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私たちの年金をトランプへの「貢ぎ物」にしようとしたのは誰か? 国民不在の呆れた手柄争い
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50912
2017.02.07 町田 徹 経済ジャーナリスト 現代ビジネス
■我々の年金を貢ぎ物に?
「報道にはあっているものもあれば、そうでないものもある。政府として、この報道のような検討をしているわけではない」
「そもそも、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に対して、あれを買え、これを買えなどと指図する権限は私にはない」――。
安倍晋三首相は先週金曜日(2月3日)の衆議院予算委員会の答弁で、こう語り、ある報道をきっぱりと否定した。
その報道とは、今週末、安倍首相が渡米、会談するトランプ米大統領への手土産として、日本政府が米国の雇用拡大を促す経済包括策を用意、その中にGPIFが運用している我々国民の年金資金を(トランプ氏が大統領選挙中に公約した)米国のインフラ投資に充てる案を盛り込むという、あってはならない話だ。
安倍首相には、かつてGPIFの株式投資枠を前倒しで劇的に拡大して日本株投資の急拡大を促し、年金資金をリスクにさらしておきながら、そのことには触れずに「アベノミクスが株高に貢献した」と無邪気にはしゃいだ”前科”がある。
あれから数年が経ち、今回は「国民のために、独立機関のGPIFが独自に判断して運用する」という年金運用の大原則を尊重する姿勢を明確にしてみせたことに、首相の政治家としての成長を感じた読者も多いのではないだろうか。
しかし、手放しに喜ぶのはまだ早い。今回の騒動は、東京・永田町の首相官邸に、前近代的な朝貢外交を彷彿させるような時代錯誤の政策パッケージ案を密かに策定して、一部メディアにリークする勢力が存在する事実を浮き彫りにしたからだ。
実は、安倍政権において地道で真っ当な政策が立案され難い理由の一つが、ここにある。我々国民の将来がどうなろうと、自分たちの手柄さえ演出できればよいという魑魅魍魎が首相官邸を跋扈しているのだ。
■いったい誰のプランなのか
我々の年金資金がトランプ米大統領への貢ぎ物にされると最初に報じたのは、先週木曜日(2月2日)付の日本経済新聞だ。
朝刊1面の2番目に大きなニュースの扱いで、「GPIFが米国のインフラ事業に投資することなどを通じ、米で数十万人の雇用創出に繋げる。対米投資などで米成長に貢献できる考えを伝え、トランプ政権との関係強化につなげる」などと報道した。
その詳報では、すでに「日米成長雇用イニシアチブ」(仮称)の検討が始まっており、その原案は、インフラ整備に係る米企業の社債をGPIFに購入させることを想定しており、この購入には最大6.5兆円を振り向けることが可能と示唆している。
インフラ投資以外では、医療や介護向けのロボット、原子炉の廃炉などの共同研究も検討する方針を伝えている。
だが、安倍首相自身が国会答弁で述べたように、年金資金の投資判断はGPIFの専管事項だ。GPIF自身が、将来、我々国民が安定的に年金を受け取れるように、期待されるリターンとリスクを勘案しながら、幅広く分散投資を行う必要がある。
それを、時々の政権の都合で歪めることは許されない。まして他国への貢ぎ物にするなど、もってのほかである。
それにもかかわらず、いったい、誰がなぜ、このような施策を「日米成長雇用イニシアチブ」としてまとめて、首相の耳に入れる前の段階で、わざわざ新聞にリークしたのか。
筆者の取材に、「官邸内の主導権争いがあり、我々の『インフラ投資債市場構築案』がつまみ食いされた」と明かすのは、かつて「ハゲタカ」と称されたこともある外資系の金融機関だ。
同社は水面下で、日米両政府が後ろ盾となって法制を整えることにより、将来、有償で利用してもらう道路や鉄道の収益で元利払いを行う債券市場を創設する計画を策定、これを安倍首相からトランプ大統領に提案するよう働きかけていたという。
というのは、日米ともに老朽化したインフラを補修したり、新たなインフラを建設したりする需要が大きい。にもかかわらず、財政規律の制約に直面しており、これ以上従来型の赤字国債や政府保証付き地方債の発行によるインフラ整備が難しい状況になりつつある。
そこで、インフラ事業そのものに着目した、プロジェクト債券の市場を新たに創設して、そのディスクロージャーや投資家保護の枠組みを確立することによって、世界の投資家から資金を集める計画を打診していたというのである。
この構想が実現すれば、日銀のマイナス金利政策などで資金運用難に陥っている日本の公的機関や民間金融機関からの投資も呼び込めると踏んでいたのだ。
ところが、安倍政権内では、政治家と官僚が入り乱れた”お手柄争い”が横行している。中には、てっ取り早くトランプ政権に貢ぎ物を差し出せばよいと考え、GPIFの年金資金を米インフラ事業に直接投資させれば簡単だと考えた向きが存在したという。
この向きが、インフラボンド市場創設へ向けた日米協調策の最終部分だけをつまみ食いして、件の「日米成長雇用イニシアチブ」をとりまとめ、新聞にリークしたというのが、前述の外資系金融機関の見立てである。
■このままではトランプの言いなりに…
真偽は藪の中だが、ひとつだけはっきりしていることがある。
それは、日本の年金マネーが米インフラ投資に回る点は同じでも、世界中から投資マネーが集まる新型債券の市場を整備して、GPIFも含めて多様な投資マネーを呼び込むのと、資金の償還やリターンに関する明確な保障がない話にGPIFのマネーを貢げというのでは、話がまったく違うと言うことだ。
前者は市場実勢に応じた利回りが保証されて年金マネーの運用先として魅力的なものになり得るのに対して、後者は収奪の場になりかねず、年金資金の投入は絶対に認められない。
トランプ大統領は、就任以来、メキシコとの国境に壁を作る大統領令や、イスラム圏の7ヵ国からの入国を一時禁止する大統領令、リーマンショックの反省から生まれた金融規制改革法(ドッド・フランク法)を見直す大統領令に次々と署名し、騒ぎを大きくする一方だ。欧州や中南米では公然とトランプ大統領の施策を批判する首脳も珍しくない。
一方、安倍首相は、トランプ氏の施策について、「コメントする立場にない」などと述べて、公の場での批判を避けてきた。
そして、そのトランプ大統領との日米首脳会談を、今月10日だけでなく、翌11日も継続するという。2日目については、2人そろって専用機で常夏のフロリダ州に移動、トランプ氏の保有するゴルフ場でそろってプレーすることまで検討されているという。
この2日間の会談で、トランプ大統領との強固な信頼関係を構築でき、それが日本の国益にかなうと言うのならば、2人きりの密室会談の利点を活かして、公の場では言いにくいこともはっきりさせて来てほしい。
インフラ投資や成長戦略を例に取れば、日本はどういう協力ができ、逆に、どういう協力はできないのか、間違っても誤解されることがないように明確に説明する必要があるだろう。
自由貿易を巡っては、同大統領の保護主義策がいかに世界経済の重荷になるかも話して再考を促すべきだ。2人の会話の展開次第では、日本の日頃の移民・難民政策は棚に上げて、アメリカの寛容さの重要性を説く必要もあるかもしれない。
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