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2017年2月20日 橘玲
マスコミが「天下りをちょっと批判してあとは見て見ぬ振り」の理由
[橘玲の日々刻々]
トランプ新大統領が引き起こす混乱はいまだ収まる気配がありませんが、今回のテーマは文部科学省による天下りの斡旋です。なぜかというと、いまはたくさんにひとが怒っていますが、この話題はすぐに消えていく運命にあるからです。
すでに報じられているように、文科省の人事課は、OB団体が天下りを組織的に斡旋する手の込んだシステムを構築し、それを隠蔽するウソの説明の想定問答までつくっていました。「学の独立」を高らかに掲げる私立大学の雄が、文科省の指示に従って再就職等監視委員会の調査で口裏を合わせていたことも暴露され、教育行政に対する信用は大きく失墜しました。――この私立大学はなぜか「被害者」の立場に収まっていますが、ふつうは違法行為の幇助というのでしょう。
不思議なのは、文科省をきびしく批判するマスメディアが、どうすれば天下りを根絶できるかを説明しないことです。
ピラミッド型の組織は、その構造上、昇進にともなって余剰人員を減らしていかなくては成り立ちません。ところが日本の企業や官庁は入社時に終身雇用を約束して、その対価として組織への忠誠を求めます。ちょっと考えればわかるように、もともとこれは両立不可能です。
高度経済成長の時代は、大企業は子会社や取引先に中高年の社員を押しつけてこの矛盾を糊塗してきましたが、市場の縮小と業績悪化でそんな余裕はなくなり、日本を代表する一流企業にまで「追い出し部屋」が蔓延しました。それにともなって、官僚の天下りに冷たい視線が集まるようになったのです。
日本の官庁は、入社年次を「同期」として、「昇進は年次が上の同期を越えない」というきわめて特殊なルールで運営されています。この人事制度では、ピラミッドの頂点に立つ事務次官が決まれば、同期はすべて省を去らなければなりません。ということは、課長くらいまでは平等に昇進しても、40代半ばからは徐々に人員を間引いていく必要があります。しかし彼らも「終身雇用」なのですから、省庁の人事課のもっとも重要な仕事は退職者の職探しになるのです。
天下りの根絶に最初に取り組んだのは小泉政権で、官僚が民間企業に転職し、民間企業からも官庁幹部に登用するアメリカ型の「リボルビング(回転)ドア」を目指しました。この抜本改革が頓挫したのは、民間企業も終身雇用の中高年社員の処遇に困り果てており、50代の「元高級官僚」の席など、よほどのお土産をつけなければ用意できるはずがなかったからです。
2013年に前事務次官がOBの再就職の口利きをした問題が発覚した国土交通省では、その年の退職者がこぞってハローワークに登録したものの、「そんな職はない」と断れるというマンガのような事態も起きたとのことです。自分で再就職できないのなら、組織が面倒をみるほかありません。
こうして、官僚制度を維持するには天下りは仕方がないという暗黙の了解が生まれました。文科省が批判されたのは、そのやり方があまりに露骨だったからです。
原理的に解決不可能な問題を議論しても意味がありません。だから今回も、ちょっと騒いで、あとは見て見ぬ振りをすることになるでしょう。
参考:朝日新聞2012年2月2日朝刊「翌日には再就職1割」
『週刊プレイボーイ』2017年2月13日発売号に掲載
橘 玲(たちばな あきら)
作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(ダイヤモンド社)『「言ってはいけない残酷すぎる真実』(新潮新書)など。最新刊は、小説『ダブルマリッジ』(文藝春秋刊)。
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http://diamond.jp/articles/-/118728
2017年2月21日 安藤広大 [識学代表取締役社長]
部下を叱れない「ダメ上司」が急増している理由
最近、「部下に人気のある上司」が理想とされているせいか、「部下を叱ることができない上司が増えている」という話を頻繁に聞くようになった。なぜ、部下を叱ることができないのか、なぜ、叱る必要があるのか。(株式会社識学代表取締役社長、組織コンサルタント 安藤広大)
「部下からの評価」を
恐れている
「部下を叱ることができない上司が増えてきている」と、よく耳にします。私たちがコンサルティングをさせていただいている会社でもよく相談を受けます。
では、なぜ、部下を叱ることができないのでしょうか?
まず、ここで「叱る」という行為についての定義を合わせておきたいと思います。
「叱る」とは「目下の者の言動のよくない点などを指摘して、強くとがめる」と辞書(デジタル大辞泉)に書いてあります。
やはり、組織を運営していくにあたっては、「よくない」ことを部下がしている時には「叱る」必要はありそうです。また、部下を成長させていくためにも、管理者としては、「叱る」必要はありそうです。成長をさせるためには、「よくない点の指摘」は必要だからです。
それでは、業務上、管理者として必要な「部下を叱る」ということが、なぜ、できない人が増えてきているのでしょうか。
一つは、「部下からの“評価(評判)”が下がるのが怖い」からです。
本来は、上司は部下からの評判を気にする必要がありません。というのも、上司は、「チームの成績」や「部下の成長」に責任ある立場であるために、意思決定をするという権限を持つからです。つまり、チームの成績や部下の成長に「責任のない立場の人間」には、本来「その意思決定を評価する」という資格はありません。
もちろん、上司はその意思決定によって出た結果について、その上の上司から評価されます。上司が社内にいない社長やCEOであれば、市場から評価をされます。
それなのに、本来必要のない「部下からの評判が下がること」や「嫌われること」を恐れて、必要である部下を「叱る」ことができなくなっているのです。
人気がある上司が
「良い上司」の間違い
なぜ、このような勘違いが起きてしまっているのでしょうか――。
それには、最近の社会情勢や風潮が大きく影響をしています。昨今の「流行」は部下から人気を獲得できる上司こそが「良い上司」とされる傾向があるからです。
しかし、考えてみれば、これほど無責任なことはありません。なぜなら、上司は部下よりも「遠い未来」を見なければならない責任を負っているからです。
だからこそ、「今」部下からの評判が下がろうとも、「今」部下からの人気が獲得できなくとも、やるべきことをやる。つまり、「未来のためにこれが正しい」と思うのであれば、「部下にとって必要だ」と思うのであれば、「叱る」ことをしなければいけません。
自ら「部下から嫌われること」や「評判が下がること」を恐れ、「部下を叱る」ことから逃げることで、結果的に、チームが負けてしまう。あるいは、「部下の成長機会を奪う」ということを認識しても、まだ「部下を叱る」ことができないのであれば、管理者は辞めた方がいいかもしれません。
そして、「叱る」ことのできないもう一つの理由は「ルールがない」あるいは「ルールを認識していない」ということです。
「ルール」があれば
叱る理由が明確になる
ルールがある状態で「叱る」のは、あまり、労力を割かなくてすみます。「ルール違反」を指摘するだけだからです。
例えば、「赤信号では道を渡っていけない」というルールと、「交通違反は警察が取り締まる」というルールがあるときに、赤信号を渡っている人に対して、警察官がルール違反を指摘することは、躊躇するようなことではないはずです(もちろん、中には心理的に躊躇される警察官もおられるかとは思いますが)。
つまり、双方認識している「ルール」が合致しているときに、「叱る」という行為は、ただルール違反を指摘する行為を無機質に実行しているだけに過ぎず、「叱る」時の相手にどう思われるかという心理的負担や、言うことを聞かせるために「マウント」を取るような、相手を威嚇するような言動も必要なくなるのです。
「叱る」必要性を認識しながらも、「叱る」ことができていない管理者の方は、まずは、部下と業務上の「ルール」の認識を一致させることをお勧めします。
最悪なのは
感情的に怒る上司
最後に、部下を「叱る」上で一番やってはいけないことをお伝えします。それは、感情的になって「怒る」という行為です。
感情的に「怒る」上司を見て、部下はどう思うでしょうか。
「個人的な感情で自分のことを指摘しているんだな」と感じる部下が多いのではないでしょうか。
しばしば「怒る」と「叱る」の違いはという話があると思いますが、まさに、叱っているというよりは、単純に感情的な要因で「怒っているんだな」と認識されてしまうのです。
そうなると、部下はどう思うのか。
安藤広大さんの『伸びる会社は「これ」をやらない!』(すばる舎)が好評発売中。224ページ、1620円(税込み)
今、上司が指摘している内容は、「個人的な見解」あるいは「思いつき」だなと認識するようになります。そもそも「怒る」というのは「個人の感情」の状態を示すものであり、「叱る」は「対象者に対しての行為」を示すものであり、まったく違うものだからです。
部下が、上司の言うことを素直に聞くことができるのは、前述した通り、組織が勝利するためや個人が成長するための「ルール」だと認識した時です。
つまり、感情的に「怒る」ということは、発している内容が「ルール」ではなく、「個人的な見解」であると認識させることに他なりません。
部下を「叱る」ことから逃げてはいけません。それは、管理職として、リーダーとしての「重要な役割」だからです。その際、部下と前提のルールをしっかりと合わせておくことを意識してください。そして、絶対に感情的に「怒る」ことはやってはいけません。
http://diamond.jp/articles/-/118704
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