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安倍首相は、14年4月の消費税増税に踏み切るという大失策を冒したが、雇用拡大・国内投資重視・増税忌避・拡大財政とトランプ大統領に近い考えをもっている。
(安倍政権の経済政策のほうが先行しているから、トランプ氏の経済政策が安倍氏に近いと言ったほうがいいかもしれない)
ええっと思われるかもしれないが、安倍首相は、トランプ大統領の「TPP離脱」政策にも賛同しているはずである。
オバマ政権から無理矢理引き入れられたTPPだが、経団連を中心としたグローバル企業経営者の強い要望もあり、国民の理解を得るため“TPPは成長の柱”などと心にもないことを言ってきた手前、米国がTPPを見限ったからといって喜びのバンザイを見せるわけにはいかない。
(消費税(付加価値税)は関税に代わる輸入障壁措置であり、TPPがご破算になるとわかっていたら、その対策であった14年春の消費税増税はやらなかっただろう)
多国間自由貿易協定であるTPPは、グローバル企業の利益にはなっても、国民国家(の政治的指導者)の利益にはならない。
トランプ氏がそれを理解しているように、安倍政権もそれを理解している。
詳細は機会を改めて説明するが、トランプ大統領によってTPPが実質的にご破算になったことを安倍首相も心から喜んでいるのである。
50兆円規模でインフラ投資に協賛するという手土産も用意しているようだが、具体的な対応策をあれこれ持ち出すのではなく、トランプ大統領の世界観や経済理論をじっくり聞いて、トランプ大統領がこれまで発言した内容の真意を理解するほうが重要である。
(自動車メーカーのメキシコ移転批判も、20%国境調整税構想を聞けば、真意は“親切な”助言とわかる)
真意に納得がゆくのなら、「日銀当座預金積み増すペナルティ(マイナス金利政策)」や消費税(付加価値税)制度をやめてしまうきっかけにすればいい。
それほど世界は大きく動き始めている。
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伝説の元通産官僚が語るトランプ対策[日経新聞]
2017/2/3 14:00
トランプ米大統領の登場で再び脚光を浴びつつある日米貿易摩擦。かつて繊維協議を皮切りに、半導体協議など激しい通商交渉の第一線に立ち続けたのが、黒田真・元通商産業審議官だ。遠慮なくずけずけとものを言うその姿は交渉相手から「タフ・ネゴシエーター(手ごわい交渉相手)」と呼ばれ、畏敬された。そんな伝説の官僚に、日本は今後トランプ氏とどう付き合っていくべきかを聞いた。(聞き手は経済部 古賀雄大)
――トランプ氏の“日本たたき”をどう見るか。
トランプ氏は長年ビジネスマンとして活躍してきただけあり、交渉をディール(取引)とみなしブラフ(脅し)をかけるやり方を好むようだ。まずふっかけて、その後どこまでまけてやるかというやり口。それが自分の持ち味だと思っているから厄介だ。
米国の最大の標的は中国だが、この際日本にもクギを刺しておこうと思っている。こうした態度を喜ぶ人がいる限りは味を占めて言い続けるだろう。
――日米貿易摩擦が激しかった頃の米国はどうだったか。
当時米国は日本市場の閉鎖性や特異性を強調する「日本異質論」を持ち出してきた。日本に対するイメージを勝手に膨らませ、仮想敵として攻撃してきたのだ。米国は昔から世界は自国を中心に回っていると思っている節がある。交渉に産業界の要求を持ち込み、言うことを聞かなければ報復措置をちらつかせる手法だ。私はよく米国人に「お前のような考えは自国中心の天動説だ」と言っていた。
――交渉ベタの日本人にはそこまで言える人は少ない。
日本人の性格として、言われたら言われっぱなし、打たれたら打たれっぱなしという人が多い。多くの人は言い返したり打ち返したりすることは品が悪いと思っている。しかしそれでは交渉の現場ではやっていけない。僕は品が悪いから、ずけずけ言った。
――10日には日米首脳会談が開かれる。安倍晋三首相はどう対応すべきか。
日本企業が現地生産を進め多くの米国人を雇用しているという現状を、正しく理解してもらう必要がある。安倍首相は決して妥協してはいけない。感情的になって火が燃え上がると収めるのに時間も手間もかかるし、場合によっては犠牲を払わなければいけなくなる。主張に驚かず、感情的にならず、あなたの言っていることはおかしいと冷静に理を説くべきだ。
――安倍首相は「タフ・ネゴシエーター」にならなければならない。
そう思う。ここは安倍首相に一番頑張ってもらわなければいけないところだ。安倍首相の国会答弁を見る限り、やたらに言いたがる傾向があるようだからいいのではないか。
ただ、相手の言い分もよく聞くべきだ。米国は自動車業界に突き上げられて交渉に臨んでくる。その立場を理解して冷静に話し合い、少しでも日本の言い分を認識してもらえれば落としどころは見つけられる。
――もし自身がトランプ氏と対峙するならどう対応する。
難しいが、向こうはふっかけてきているわけだから、それには乗らない。相手は大統領なので無視するわけにはいかないが、相手にしない。お前なんか相手にできるかということを言わずして、相手に「あなたの言い分には無理がある」ということを言い続けていく。
――自身が交渉していた日米半導体協議では米国の要求が激しく、日本市場の20%に外国製品を入れることになった。
よくそう言われるが、実はそんな約束はしていない。米国側がそう言いふらしただけだ。確認すると、交渉相手のヤイターさん(米通商代表部代表)が「渡辺美智雄・通商産業大臣の目を見てそういう感じを受けた」と言っていた。我々は「お手伝いしてあげます」と話しただけ。個別の企業が工場建設の計画などを表明するのはいいが、国が交渉で数値目標などを約束することなどは、当時も今回もあってはいけない。
――トランプ氏が日米自由貿易協定(FTA)を主張してきた場合はどう対応すべきか。
僕は昔の人間だから、本来は関税貿易一般協定(GATT)や世界貿易機関(WTO)のような包括的な協議がいいと思う。ただ、参加国が多すぎて成立しにくいという問題があるのは事実だ。
いずれにせよ心配は農業だ。農業で弱みを突かれ、工業で譲歩せざるを得なくなる可能性がある。是が非でもFTAを結ばなければならないわけではない。交渉次第で是々非々で対応すべきだ。米国の要求だからといって必ずしも受け入れる必要はない。
――米国の環太平洋経済連携協定(TPP)離脱など、自由貿易は転機を迎えているのか。
TPPは高いレベルの自由化率のほか、知的財産や国有企業といった新たな要素を含む非常に優れた協定だ。米国にも利益があるはずだが、一部の古い産業界の不満で離脱することになったのは残念だ。
しかし現在の保護主義への振り子が戻れば、離脱への反省が出てくるだろう。再加入を促すために米国を除く11カ国で発効させることも不可能ではない。戦後拡大してきた自由貿易が正しい地位を取り戻すことができれば、TPPの価値が見直されるときが来るだろう。
黒田真氏(くろだ・まこと) 元通商産業審議官。1968年から4年間ジュネーブに駐在し国際交渉術を学ぶ。日米貿易摩擦が深刻だった80年代、半導体交渉などで通商交渉の最前線に立った。遠慮なくものを言う激しい交渉ぶりから「暴言官僚」「アンチテーゼの黒田」「ミスター通産省」などの異名も。84歳。
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170204&ng=DGKKASFS03H2U_T00C17A2EE8000
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