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「五輪のため」がすべてに優先 共謀罪賛成多数世論に唖然
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/200076
2017年2月22日 日刊ゲンダイ 文字お越し
国会前では「共謀罪」反対の声が上がるが…(C)日刊ゲンダイ
驚きの結果である。朝日新聞が18、19日に行った世論調査。「共謀罪」の名前を付け替えた「テロ等準備罪」を設ける法案の賛否について聞いたところ、賛成が44%で反対25%を大きく上回ったのだ。
解せないのは、半数を超える55%が「一般の人までもが取り締まられる不安」を感じているにもかかわらず、「賛成」が多数だという事実である。不安なのに、なぜ賛成なのか? 「この法律ができないと、国際条約を批准できず、2020年の東京五輪が開けない」――。「五輪のため」「テロ対策のため」とうそぶく安倍政権の脅しの手口に、国民が惑わされているとしか思えない。
政府がなんと屁理屈をこねようが、「テロ等準備罪」は、行動に移してもいない「内心の意思」が罰せられるという点で、過去3度廃案となった“悪法”と同じだ。「対象犯罪を絞り込む」というが、それでもまだ277もある。
「組織的犯罪集団」に限定するというのも定義が曖昧だ。政府は「一般人は対象にならない」と説明してきたが、最近になって「犯罪を実行する団体に一変したと認められる場合には組織的犯罪集団に当たり得る」と見解を修正している。何をもってして、「一変」と判断するのか。警察や検察のサジ加減で、一般人も「犯罪集団」にされてしまう危険性はあるのである。
その結果、この国はどうなるのか。政府にとって都合の悪い運動でもしようものなら、犯罪集団に認定。その摘発のために、警察権力が「日常的な監視・盗聴」を行う。国民は摘発を恐れて、自由にものが言えなくなる。内心の自由が奪われる。まさに「治安維持法」に縛られた戦前同様の恐怖社会である。
■「スノーデン」の警告が日本でも現実に
いや、戦前以上かもしれない。19日付の毎日新聞に掲載された作家の中島京子氏の「テロ等準備罪」についてのコラムは、示唆に富んでいる。
〈戦前のよう、というフレーズもたしかに怖いけれども、私が怖いのは、21世紀の私たちの周りには、戦前のスパイや憲兵とは比べ物にならないほど精緻な情報収集システムが構築されていることだ。そう、インターネットや監視カメラは、不特定多数を監視する〉
中島氏は、公開中の映画「スノーデン」を題材に、国家権力が携帯電話やパソコンから、いとも簡単に個人情報を抜き取ってしまう現代社会の脅威に警鐘を鳴らし、こう続ける。
〈その人が「危険」だと、なにをもって決めるのか。警察や情報機関がある人を「危険」と決めたら、その人もその周囲も、プライバシーは際限なく暴かれる。そんなSFめいた世界は、実際に存在する。「テロ等準備罪」はそうした権力にお墨付きを与えてしまう〉
あらためて中島氏に聞くと、こう言った。
「『壁に耳あり』と言いますが、今は昔のようにスパイが壁に張り付いてという悠長な話ではありません。こうして電話している会話も、誰が聴いているか分からないし、盗聴できるシステムが既に出来上がっているのですから。ところが、欧州などと違って、日本ではこれまでのところ、市民社会を脅かす監視システムに対する拒絶反応が少ない。そんな中で共謀罪が成立してしまったら、政府や権力のやりたい放題になってしまいます」
「日本会議」など右派勢力に全面的に支えられている安倍政権は、歴代自民党政権の中でもとりわけ国家の下に国民を統制したいと熱望する政権である。よりによって、そんな暗黒政権にプライバシーの全面開放を認めてしまってもいいというのか。それが今の日本の世論だとすれば、愚かとしか言いようがない。
すべてが「五輪」のため(C)日刊ゲンダイ
「五輪の旗」を振る安倍首相に同調する国民の怖さ
特定秘密保護法、安保法制に続き、今度は共謀罪。安倍政権が目指す国家像に、「いつか来た道」を危惧する声がますます増えている。
そんな中での安倍政権に対する世論の高支持率は、実に危険極まりない。戦前の関東軍の暴走を支持した世論の熱狂を思い出させる。
熱狂の歴史……。1929年に起きたニューヨーク株式市場の大暴落と、それに続く世界大恐慌。日本の景気も急速に悪化し、不況に陥った。そこで出てきたのが、「不況を打開するには、満州を占領するしかない」という世論の高まりだった。
これが関東軍をたきつけ、外務省の慎重論を潰して、張作霖爆殺から満州事変につながっていった。
日本全体が、えも言われぬ空気に流され、何が正しいか分からなくなる倒錯の世界。そこに「五輪のため」ならと共謀罪を受け入れようとする今のムードとの類似を感じてしまうのだ。
幾多の経済小説とともに戦争に関係する名作を残している作家・城山三郎に「旗」という詩がある。冒頭の一部を記すと……。
旗振るな
旗振らすな
旗伏せよ
旗たため
社旗も 校旗も
国々の旗も
国策なる旗も
運動という名の旗も
ひとみなひとり
ひとりには
ひとつの命
理系学生に与えられた徴兵猶予を返上し、自ら大日本帝国海軍に志願入隊した城山は、後にそのことを悔やみつつ、〈国をあげての大合唱のおそろしさ、愚かさ〉とつづっている。あの大戦から得た教訓だ。
「城山三郎の昭和」の著者である評論家の佐高信氏がこう言う。
「この詩で城山三郎が言いたかったのは、『同調圧力になびくな』ということでしょう。この国では、世の中の流れに異論を唱えるのが難しい。そういう空気がある。もちろん、間違った方向になびかせるものに対する抵抗の旗は掲げなければいけないと思いますが、同調の旗は掲げてはなりません」
■今は「いつか来た道」の瀬戸際
戦前の「不況を克服するため」が、「五輪でテロを防ぐため」に置き換えられたのが現代だ。
「五輪の旗」を振る安倍政権に、国民が同調し、なびいている。冷静に考えれば、「五輪」がすべてに優先するなんておかしな話だということは誰でも分かるはずだ。五輪のためなら、国民が警察権力の監視下に置かれていいのか。言論の自由が制限されてもいいのか。基本的人権が侵害されてもいいのか。絶対にそんなことはない。
「『テロ』と聞けば誰もが怖いと思うし、『五輪のため』と言われれば、何となく納得してしまう。しかし、政府が『批准が必要』だとしている国際犯罪防止条約は、もともとは国境を超えた国際犯罪を取り締まるためのもので、『テロ対策』ではなかったそうですね。法律を作るのに『五輪』や『テロ』という言葉で我々を騙そうとしている政府ですから、実際に法律ができたら、恣意的に運用する危険は非常に高いと思います」(中島京子氏=前出)
21日、民進党が条約締結に「共謀罪は無用」との見解をまとめた。一方、政府は着々と法案提出への準備を進めている。
日刊ゲンダイのインタビューで日弁連の共謀罪法案対策本部事務局長の山下幸夫氏が、「法案が提出されたら、短期間であっという間に通ってしまう。法案が出されたら終わり。法案を出させないように運動するしかありません」と言っていた。再び過ちを繰り返すのか。今、その瀬戸際であることを、国民は肝に銘じるべきだ。
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