2017年2月8日(水) 論戦ハイライト 天下り背景に政財官癒着 衆院予算委 宮本議員の質疑 “財界が求める人材育成だ” ゆがんだ大学政策中止をhttp://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-08/2017020803_01_1.jpg (写真)衆院予算委員会で質問する宮本岳志議員(左)=7日 7日の衆院予算委員会での天下り問題に関する集中審議では、日本共産党から宮本岳志、塩川鉄也の両議員が質疑に立ち、問題の核心にある政財官癒着や安倍政権の責任を追及し、あるべき規制策を明らかにしました。 宮本議員は、文部科学省の組織的な天下りの背景には、文科官僚と大学との癒着だけでなく、財界が求める大学政策にいいなりになる政財官の癒着問題があると告発しました。 宮本氏は、大学の認可権限や補助金の交付決定の権限を持つ文科省の吉田大輔・元高等教育局長が、退職後わずか2カ月で早稲田大学教授に再就職したことについてただしました。早稲田大学では、2014年度から「教育事業関係補助金」により、「世界レベルの研究を行う大学」に対して重点支援を行うとした「スーパーグローバル大学創成支援事業」の補助金等が増えていると指摘しました。 宮本 この事業は何年何月に公募が始まり、いつ採択されたか。その時の高等教育局長はだれか。 常盤豊高等教育局長 2014年4月に公募開始、同9月26日に採択された。高等教育局長は吉田大輔氏。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-08/2017020803_01_1b.jpg 宮本 事業を立ち上げたときの高等教育局長こそまさに吉田氏だ。 同支援事業で、早稲田大学は10年間で100億円の事業を構想。「世界大学ランキングトップ100」を目指せる大学を対象とした「タイプA・トップ型」に選ばれたことで、年間上限5億円の補助金を受け取れます。 宮本氏は「上限5億円で10年間といえば50億円。(構想100億円は)上限いっぱいまで受け取ろうと言う極めて野心的な構想だ」と指摘しました。 同事業は、第2次安倍内閣が2013年6月に閣議決定した「日本再興戦略」で示されていること、その前提となる「教育再生実行会議」の提言「これからの大学教育の在り方について」に書かれていることを指摘しました。 宮本 この会議には総理も出席し、首相官邸で開かれていた。この教育再生実行会議の座長はだれか。 文科相 鎌田薫早稲田大学総長。 宮本 驚いた。鎌田薫総長は自ら「教育再生実行会議」の座長として「スーパーグローバル大学」構想をまとめた。 同構想を文科省で進めた教育局長本人が、早稲田大学の「大学総合研究センター」に天下っていることを明らかにし、「これはどこからどう見ても癒着以外のなにものでもない」とただしました。 さらに宮本氏は、背景には政財官の癒着があることを批判し、「この『スーパーグローバル大学事業』の震源地はまぎれもなく財界だ」と述べました。 財界との癒着とは――。安倍内閣が設置した「産業競争力会議」に民間議員として経済同友会の長谷川閑史代表幹事、榊原定征経団連会長らが参加しています。2013年3月に長谷川氏が示したペーパーに基づいて「世界大学ランキングトップ100に10年で10校」という数値目標が示され、「教育再生実行会議」を経て6月に閣議決定・政府方針とされました。 宮本 これは財界の言うままに、財界の要求する人材づくり、「グローバル人材の育成」とそのための「大学改革」を政治の力と補助金の誘導で大学に上からおしつけたということではないか。 安倍晋三首相 経済界の要請も踏まえて、日本再興戦略で人材教育システムのグローバル化による世界トップレベルの大学の形成を柱の一つと掲げた。 宮本氏は「文科省の天下りあっせん事件の背後には、文科官僚との癒着がある。しかしその背景には財界の求める『グローバル人材の育成』と、そのための大学改革という、ゆがんだ大学政策が横たわっている」と指摘。運営費交付金や私学助成など基盤的な経費を削り、競争的資金に切り替えて、大学を際限のない競争に追い立て、天下りを受け入れざるを得ないようなところに大学を追いやっていることに触れ、「そんなゆがんだ大学政策はただちに中止すべきだ」と求めました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-08/2017020803_01_1.html 2017年2月8日(水) 民から官へ 増える「天上がり」 官民の癒着、断ち切れ 衆院予算委 塩川議員が追及 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-08/2017020802_02_1.jpg (写真)質問する塩川鉄也議員=7日、衆院予算委 日本共産党の塩川鉄也議員は7日の衆院予算委員会で、大企業などの民間企業出身者が国家公務員として勤務する「天上がり」について、官業癒着をもたらし国民の利益を損なうものだと追及しました。 安倍内閣が自由化 塩川氏は、第1次安倍政権による国家公務員制度改革が「天下り」の原則自由化とともに、「官民交流の抜本的拡大」で省庁と企業の間で自由な行き来を可能にしたと指摘。「民間企業から国への職員の受け入れ状況」(グラフ)を示し、2015年度は1882人で07年度比2・2倍だと強調しました。さらに総務省の意識調査では、民間企業が「官民交流」を行うメリットに「官庁との人脈形成」「新たなビジネス機会の創出」を挙げていると指摘しました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-08/2017020802_02_1b.jpg 政策立案の“司令塔”である内閣官房の事務局には、民間企業出身者数が07年度の60人から15年度の205人へと3倍以上に拡大しています。 塩川氏は、内閣官房の民間企業出身者のほとんどが非常勤職員だとし、その給与など勤務条件について質問。石原伸晃経済再生相は、週5日、午前10時から5時間45分の勤務で、目安では日当が1万円前後だと答えました。塩川氏は「年収240万円で、昇給もボーナスもない。社会保険の適用もない。実態は、民間企業側が給与の補てんをしているのではないか。そうなれば“見返り”を期待することになる」と指摘しました。 塩川氏は「その多数が出身企業の身分をもったまま勤務し、数年後に出身企業に戻っていく。そうなれば営利企業の利潤追求を代弁することになる」と批判しました。 ゆがむ公務の性格 安倍政権が成長戦略に位置付ける、健康・医療戦略の事務を担う「健康・医療戦略室」には製薬メーカートップ5の武田薬品、アステラス製薬など大企業出身者が加わっています。塩川氏は「予算の重点配分などの利益を被る業界関係者を直接、国家戦略の作成にあたらせ、公平・公正な政策をゆがめる」と追及。石原氏は「専門的知見を企画立案に生かす」と正当化しました。 塩川氏は「民間から利潤追求、効率優先の制度が持ち込まれれば、国民全体の奉仕者という公務の性格がゆがめられる。官民癒着・官業癒着をきっぱり断ち切るべきだ」と主張しました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-08/2017020802_02_1.html 2017年2月8日(水) 第1次安倍内閣が自由化 塩川議員「天下り規制強化を」 塩川鉄也議員は7日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相が「機能している」と誇る再就職等監視委員会について、実効性ある働きができていない実態を示し、第1次安倍政権下で原則自由化された天下りの規制強化を求めました。 再就職等監視委員会は、第1次安倍政権が天下りを自由化した際につくった仕組みです。安倍首相が、監視委が機能した例として挙げる国交省の組織ぐるみの天下りあっせん問題(2011年)は、塩川氏が当時国会で取り上げたもの。塩川氏は▽同一ポストに何代も続けて天下りする「固定ポスト」▽複数の天下り先を渡り歩く「わたり」▽二つがいっせいに行われる「玉突き人事」―という、組織ぐるみの構造を解明。この全体像を明らかにするよう求めていました。 塩川氏は、監視委の調査が、同氏の指摘した21ポストにわたる玉突き人事の構造のうち、2ポストについてしか違法性を認定しなかったと強調。安倍首相に、「これで監視委が機能したといえるのか」と迫りました。首相は、監視委の調査を明らかにしないまま、民主党政権時にはできなかったことだと述べるにとどまりました。 塩川氏は、官僚トップが関与する役所ぐるみの天下りが後を絶たないのは、第1次安倍政権下の天下り原則自由化に基づく「構造的な問題だ」と指摘。11年の福島第1原発事故直前に、資源エネルギー庁元長官が東京電力顧問に天下りしたのが典型だと述べました。 塩川氏は、規制対象を民間企業だけでなく公益法人・特殊法人に拡大し、離職後に5年の再就職禁止期間を設けるなど、原則自由化前の規制を抜本強化するとともに、定年まで働ける人事制度に改めるべきだと主張しました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-08/2017020803_02_1.html
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