http://www.asyura2.com/17/senkyo220/msg/553.html
Tweet |
日本は何を得、失ったのか トランプ米国が大歓待の裏
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/199395
2017年2月11日 日刊ゲンダイ 文字お越し
握手する安倍首相とトランプ大統領(日本時間1日)/(C)AP
「破格の厚遇」の先には、深くて暗い奈落の「落とし穴」が待っているに違いない。注目された日米首脳会談が米現地時間の10日昼(日本時間11日未明)、ワシントンのホワイトハウスで行われた。日本政府は、トランプ大統領が何を要求してくるのか戦々恐々だったが、会談前から“結論ありき”は明らかだった。
〈トランプ大統領との間で日米同盟関係は、さらに強固なものとなっていく、強靱なものとなっていくとのメッセージとなるような首脳会談にしたい。(ゴルフで)強い信頼関係を構築していきたい〉
安倍は日本出国の際、会談の目的は日米の親密ぶりを世界にアピールするため――のような発言を繰り返していたが、米国側の反応は全く違った。
首脳会談を翌日に控えた9日、米政府高官は電話を通じた会見で「自動車は日本経済の象徴かつ重要な分野で、大統領は強い関心を持っている」と明言し、米上院の民主・共和両党議員らも、首脳会談のタイミングに合わせて〈日本の自動車分野の不公正と貿易慣行を日米2国間通商交渉(FTA)の優先課題にすること〉〈通貨安誘導の是正を迫ること〉――を求める要望書をトランプに提出した。
さらに業界ロビー団体の米自動車政策会議(AAPC)も、通貨安誘導を禁じる措置や技術的障壁の解消を日米交渉で取り上げるよう求める声明を公表するなど、「米国第一主義」を掲げるトランプを後ろ盾に“日本包囲網”の大合唱だったのである。
■トランプの日米会談の狙いは「名誉挽回」
これに対し、“防戦一方”だったのが日本だ。対日批判を和らげるため、早々に米国内の雇用拡大や対米投資に関する「政策パッケージ」を準備。〈高速鉄道などのインフラ投資で約51兆円の市場を創出〉〈70万人の雇用を生む〉――。世界一の経済大国に対し、デフレ脱却を目指している日本がなぜ、上げ膳据え膳で経済協力する必要があるのか全く理解不能だが、とにかく、トランプのご機嫌を損ねないよう腐心する姿勢がアリアリだった。トランプにすれば、ちょっと“口先介入”しただけで震え上がり、手土産をホイホイ持参してくる安倍は大歓迎だったに違いない。しかも、イスラム圏7カ国の入国を禁止した大統領令に対し、世界中の首脳が猛批判し、総スカンを食らわせる中、安倍だけは何も言わず、笑顔で尻尾を振って近寄ってくるのだ。味方が欲しくてたまらないトランプにとって「オレの唯一の仲間」の存在はうれしいだろう。世間で鼻つまみ者扱いされている暴走族やヤンキーが、数少ない仲間を大事に思う心理と同じだ。外交官出身の天木直人氏が言う。
「日本ではあまり騒ぎになっていませんが、トランプ大統領が発した移民規制は世界中で『人権問題』として報じられていて、かなり深刻な状況です。トランプ本人は強がりを言っていますが、司法で『違憲』と断じられていることもあり、ダメージは相当深い。そんな時に日本の総理大臣が、助け舟とばかり、巨額の経済対策を土産に会いに来るのです。大統領として名誉挽回のチャンスだし、笑いが止まらないでしょう」
フツーに考えれば、ゴルフのハンディキャップが「3」といわれるプロ級の腕前を持つトランプが、ハンディ「20」の安倍と一緒にプレーしたって面白くないだろう。おそらく、ゴルフ場を汗だくになって必死に走り回る安倍の姿をトランプが薄ら笑いで眺めるに違いない。両者の「主従関係」が目に浮かぶようではないか。
運転手が行き着く先は地獄だ(ニューヨーク・タイムズHPより)
米国は安倍政権の中国包囲網に付き合うつもりなし
相手の歓心を買うために取り入ることを「媚びへつらう」という。まさに今回の安倍の態度がピタリ当てはまるが、そこまでして下手に出る理由はハッキリしている。米国という世界一の軍事大国の虎の威を借り、何が何でも大嫌いな中国の包囲網をつくりたいからだ。
来日したマティス米国防長官から「尖閣諸島は日米安保の適用範囲」とか、「中国の海洋進出への懸念」などの言質を引き出したのも、中国を牽制するため。だが、中国包囲網しか頭にない安倍政権に米国が本気で付き合うのかといえば、そんなつもりは全くない。
トランプは10日、大統領就任後初となる中国の習近平国家主席との電話会談を行い、中国と台湾がともに中国に属するという「一つの中国政策」について尊重する考えを示したという。会談で意気投合した両首脳は、それぞれ自国への訪問を約束したらしいが、日米首脳会談の直前にわざわざ米中首脳が電話会談したのは、〈日本だけを重視しているのではない〉という米国のメッセージに他ならない。安倍は会談で、南シナ海などの中国脅威論を持ち出しつつ、トランプに対中批判のコメントを出させたかったのだろうが、もくろみは完全に外れたわけだ。
■米国が日本を守るの「幻想」
そもそも、日本メディアは「尖閣は日米安保の適用範囲」などと大々的に報じているが、まったく意味がない。春名幹男早大客員教授の著書「仮面の日米同盟」(文春新書)によると、日米ガイドライン(自衛隊と米軍の役割分担を定めた防衛協力の指針)では〈米軍は自衛隊を支援しおよび補完する〉と書いてあるだけ。1971年、当時のアレクシス・ジョンソン国務次官がニクソン大統領に提出したメモには〈在日米軍は日本本土を防衛するために日本に駐留しているわけではなく(それは日本自身の責任である)、韓国、台湾、および東南アジアの戦略的防衛のために駐留している〉とあり、春名氏は日刊ゲンダイのインタビューで、「米国が日本を守ってくれるというのは〈幻想〉」と断言していた。
日本国内では安全保障と引き換えに経済協力などの米国の要求を受け入れるのは仕方ない――みたいな雰囲気があるが、真相は違うのだ。
〈米国という国は徹底的にやってくる。何でも利用する〉〈安倍流のパフォーマンスが通用する相手ではないし(略)日本の国益が危うい〉〈(2国間のFTAは)TPPで譲歩した線が出発点となり、際限ない譲歩を迫られる。農産物、保険、医療、雇用、自動車と、あらゆる点で身ぐるみをはがされるような交渉になってくる〉
80年代に日米間の建設市場開放協議などに携わった小沢一郎自由党共同代表は、2月19日号の「サンデー毎日」で志位和夫共産党委員長と対談し、こう語っている。“剛腕政治家”と評される小沢でさえ、米国は一筋縄ではいかない相手なのだ。ボンボン政治家の安倍が海千山千のトランプとマトモに渡り合えるはずがないのだ。政治評論家の森田実氏がこう言う。
「安倍首相は『虎穴に入らずんば虎子を得ず』と考えているようですが、『米国さえ儲かればいい』という大統領になぜ、慌てて会いに行く必要があるのか。一国のリーダーとしてはあまりに軽率です。シェークスピアの『険しい丘に登るためには、最初にゆっくり歩くことが必要である』という言葉にあるように、まずは相手の出方を分析するのが、まっとうな外交スタンスですよ。岸元首相とアイゼンハワー元大統領もゴルフ会談で盛り上がりましたが、ウラでは日米安保をめぐる密約がありました。『厚遇』などと持ち上げられる時はロクなことがないのです」
前代未聞の朝貢外交の裏で、日本は再び米国から無理難題を押し付けられる日が迫っている。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK220掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。