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なぜこのタイミングか 金正男暗殺の裏に北朝鮮の政権不安 狂乱北朝鮮の謎解きと今後
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/199694
2017年2月16日 狂乱北朝鮮の謎解きと今後 日刊ゲンダイ
ムチャクチャ(C)共同通信社
血を分け合った肉親であろうとも、自分に歯向かう者は容赦なく殺す。北朝鮮の故・金正日総書記の長男、金正男(45)暗殺に、衝撃が走っている。
韓国の情報機関、国家情報院(国情院)によると、殺害を指示したのは金正恩朝鮮労働党委員長で、「5年前から暗殺を試みていた」という。北の犯行とみるのが自然だ。北朝鮮は日米首脳会談のタイミングに合わせて弾道ミサイルを発射し、国連安保理が14日、安保理決議違反として非難声明を発表したばかり。国際社会の強まる包囲網をミサイル発射で威嚇しつつ、徹底した粛清による恐怖政治で体制維持を図る北朝鮮――。
もはや正気を失った狂乱独裁者の暴走に、日米はどう向き合うべきなのか。
とうとう…(C)AP
見せしめに加え政権引き締めを図る意味も
正男は北京に本妻、マカオとマレーシアに内縁の妻がそれぞれ住んでおり、今回の凶行は、マレーシアで内縁の妻に会った後、マカオに向け出国する際、狙われたとみられる。正男は正恩と異母兄弟とはいえ、2人に面識はない。過去に北朝鮮の世襲体制を批判していた時期もあったが、2011年に金正日総書記が死亡した後は、目立った発言を控えていた。
すでに政権中枢を離れているにもかかわらず、正男はなぜ、このタイミングで殺害されたのか。デイリーNK東京支局長の高英起氏はこう言う。
「2つの見方があります。ひとつは16日に金正日総書記の生誕75年を迎えることです。ちょうど20年前の1997年2月15日、韓国に亡命した、正男のいとこに当たる李韓永が、正日の命令で暗殺されていて、当時と同じように国威発揚的な意味があるのかもしれません。もうひとつは、2月上旬に韓国紙が正男の亡命を報じたことに対して激怒した、というものです」
建国の父とされる金日成主席と違って「偶像化」には程遠いのが正恩だ。国情院が「正恩は他人を信用しない疑い深い性格」と分析している通り、正男に限らず、これまでも権力掌握のために、側近を次々に粛清してきた。
2013年12月に北朝鮮ナンバー2だった張成沢を処刑し、15年4月にも当時の玄永哲人民武力部長、同5月に崔英健副首相を処刑した。昨年7月には金勇進副首相を「座る姿勢が悪い」という理由で処刑している。もはや気に入らないやつは片っ端から処刑するという状況の中で起きたのが、今回の正男暗殺なのだ。
「昨年8月に北朝鮮の駐英公使が韓国に亡命し、『金正恩体制に嫌気が差した』と明かしていますが、今の北朝鮮の政権内部は不満が猛烈に高まっていて、正恩が体制を維持するには粛清しか手段がないのでしょう。亡命説も流れた正男の暗殺は見せしめに加え、政権引き締めを図る意味もあったと思います」(高英起氏=前出)
北朝鮮の政権内部がガタガタになっているのは間違いない。
中国も北朝鮮にソッポ(C)AP
米中接近、国際包囲網に気も狂わんばかりの金正恩
「金正恩委員長は1月の『新年の辞』で、ICBM(大陸間弾道ミサイル)について『試験発射準備事業が最終段階に至った』とアピールする一方、『気持ちだけで能力が伴わないというもどかしさと自責』などと反省の弁を口にしていた。極めて異例の発言で、正恩が揺れ動いている証左とみることができます」(中朝関係に詳しい週刊現代編集次長の近藤大介氏)
対北朝鮮で「戦略的忍耐」という“穏健手法”を取ってきたオバマ政権の路線から、大きく舵を切った強硬路線のトランプ政権が誕生。トランプと中国の習近平国家主席の電話会談では、両者が意気投合し、互いの国を訪問することも約束した。
これまで後ろ盾だった中国が、「宿敵」の米国と手を結ぶなんて事態になれば、タダでさえ孤立化を深める北朝鮮への国際包囲網が、さらに強まるのは火を見るより明らか。正恩は米中接近報道に驚愕しただろう。その上、中国が最近まとめた「戦時演習ガイドライン」では、北朝鮮を「仮想敵に匹敵する脅威」と位置付けている。つまり、今後の展開次第では、中国が北朝鮮「擁護」の姿勢を百八十度転換する可能性が出てきたわけで、正恩にとっては気も狂わんばかりの状況に違いない。
「金正恩委員長の誕生日とされる1月8日、大規模な祝賀行事は開かれませんでした。祝賀行事となれば、国民に何らかのプレゼントを配る必要があるのですが、恐らく何もできないからでしょう。北朝鮮の政権運営はうまくいっておらず、正恩はかなり追い詰められていて、厳しい立場にあると思います」(近藤大介氏=前出)
正男は正恩の政権不安を払拭するための「人柱」にされたとみるべきだ。
傍観決め込む安倍政権 本気で戦争を避ける気はあるのか
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/199696
2017年2月16日 日刊ゲンダイ 文字お越し
日米はどう動く?(C)AP
金正男暗殺事件を受けて安倍官邸は15日、警察庁出身の杉田和博官房副長官をトップとする合同情報会議を招集。菅官房長官は会見で「いかなる事態にも対応できる体制をしっかりと整えている」と言っていたが、その目標は戦争回避なのかどうか。外交努力に動く気配もなく、ただ傍観を決め込んでいるようなフシがある。
共同通信時代にソウル支局長や北京特派員を務めたジャーナリストの平井久志氏(立命館大客員教授)はこう言う。
「対北朝鮮をめぐる日米韓の協調体制は今、機能していません。トランプ政権が船出したばかりの米国は閣僚人事でてこずり、朝鮮半島担当チームが立ち上がるのは夏あたりにズレ込む見通し。朴槿恵大統領の弾劾訴追で大揺れの韓国も権力の空白期にある。米韓が混乱状態なのですから、長期政権で支持率の高い安倍首相がイニシアチブを発揮するのが筋なのに、何をしたいのかサッパリ分かりません」
日米首脳会談の最中にミサイル発射実験を強行した金正恩に、トランプ大統領は激怒。3月の米韓合同軍事演習では、かつてない強硬策を講じるともいわれている。国際社会が対応を誤れば、朝鮮半島が再び火の海になりかねないほど緊張感は高まっているのに、これじゃあ、不安は募るばかりだ。
「安保法制をまとめた安倍首相の目標は、米国と一緒に戦争のできる国づくりです。日米会談の共同声明には〈日本は同盟におけるより大きな役割と責任を果たす〉とうたわれていました。つまり、日本は軍事的な役割を強めるということ。北朝鮮の暴発で安全保障環境が混沌とし、先行きが分からなくなってきた。大義名分を得た形の安倍首相にしてみれば、シメシメという状況ではないか。そんな懸念がよぎります。実際、外圧を利用し、堂々と軍拡を進められる環境が整いつつありますからね」(政治学者の五十嵐仁氏)
積極的平和主義を掲げる安倍にとって、金正恩の暴徒化は平和憲法を葬り去るチャンスなのか。
エスカレートする軍拡路線(C)日刊ゲンダイ
大メディアの大本営化がすでに世論を狂わせている
「北工作員犯行か」「5年前から暗殺試みる」「北の変化望み世襲批判」――。金正男暗殺事件をめぐる新聞各紙の見出しだ。日本のマスコミ報道は「北朝鮮はとんでもない国だ」の一色。「金正恩脅威論」を煽り立てるかのようである。
3代世襲で国家を食い物にし、国民に飢えを強いて、地域情勢を不安定化させる核ミサイル開発に興じる。その上、身内を毒殺したとなれば、北朝鮮の体制は確かに狂っている。しかし、「北はけしからん」の一辺倒では、好戦的なトランプ米大統領や安倍首相の思うツボなんじゃないか。軍拡の口実を与えるようなものだ。元NHK政治記者で評論家の川崎泰資氏はこう言う。
「事件の背景に何があるのか。日本との関係はどうなるのか、ひいては国際社会にどんな影響があるのか。キナ臭い出来事ほど冷静な分析が求められるのに、マスコミまで官邸が描く『金正恩脅威論』に乗っかってしまっているように見えます。これでは大本営発表と変わらない。世論をミスリードしかねません。マスコミが弱腰なのは、批判を嫌う安倍首相のメディア選別が効いているからでしょう」
安倍が好んで対応するのは、一方的に意見を垂れ流せるテレビの生放送だけ。蚊帳の外に置かれたマスコミはすり寄るほかなく、政権の意向に沿った記事が量産される構図なのだ。
「ミサイル防衛の強化に始まり、エスカレートする軍拡路線を容認する論調が幅を利かせれば、国民が疑問を差し挟む余地もなく、既成事実化する危険性をはらんでいます」(五十嵐仁氏=前出)
狂気の独裁者と、ヘンにウマの合った日米トップ。悲劇的な組み合わせが招き寄せる最悪の事態を見過ごしたら、取り返しがつかないことになる。
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