を肥やすことはどうでもよく、賄賂をもらったことによって、政策決定に歪が生じるかどうかの問題なのだ。
賛否を呼びそうな例えであるが、ある知事が、別荘に公用車で行こうが何をしようが、それがむしろ週末で勤務時間外であれば、どうでもいいのである。高々数千万円の無駄遣いである。それよりも、支持率を上げるために、公共の施設のオープンを延期したり、世界的なイベントの準備を遅らせ、開催場所を変更したりすることの方がより深刻な問題なのである。
さらに言えば、経済政策においては、競争を促進することが望ましいと思われているが、実はそうではない。競争は経済にマイナス、成長にマイナスである可能性がある。それは次回に。
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大前研一氏、日本は野心に満ちた若者少ないため出世できる
NEWSポストセブン 2017年2月24日 07時00分 (2017年2月24日 07時33分 更新)
「日本はぬるま湯だ」と指摘する大前研一氏
[拡大写真]
社会学者の上野千鶴子氏が「平等に貧しくなろう」と中日新聞・東京新聞で語ったのを契機に、ネット上でも大きな議論が巻き起こった。日本は豊かなのか貧しいのか、低成長はよいことなのか悪なのか? 経営コンサルタントの大前研一氏が、日本にとって「低成長」とはどんな意味をもつのかについて解説する。
* * *
今年に入ってから新聞・雑誌を中心に「低成長論争」が喧(かまびす)しくなっている。「ゼロ成長は悪なのか?」「成長よりも成熟を」といった低成長容認論に対し、「成長至上主義を放棄すべきではない」「成長をあきらめていたら国際競争力を失う」などの反論が相次いでいるのだ。
しかし、私はどちらの見方にも与しない。そもそも日本は、バブル崩壊後25年にわたって低成長やマイナス成長が常態化している。安倍晋三首相と黒田東彦(はるひこ)・日本銀行総裁は4年前からアベクロノミクスで2%成長を目指しているわけだが、一向に成長率は上向いていない。それは日本の人口、とくに労働力人口が減り続けているのだから当たり前のことであり、低成長が良いとか悪いとか、容認するとかしないとかいうレベルの話ではないのである。
もはや日本は成長しえない、という前提に立った場合、大きく分けて二つの議論がある。一つは「日本という国家の選択肢はどうあるべきか?」、もう一つは「そこに暮らす国民一人一人はどうすべきか?」。これをごちゃごちゃにすると問題の本質が見えなくなる。
まず、国家の問題としてとらえると、かつて大航海時代に覇権を握ったスペインやポルトガル、イタリア、オランダ、イギリスはどうなったか?
成長が止まり長期衰退・停滞しているが、大破局は起きていない。短期的な政策の失敗で若者の失業率が40%に達したり、ホームレスが増加したりはしている。しかし、中流層の生活レベルや住宅環境を見ると、けっこう豊かだ。庭付き一戸建てや1か月以上のバケーションは当たり前だし、日本のように新しい家電製品があふれているわけではないが、必要なものは全部そろっている。食生活は健康的で、ワインも日常的に飲んでいる。
だから、日本もそういうフェーズに入ったと考えるべきなのだ。人口が増える見込みがない以上、バブル崩壊以前のような高成長は不可能であり、成長率を国家目標にしてジタバタしても仕方がないのである。
そもそも、日本は世界から見てどんな国なのか? かつて私がアドバイザーを務めていたマレーシアのマハティール首相(当時)は「日本は社会が安定しているし、国民が勤勉でインフラが整い、高度な技術も持っている。もし日本の首相とマレーシアの首相が交代できるなら、私は日本の首相をやりたい」と言っていた。
最近も、中国最大の電子商取引企業アリババ・グループ(阿里巴巴集団)の創業者ジャック・マー(馬雲)会長が、アメリカのドナルド・トランプ大統領と会談した際に、日本は理想的な国だと述べている。
国会やメディアなどでは、国家的な課題として待機児童問題や働き方改革、高校無償化などが俎上に載せられているが、いずれも致命的な問題ではない。たとえば、正社員になれない若い人たちも健康でやる気があったら、時給1000円前後のアルバイトで食いつないでいけるし、そこから発憤すれば店長や管理職にもなれるだろう。野心に満ちた若者が少ないので、やる気さえあれば出世していけるのだ。
他の国々には飢餓や難民問題など、もっと逼迫(ひっぱく)した緊急課題がたくさんある。それに比べれば、日本は格段に恵まれた“ぬるま湯社会”である。
※週刊ポスト2017年3月3日号
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