2017年2月6日(月) 沖縄新基地 辺野古緊迫 ブロック大量投入へ 知事権限行使で阻止 安倍政権は10日の日米首脳会談に向けて、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設の進展を誇示するため、護岸工事に伴う汚濁防止膜を固定する大型コンクリートブロックの投入を6日にも開始するなど、工事の本格化を狙っています。5日には数隻の作業船団が辺野古・大浦湾に到着しました。翁長県政はあらゆる権限を行使して工事を阻止する構えを見せており、重大な局面に入っています。(竹下岳、柳沢哲哉) http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-06/2017020601_01_1.jpg (図)汚濁防止膜と護岸の設置位置(沖縄防衛局が2014年9月に提出した、辺野古新基地に関する設計概要説明書をもとに作成) 前作業ほぼ終了 防衛省沖縄防衛局は埋め立て本体工事前の作業として、臨時制限区域を示すフロート(浮具)の張りだしを5日までにほぼ終了。また、残り1カ所とされている海底ボーリング(掘削)調査にも着手します。 さらに、海上ヤード設置や護岸工事に伴う汚濁防止膜を固定するブロックの投下を狙っています。重さは1個あたり11・2トン〜13・9トンで228個にもおよび、サンゴ礁など海底の著しい破壊につながります。 日本自然保護協会は要望書で「コンクリートブロック投入は、サンゴ群体とサンゴ礁を破砕し、潮流の変化を生じさせる可能性を高める。人工構造物の設置による潮流の変化により、サンゴ礁に広く影響が出た事例は数多く存在します」と指摘しています。 汚濁防止膜の設置とブロック投下に関し、県は1月5日、防衛局に対し、計画の具体的内容や設置位置など詳細を防衛局に照会。3日に回答がありましたが、県は、照会した内容の確認ができるまでブロックを投下しないよう要請。防衛局が投下を強行すれば、行政指導も含め「対応を検討する」としています。 ブロック投下と汚濁防止膜張り出しには3カ月程度かかる見通し。これが終われば本体工事である護岸工事に入り、大浦湾の破壊はいよいよ顕著となります。 不許可も視野に 仲井真弘多前知事が2014年8月に出した岩礁破砕許可は3月末で期限が切れます。許可がなければ埋め立て区域内で工事はできません。翁長雄志知事は不許可も視野に入れています。 政府は県の漁業調整規則に、漁業権が設定されている漁場内で海底の地形を変更する場合に許可を得る必要があるとの点に着目。地元漁協が臨時制限区域内の漁業権を放棄していることから、岩礁破砕許可の再申請は必要ないと解釈し、再申請なしの工事強行も検討しています。 これに対し県は3日、漁協が漁業権を放棄しても、知事が手続きを行わない限り漁業権は設定されているとして、知事の許可を更新する必要があるとの考えを防衛局に伝えました。 防衛省は15年3月25日の衆院外務委員会で、日本共産党の赤嶺政賢議員に対し、「都道府県漁業調整規則の解釈については、各都道府県が判断する」と答弁しており、県の立場に道理があるのは明白です。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-06/2017020601_01_1.html 2017年2月6日(月) 辺野古新基地 運動さらに 工事焦る政府 県・市に多彩な権限 安倍政権は2015年10月、20年10月の完成を目指して辺野古新基地の埋め立て本体工事着工を宣言しました。 しかし、実際はキャンプ・シュワブ陸上部の先端をわずかに整備した程度です。その後、翁長雄志知事による辺野古の埋め立て承認取り消しや訴訟に伴う「和解条項」で昨年3月から約10カ月、工事が停止。さらに県民のたたかいで工程は大幅に遅れています。 防衛省沖縄防衛局が提出した埋め立て申請書に示された主な本体工事のうち、現時点で着工されたものは一つもありません。(表) より効果的な方法で さらに、沖縄県や名護市には工事を阻止するさまざまな行政権限があります。 有力視されているのは、1面報道の岩礁破砕の不許可に加え、埋め立て承認の「撤回」です。 仲井真弘多前知事が行った「埋め立て承認」を違法だと判断した翁長知事による「埋め立て承認の取り消し」は最高裁判決で退けられましたが、仲井真知事が承認したときと事情が変わったとして承認を「撤回」するという権限があります。 知事がこの権限を行使すればその瞬間からすべての工事は停止され、再び裁判闘争を経なければ再開できないものと見られます。 謝花(じゃはな)喜一郎知事公室長は市民団体の要請に「弁護団や学者の方々の意見を聞きながら、より効果的な方法で撤回をやる必要があり、検討している」と述べています。 翁長知事は1月20日のシンポジウムで「今後も新基地建設を進める上では、政府はいくつもの許認可を県や名護市に申請しなければならない。しっかり対処する中、撤回も含めて視野にいれながら、新辺野古基地は絶対に造らせない」と明言しています。 器物損壊容疑を想定 工事の遅れに焦る安倍政権は、新たな手段を用いて抗議行動を抑え込もうとしています。 防衛省沖縄防衛局は海上での抗議行動を排除するため、臨時制限区域を示すフロート(浮具)を海上に張りだしました。抗議船が進入できないようにするため、1年前には見られなかった支柱が取り付けられ、ロープや網が張り巡らされました。 海上保安庁は「壊したら器物損壊になる」と脅していますが、波や風の影響で支柱はしばしば破損しています。元県議の具志堅徹さんは、「自然環境を知らない人たちが考えたことだろう。何の意味もない海の破壊行為だ」と怒りをあらわにします。 防衛局はさらに、報道各社に対して臨時制限区域に立ち入らないよう求める警告文書を報道機関に送り付け、脅しをかけています。 ヘリ基地反対協の安次富(あしとみ)浩共同代表は、「器物損壊容疑での逮捕を想定するなど、報道の自由や表現の自由、行動の自由に制限をかけ、抵抗運動をつぶしにかかる弾圧だ」と憤ります。 また、米軍キャンプ・シュワブの陸上部では、埋め立て工事に必要な生コンクリートの製造施設建設も計画されています。シュワブゲート前の県民らの座り込みで、ミキサー車が入れず、生コンクリートが使いものにならなくなることを避けるためとみられます。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-06/2017020603_01_1.jpg (写真)米軍キャンプ・シュワブゲート前で「新基地反対」「工事を止めろ」と訴える人たち=3日、沖縄県名護市 全国の連帯で阻止を 国の強引な工事の進め方に対し、新基地建設に反対する県民らは海上で船やカヌーで抗議行動を展開し、資材や工事車両の搬入口となっているシュワブゲート前で座り込み、たたかいを続けています。 抗議船「平和丸」船長でヘリ基地反対協の仲本興真事務局次長は、政府の一連の行為について「狙いは県民の新基地建設反対の意思をくじいてあきらめ感を起こすことだろう」と話します。一方で「毎日、必死で抗議行動が海と陸で行われている。政府のやり方は、新基地反対運動の広がりを恐れてのこと。全国の人たちと連帯して大きな運動を起こせば、工事を止められる。決してあきらめていないし、今こそ正念場。全国からもぜひ、現地に足を運んでほしい」と訴えます。 沖縄県統一連の中村司代表幹事は「安倍政権が何が何でも造るという姿勢を見せるほど、さらに県民の怒りはわいてくる。今が踏ん張りどき。知事の権限も行使されるこれからがヤマ場。さらに運動を強化していく」と決意を新たにしています。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-06/2017020603_01_1b.jpg http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-06/2017020603_01_1.html
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