http://www.asyura2.com/17/senkyo220/msg/504.html
Tweet |
稲田防衛相のクビは当然 平和憲法蹂躙に無反応の世も末
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/199310
2017年2月10日 日刊ゲンダイ 文字お越し
本当に法律家なのか(C)日刊ゲンダイ
こんなのを大臣職に就けていてはいけない。南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報に「戦闘」があったと記されていた問題で、実態としての戦闘行為があっても「武力衝突」と言い換えれば問題ないという詭弁を国会の場で繰り返す稲田防衛相。9日の衆院予算委ではとうとう野党議員から辞任要求が出たが、それは当然の成り行きで、むしろ遅すぎるくらいだ。
稲田は「法的な意味での戦闘行為はなかった」と主張する理由をこう答弁している。
「(戦闘行為が)行われていたとすれば、それは憲法9条上の問題になりますよね。だから、戦闘行為ではないということになぜ意味があるかというと、憲法9条の問題に関わるということで、その意味において、戦闘行為ではないということでございます」
政府は、戦闘行為を「国家または国家に準ずる組織(国準)間の紛争の一環として行われる人を殺傷し、または物を破壊する行為」と定義している。南スーダンでは昨年、大統領派と反政府勢力との間で大規模な銃撃戦が発生し、数百人が死亡するなど内戦状態が続いている。事実行為として「人を殺傷し、または物を破壊する行為」は間違いなくあるのだが、それを戦闘行為と言ってしまうと、自衛隊のPKO派遣が憲法違反になってしまうから、別の言葉に言い換えてゴマカしている――。稲田はそう開き直ったのだ。
■任命責任者が更迭すべき大問題
「稲田防衛相は、違憲と認識した上で、言葉の言い換えで憲法の範囲内ということにしていると種明かししてしまった。憲法上の微妙な問題をはらむ自衛隊の海外派遣に関して、最低限の体裁を繕うことも放棄し、政府の都合で憲法を無視すると居直ったわけです。これは、立憲主義を真っ向から否定することになる。目の前でどんなに激しい戦闘が繰り広げられていても、それを戦闘と呼ばないかぎり戦闘ではないなんて、論理的にハチャメチャもいいところで、こんな詭弁が通用するなら、どんな法律違反も言葉の言い換えで逃れられる。しかも、稲田防衛相は弁護士出身です。とても法律家の発言とは思えない。当然、首相の任命責任が問われるし、大臣が国会で堂々と立憲主義を否定する発言をするなんて、本来なら内閣総辞職ものの不祥事です」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
普通の感覚なら、どう考えても庇いきれない問題発言で、任命権者が更迭しなければウソなのだが、なにしろ安倍首相その人が率先して憲法を無視するのだから、どうしようもない。南スーダンの件でも、稲田と一緒になって「戦闘」を「衝突」と言い張ってきた。
問題の日報について、フリージャーナリストから情報公開請求があったのが、昨年10月。防衛省は文書を「廃棄した」ことを理由に不開示決定したが、12月26日に「統幕のパソコン内に残っているのが発見された」と説明している。
その間、国会では、安保関連法に基づく新任務の「駆けつけ警護」の是非が議論され、現地の戦闘状態や危険性、PKO5原則との不整合性、憲法違反の可能性も指摘されていた。ところが、稲田や安倍は「戦闘は起こっていない」「衝突だ」と詭弁を弄し続け、昨年11月には駆けつけ警護が初めて付与された部隊が出発したのだ。
これでは、何としても駆けつけ警護を実現させたいがために、情報を隠蔽し、国民にウソの説明をしてきたと疑われても仕方がない。
米国と一緒に戦争したいがホンネ(マティス国防長官と安倍首相)/(C)AP
トランプの「オルタナティブ・ファクト」を笑えない
さらにヒドイのは、防衛省の河野克俊統合幕僚長が9日の記者会見で、日報の「戦闘」という表現について、「言葉の意味を認識するよう現場部隊に伝えた」と明かしたことだ。要するに、「戦闘という言葉は使うな」と暗に指示したのである。現場のプロが「戦闘」と判断しても、上層部や政府は認めず、あくまで「衝突」と書くよう求める。こうなると隠匿ではなく捏造だ。そうやって、政府に都合のいいように事実が塗り替えられていく。情報開示を請求しても、国民に知らせたくない部分は黒塗り、あるいは秘密保護法の出番もあるだろう。
「自分たちがやりたいことを無理やり通すために、自衛隊員の命をないがしろにするトップの命令で危険地帯に送られる現場の隊員が気の毒でなりません。フザけた答弁を繰り返す稲田防衛相に対し、保守陣営や、自民党内から怒りの声が上がらないのもおかしい。こんな問題大臣をクビにできないようでは、法治国家としてオシマイです」(山田厚俊氏=前出)
立憲主義をもてあそんで開き直る大臣が居座ることを許せば、それが前例になってしまう。将来にわたって禍根を残すことになる。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「とにかく自衛隊を海外に出して、世界中どこでも動かせるようにしたい。そのためには憲法違反もいとわないというのが、この政権の基本姿勢です。政治倫理も何もあったものじゃない。ウソも方便とでも思っているのかもしれませんが、『戦闘』を『衝突』と言い換えれば法的に問題ないという屁理屈で既成事実をつくっていく。『戦争』を『事変』と表現し、『撤退』は『転進』、『自爆』は『特攻』と言い換えて国民をだまし続けた大日本帝国の大本営発表と変わりません」
気に入らない事実は「オルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)」にすり替えてしまうトランプ政権の荒唐無稽も顔負けの現実が日本で進行していることに、どれだけの国民が気づいているのか。
■国家として戦争体制に舵を切った
「戦争の実態を伝えるために作家になった」という城山三郎の口癖が、「戦争で得たものは平和憲法だけだ」だったという。特攻隊である伏龍部隊の訓練中に終戦を迎えた城山にとって、戦争体験は酷烈なものだった。だから、自衛隊は軍隊とは違う、人を救うのが任務であり、普通の軍隊になる必要はないと訴え続けた。生前、地元の「九条の会・ちがさき」に寄せたメッセージには「平和憲法こそ生き残る者の夢であり、守ることが使命だ」と書かれている。
その憲法9条が閣議決定で骨抜きにされ、安保法の成立で事実上、破壊された。武器輸出三原則も取っ払われ、2015年からは、防衛省が大学を対象に「安全保障技術研究推進制度」の公募をスタート。17年度予算では、一気に前年の18倍の110億円に増やす予定だ。札ビラで研究者を支配し、「軍学共同」を推し進めようというのだ。
9日の朝日新聞によれば、米軍からの研究助成も提供されている。08年から16年までの9年間で少なくとも135件、総額8億8000万円に上るという。
「米国の軍産複合体と連携して戦争をする国にすると、日本は国家として舵を切ったのです。国家権力が“この道で行く”と腹を決めたら、どんなに理不尽であろうと、官僚機構も経済界も従う。それは、米国のトランプ政権を見ても分かるでしょう。米国はまだ司法やメディアがしっかりしているから、歯止めも利きますが、日本の場合は、司法もメディアも権力と一体化した大政翼賛体制になりつつある。秘密保護法、集団的自衛権の行使を容認する安保法、そして次は共謀罪と、次から次に戦争準備法案が強行されていく。稲田大臣が率いる防衛省は、さながら関東軍のごとく暴走しています。そういう中で出てきたのが稲田大臣の問題発言であり、目の前で平和憲法が蹂躙されているのに、世論が無反応なんて世も末です。もはや、政権交代でもしないかぎり、戦争まっしぐらという流れは止められないのかもしれません」(金子勝氏=前出)
いざ戦争となって、奈落の底に突き落とされるのは一般国民だということを自覚すれば、現状はとても看過できるものではないはずだ。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK220掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。