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小泉進次郎が農政改革の「骨抜き」批判に大反論 トランプ「米中友好は日本に利益」 原発で割れる民進「ふがいない」小泉元首相
http://www.asyura2.com/17/senkyo220/msg/776.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 2 月 17 日 01:34:19: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

2017年2月16日 週刊ダイヤモンド編集部
小泉進次郎が農政改革の「骨抜き」批判に大反論
週刊ダイヤモンド2017月2月18日号特集「儲かる農業」より
「農業を儲かる産業へ変える」と宣言して農政改革を主導してきた小泉進次郎・自民党農林部会長。だが、昨年11月に政府がまとめた「農林水産業骨太方針」では、守旧派の抵抗に遭い、改革が一歩後退したように見える。農政改革は「骨抜き」になってしまったのか。小泉農林部会長を直撃した。(週刊ダイヤモンド2017月2月18日号特集「儲かる農業」より)

農業人材の新陳代謝と
国際認証を同時に進める

──ちょうど1年前の本誌インタビュー(ダイジェスト版はこちら)では、自民党農林部会長として農政改革にどのように挑むのか、意気込みについて語っていただきました。その際に、小泉議員は、三つの公約【(1)補助金漬け農政とは決別する、(2)農協改革の手綱を緩めない、(3)生産者起点から消費者起点へ転換し、世界で稼ぐ体制を構築する】を掲げています。それぞれの改革の手応えはいかがですか。


Photo by Masato Kato
 そうですね。僕の実感では、農業者の意識が本当に変わってきたなと感じています。

 僕の地元、神奈川県三浦市の農家さんと話すとね。開口一番で、「おい、進ちゃん、肥料が安くなったぞ」って言ってくる。こんな声が聞かれたことはこれまでなかったよね。そして、彼はなんて言ったと思います? 「次は、段ボール(の値下げ)をよろしく」って言っていた。僕によろしくねと言うのではなくて、農業者の皆さんが農協に対して、「高いものは高い」とちゃんと言わなきゃ駄目ですよね。

 でも、農家さんの口から資材やコストの話が出るなんてね。こんな会話が自然にできるようになったことに、農政改革の手応えを強く感じています。

 改革のフェーズは、公約(1)の政治、公約(2)の農業団体まで進みましたが、最終的には、農家自身が改革を求めていく世界にならないといけません。そうした意味で、公約(3)生産者が世界で稼ぐ体制の構築はまだ道半ばです。


こいずみ・しんじろう/1981年生まれ。2004年3月関東学院大学経済学部卒業。06年米コロンビア大学大学院政治学部修士号取得。シンクタンク研究員、父・小泉純一郎氏の秘書を経て、衆議院議員。当選3回。15年10月より自民党農林部会長。 Photo by M.K.
 でも手段は考えていますよ。今後、経営の質の向上や世界で稼ぐ手段として、国際認証(グローバルGAP)の導入を積極的に進めていきたいと思っています。

 この3月にはオリンピック・パラリンピックの食の調達基準が決まりますが、日本では国際認証を取得している農家ってほとんどないんです。特に若い世代の農業人材の育成も兼ねて、農林高校ではグローバルGAP取得の義務化を進めていきたいですね。

──小泉議員は農政改革を政治主導で進めてきたことは確かですが、補助金からの脱却はできていないのではないでしょうか。米国離脱が必至の環太平洋経済連携協定(TPP)予算にせよ、コメ農家向けの補助金メニューにせよ、相変わらず補助金政治は続いている印象を受けますが。

 いろんなご指摘はあると思いますけど、予算の使い方はだいぶん変わったと思います。一時的に農家を救済するだけの一過性の「死に金」から、「生き金」になるお金の使い方をするようにしました。

 あえて俯瞰した立場で話をしますが、厚生労働省の予算は30兆円です。一方の農林水産省の予算は2兆円です。農水省15個分の予算が厚労省で使われているわけですよね。それを思うと、医療や社会保障にお金を使う国から、健康な食を取り戻して、食生活から真に健康になっていくことで社会保障費を抑制できるんじゃないかと思います。もちろん予算ありきの農政では駄目なんだけれど、着実に将来につながるタネは必要です。

 僕はこれまで、農業のイノベーションは軽視されてきたと思います。人工知能(AI)が搭載された自動収穫ロボットとかね。もっと投資していくべきだと思います。

 トヨタ自動車が、長野県でジビエの移動式解体処理車を販売しているんですが、せっかくトヨタがやってくれるんだったら王道のトラクターとかコンバインとかも造ってほしいですよね。トヨタだったら幾らの農機ができるんだろうか。そうなれば、農機の寡占4社体制に揺らぎを与えられます。

骨抜きなんて言わせない
守った「外部人材の登用」

──農協改革は全農自身が行う「自己改革」に委ねられることになりました。農政改革が後退し、「骨抜き」になってしまったのでしょうか。

 それは違いますね。じゃあ規制改革推進会議のタマ通りにやれば改革が成功したという評価になるのでしょうか?

 まず、全農がこうやって表舞台に引きずり出されることは、これまでなかったはず。最近、驚いたのですが、農協の人でも、農家の人でも、実は、全農がどういう存在なのかきちんと把握していない人が多いということです。

 全農の取扱高は5兆円。これはだいたい伊藤忠商事と同じくらい。職員数8000人は、三菱商事の6000人を上回る規模です。そして、手掛けている事業は、英国の食品卸SFGホールディングスを買収したり、欧州に和牛レストランを展開したり、米ミシシッピ川から飼料を持ってきたり。そして、農家の皆さんに農業資材を売ったり、農家の皆さんが生産した農作物を販売したりしています。

 これだけの多岐にわたる事業を展開しているのが全農という組織なのです。この超メガ企業のガバナンスって誰が統治できるんでしたっけ。そんな人材が内部にいるんでしたっけ。というのが、僕の根本的な問題意識です。

 一連の農協改革の中で、僕が一番問いたいのはそこなのです。現在の全農の役員は皆、地方の組合上がりの人ばかりです。現在の全農の機能不全を起こしている組織の在り方は、本当に農家の皆さんのためになるのかと。

 だから、11月の骨太方針では、「外部人材の登用」という言葉を盛り込みました。あのペーパーの最後6行分は、全農との攻防で落とせと言われたところです。僕は、絶対に落とさないと押し切りました。この攻防を経て残したところを評価されることなく、「骨抜き」と言われるならば、言わせておけばいいと思いますね。

──発表直後に、「負けて勝つかな」とおっしゃっていた真意は、どこにあるのですか。

 自分がここまで踏み込みたいというところまではできなかったけれど、改革が逆回転することはないよう、良い仕掛けはできましたよという意味です。

今国会では農水省だけで
8本もの法律を提出

──全農にボールを投げて、彼らが改革する形に落ち着きました。身を切る改革は期待できないのではないでしょうか。

 でもね、僕はこの骨太方針の形が一番、全農にとっては苦しむ改革になると思っているのですよ。

 全農は、自分たちで改革をやり切ると言ったんですから。議論の途中で、全農は、資材の共同購入のやり方が徹底されていなかったことを認めました。農産物の販売でも、買い取りの部分が不十分だったことを認めたのです。

 これらの欠点を踏まえて、それでも全農は自分で改革をやると言ったんです。あと2年ほどしかない「改革集中推進期間」でやり遂げると。

 一方で、規制改革推進会議の丸のみになっていたら、全農にとっては一番楽だったと思いますね。あまりに高いボールを投げられても、1年で改革できるはずもなく、「これだから現場を知らない政治主導は駄目だ」と改革は実質的に頓挫していたと思います。

 とにかく、農業者のための全農なんですか。それとも単なる資材メーカーなんですか。彼らにはそれが問われている。

──全農改革はこれまで何度も頓挫していますが、今度こそ、うまくいくという根拠はどこにあるのですか。

 今国会では農水省だけで8本もの法律を提出するんですよ。農水省でこんなに法案提出が多いのは10年ぶりのことです。11月の骨太方針が卵だとすると、これらの法律を今国会で成立させることが、卵をふ化させるということになります。これ以上、改革を担保するものはないと思いますよ。

農業は私のライフワーク
農業者の思いに応えたい

──小泉議員は自身の役割を、(政府と農林族の利害調整をする)“中間管理職”のようなものとおっしゃっていました。中間管理職はいずれ、農林部会長ではなくなってしまいます。奥原正明・農水省事務次官や奥野長衛・JA全中会長といった「改革派」もそう遠くない未来に任期を終えます。改革派が全員去り、守旧派がパワーを盛り返し、農政改革は後戻りするのではないでしょうか。米国の離脱により、TPPをてこに改革を進めようという機運も低下してしまいました。

 改革の逆戻りというのはあり得ないです。あり得ません。TPPが雲散霧消したら、何の手を打たずともこのまま安泰だなどと思っている人がいるとしたら、それこそ、最大の脅威です。

 変わる気のない人に変わりましょうと言っても、それは政治ができることのノリを超えています。僕は結果の平等はないと思っているから。

 やはり、先を見据えて、新しいことにチャレンジしたい。もっと自分の経営力を高めたい。これからも、そういう人たちを全力で後押ししていきたいです。これは、誰が農林部会長になっても変わらないことです。

 農林部会長になってから、全国の若い世代の農家さんとの出会いの場をたくさん持たせてもらいました。このままで大丈夫なんて思っている人なんて誰もいないです。

 米国でトランプ大統領が誕生して、企業も個人も身構えていますよね。トランプ大統領の言動に左右されるのは仕方のないことだけれど、日本独自でやれることもあるはず。

 その一つが農政改革です。農は国の本なりという言葉がありますが、今こそ、農政改革の歩みは、日本にとって必ずやプラスに働きます。土台を固める。国家の基礎をしっかり固める。その足腰になるのが農業です。残念ながら、日本の農業の構造問題を解決するのに残された時間は多くはありません。

 今や、農業は私のライフワークです。農林部会長という経験なく、政治家として歩む道があったとするならば、それは想像しただけでも恐ろしいですね。日本の農業を何とかしなきゃいかんという思いを強く持たせてくれたのは農業者との出会い。その皆さんに応えたい。そう強く思っています。
http://diamond.jp/articles/-/118090

 


トランプ大統領が言った「米中友好は日本に利益」は本当か

Photo:首相官邸HP
 安倍首相は2月10日、ホワイトハウスでトランプ米大統領と会談、日米同盟の強化で合意した。トランプ氏が選挙中に唱えた駐留米軍経費の100%日本負担や、日本の輸出品への高率関税などの話は出ず、会談後の共同記者会見でトランプ氏は「私たちの軍を受け入れてくれる日本の皆様に感謝したい」と述べ、共同声明では安保条約5条が尖閣諸島に適用されることを再確認したから、防衛省幹部は「満額回答に近い」と言う。

 だがこの会談前日の9日夜、トランプ大統領は中国の習近平国家主席と1時間の電話会談を行い「一つの中国」政策を尊重することを表明、共同記者会見では「中国国家主席と素晴らしい会話をした。私たちは仲良くなろうとしている。日本にとってもそれはとても利益になるでしょう」と述べた。

 事前に日米の事務方が用意した共同声明では、中国の南シナ海などでの行動を非難して同盟の強化を謳ったが、トランプ大統領は習主席と“Cordial”(誠意に満ちた)な会話でさまざまな問題を話し合い、米中は「仲良くなる」と言うのだから、風向きがほとんど逆になってしまった。

日中双方に良い顔をしたい
米国の思惑

 これと似た状況は2015年4月27日の「日米防衛協力のための指針」(ガイドラインズ)改定の際にも起きた(第51回「日本のために中国と対決したくはない 新ガイドラインに垣間見える米国の本音」参照)。日本側は尖閣問題や、中国の海洋進出に対抗するためガイドラインズの改定を求め、新たな指針が中国に対する抑止力強化、少なくとも牽制になる、としていた。だが新指針に日米が合意、公表される前に米国は中国に対しその内容を伝え、中国に敵対するものではないことを説明していた。

 これは新指針公表の2日後の4月29日、中国外務省の記者会見で新華社の記者がガイドラインズ改定について、「米国は公表前に内容を中国に通知していたとの話があるが事実か」と質問し、洪磊(コウライ)報道官がそれを認め「中国は釣魚島などの問題に対する厳正な立場を再度伝えた」と答えたことで明らかとなった。

 当時中国では、新指針で日米が中国に対して結束し、脅威となるような報道もあったから、中国外務省としては「米国との関係は悪化していない」と言いたかったのだろう。だが米国側が好意的に事前に「ご説明」に来たのを、外務省が発表しては非礼だから、親しい記者に質問をしてもらい、答えるかたちにしたのだろう。米国が中国に対して事前に説明するようでは「牽制」どころではない。

 米国は日中双方に良い顔をしたいから、2013年10月の東京での外交・防衛閣僚の協議「2+2」で指針改定には応じたものの、その協議後の共同発表では日本側が準備した草稿に多くあった「中国」「東シナ海」の語を米国側がほぼ全て削除し、唯一残ったのは中国に建設的役割を求める、との趣旨の箇所だけだった。

 今回、トランプ大統領が2月8日に習主席あての親書をワシントンの中国大使館に届けさせ、安倍首相訪米前日の9日夜に電話会談をしたのも、日本との共同声明が中国側を硬化させるのを案じ、その前に中国との関係修復をしておく必要があったためだろう。

 トランプ氏は当選6日後の昨年11月14日、習主席と電話会談し「偉大で重要な国」中国との関係強化を語った。だが12月2日に台湾の蔡英文総統からの電話を受けて10分程話し、それが米国内で「従来の対中関係の原則に反する」と批判されると「なぜ中国は一つ、の原則に縛られなければならんのか」と反論したため、中国は抗議した。

 ちょうどこの12月2日、かつて1972年にニクソン訪中、米中和解を実現し、トランプ氏が尊敬するキッシンジャー元国務長官(93歳)が特使のようなかたちで北京を訪れ、これまで7回も会い親交のある習主席と会談、米中の協力関係拡大を話していた。だからトランプ氏と蔡総統の電話問題につき中国は一応抗議はしたものの、ほぼ静観し、世界に拡がったトランプ批判に加わらなかった。

 政権移行の間、米国駐在の崔天凱中国大使はじめ在米の中国人実業家、チャイナロビーなどがトランプ氏取り込みに活発に行動した模様だ。12月7日にトランプ氏が習主席の30年余の友人であるアイオワ州のブランスタッド知事を中国大使に起用したことにもそれが表れていた。トランプ氏自身が中国金融機関との関係が深く、世界最大の銀行である准国営の中国工商銀行の米国本部はニューヨークのトランプタワー20階にあるほどだから、中国の米国への働きかけは強力だ。

米国と中国が友好的なら
日本の経済発展に寄与する

 トランプ氏の長女で、経営手腕があり、同氏の第一の相談相手と言われるイヴァンカ女史は今年2月1日、中国大使館の春節(中国の正月)の宴会に出席、5歳の娘アラベラちゃんが中国語で新年を祝う歌を披露した。イヴァンカ女史は中国との関係が米国経済に将来ますます重要、として、娘には1歳8ヵ月から中国語を習わせている由だ。

 中国は米国債約1兆2000億ドルを保有し、米国財政を支える点で日本と並ぶだけでなく、3兆ドル近い外貨準備の大半をウォール街で運用し、米国の金融・証券界の第一の海外顧客でもある。中国の中産階級は爆発的に増大し、自動車販売は昨年2803万台(日本の5.6倍)に達し、米国系の車が296万台も売れ、米国車のほぼ唯一の海外市場だ。米国製旅客機を中国は毎年150機も輸入し、米国の軍産複合体の中核、航空機産業の最大海外顧客でもある。

 こうした状況を考えれば、米国の経済的利益を第一とするトランプ政権が中国と敵対することは考えにくく、キッシンジャー氏やイヴァンカ女史の動きに注目すれば、米中が和解、協力に向かう公算が大きいことは予測可能だった。

 トランプ大統領が共同記者会見で、米国が中国と仲良くなろうとしていることは「日本にとってもとても利益になるでしょう」と言ったのは正しい。もし米中が敵対関係になり、両国の経済関係が断絶、双方の経済が麻痺すれば、日本の2015年の輸出の23.1%は中国向け(香港の5.6%を含む)、20.1%が米国向けだから、日本の経済に致命的打撃だ。仮に中国との貿易だけが停止しても一大事だ。

 一方米国と中国が友好的なら、日本は気兼ねなしに双方との経済関係を発展させられる。安倍首相が本来唱え、いまも時折口にする中国との「戦略的互恵関係」と「日米友好」が両立する。

 日本政府や保守派の中には「日米同盟堅持」のためには、米中が対立し、かつてのソ連にかわり中国が日米共通の仮想敵となることを期待し、その願望に合致する情報ばかり重視する向きも少なくない。それは日本の安全保障と経済両面の国益に反し、今回の「トランプ・習電話会談」のような予想外の事態に当惑する結果になる。

 日本に駐留米軍経費の一層の負担を求める発言については、2月3日に来日し安倍首相らと会談した国防長官マティス大将が、共同記者会見で「日本の経費分担は他国の模範」と述べたほどだから、トランプ大統領も会談では持ち出さなかった。米国防総省内では20年以上も前から“ジャパン・モデル”という語が使われ、それをNATO諸国に受け入れさせることの難しさが論じられ、日本の気前良さは知られていた。さすがのトランプ大統領もその説明を受けて要求を引っ込めたようだ。

尖閣は安保の適用範囲だが
それと米軍の武力行使は別

 尖閣諸島は安保条約第5条の適用範囲、と共同声明で認めたのは新たな成果ではない。2010年9月の中国漁船と日本の巡視艇の衝突事件後にも当時のクリントン国務長官がそれを明言し、オバマ前大統領も述べていた。尖閣諸島は1972年の沖縄返還協定でも沖縄の一部とされ、それに属する赤尾礁、黄尾礁はいまもその名で地位協定による米軍への提供施設(射爆撃訓練の標的)となっているから、安保条約の適用対象であることは明白で、米国側はそれを認めざるをえない。

 だが安保条約の適用範囲であることと、米軍が参戦するか否か、は全く同一ではない。安保条約第5条は各締約国(日米)は「自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動する」としている。米国の憲法では連邦議会が宣戦を行い、戦争を開始する権限を持っている。ただ奇襲に対処する場合には、大統領は議会の宣戦を待たずに防衛的な軍事力行使ができる、と解釈されている。

 実際には宣戦布告も、議会との事前協議もなしに大統領が武力行使を命じた例も多いが、相互防衛条約があっても戦争をしたくなければ憲法に従った正規の手続きに従って、議会に宣戦布告を求め、上下両院で過半数の賛成がなければ参戦しなくても条約に反しない。

 米国が日本の無人島(オバマ前大統領は「岩」と呼んだこともある)を巡って米中戦争を始め、巨大な経済権益を失い、甚大な人的被害と戦費の支出を生じることを覚悟することは考えにくい。平時の演習と異なり、実際の戦争は局地の数日の戦闘で終わることは稀だ。どこかで戦端が開かれれば国と国が全力を挙げて戦うことを考えねばならない。真珠湾攻撃が「ハワイ戦争」で終わらなかったのは当然だ。米国議会も尖閣問題で中国に宣戦布告するほど非常識ではあるまい。

 現実にはもし日中の武力衝突が起きれば、米国は仲裁に乗り出し、双方の兵力(艦艇や巡視船など)の引き離し(周辺海域への立入禁止)と現状の維持で戦闘の拡大を防ぐ公算が大だろう。停戦になっても日中の敵愾心は残るから軍備競争が激化しそうだ。日本が軍備強化に巨費を投じても、GDPが日本の3倍近い相手側も対抗して軍事力を拡大するから安全性は一向に高まらず、敵対感情が高まり、双方の破壊力が高まるから危険はかえって大きくなる。

 また、2015年に改定された「ガイドラインズ」の英文では自衛隊が防空、ミサイル防衛、日本周辺での船舶の保護、着上陸作戦の阻止、撃退などで“Primary Responsibility”(一義的責任)を持つと定めているが、邦訳では「自衛隊が主体的に実施する」とごまかしている。自国の防衛に自衛隊が一義的責任を負うのは当然で、こんな言わずもがなの語句が繰り返し7ヵ所もガイドラインズに入っているのは、もし米軍がなにもしなくても責任を問われないためだろう。「製造者責任」の訴訟に備えて、やたらに注意書を入れる米国製品の取扱い説明書に似ている。

 ガイドラインズでは特に島嶼の奪回について「もし必要が生じれば、自衛隊は島の奪回作戦を行う」と明記され、米軍は尖閣諸島の奪回に直接参加しないことになっている。

安倍首相は入国禁止例に関して
言及を避けるしかなかった

 安倍首相は共同記者会見でトランプ大統領の入国禁止令についての米国記者の質問に対し「それぞれの国が行っている入国管理、難民政策、移民政策につきましては、その国の内政問題でありますのでコメントは差し控えたいと思います」と答えた。

 米国内でも、世界の多くの国々でもこの大統領令には非難が高まり、米国の連邦控訴裁判所もその命令の執行停止を認め、最高裁に上告しても政府に勝ち目は乏しいから、上告をあきらめた状態だ。

 その中で安倍首相がこの問題を避け、フロリダ州パームビーチの別荘に招かれてゴルフを楽しみ、5回も食事を共にする異例の厚遇を受けて蜜月関係を演じたため、反トランプ意識が高まる米国のメディアからは「こんなにオベッカを使う首脳は見たことがない」とも評された。

 だが日本は昨年1万901人の難民申請に対し、28人を認定し、他に「人道的配慮」で97人に在留を許しただけだ。専門の知識、技術を持つ外国人のほか、研修などの名目で出稼ぎ労働者の入国を許しているが、入国時から日本に永住する目的の「移民」はほとんど認めていない。他国の難民に対する政策を批判し「貴国はどうしておられるか」と聞かれるとヤブ蛇だから「内政問題」と避けるしかなかったろう。

(軍事ジャーナリスト 田岡俊次)
http://diamond.jp/articles/-/118083

 


原発ゼロで割れる民進「ふがいない」小泉元首相  原発ゼロ前倒し、民進紛糾 問われる蓮舫代表の指導力
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/533.html

小泉氏はまた、原発が争点となった新潟知事選を引き合いに「野党が候補者を一本化して原発ゼロを争点にすれば自民党が負ける」と重ねて主張した。
 

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