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2016年11月29日
ここまでやるのか?美濃加茂市長に逆転有罪判決
美濃加茂市の雨水浄化設備導入を巡り現金30万円を受けとったとして受託収賄罪に問われ、一審の名古屋地裁で無罪判決となった市長の藤井浩人被告の控訴審判決が本日(11月28日)名古屋高裁でありました。
村山浩昭裁判長は一審判決を破棄し、懲役1年6か月、執行猶予3年、追徴金30万円の逆転有罪判決を言い渡しました。
なぜ本誌が、経済事件とも言えず決して大規模な収賄事件でもない本件の判決を取り上げるのかというと、11月22日付け「東芝の刑事告発を巡る2つのタイムリミット」に書いた通り、この判決は東芝の刑事告発の行方に大きな影響があり、その流れの中で藤井被告に逆転有罪の可能性があると「はっきり」と指摘してあったからです。
<この部分についてたけしくんの引用開始---
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1877.html 2016年11月22日
もう1つのタイムリミットは、一見何の関係もないように思われますが11月28日に名古屋高等裁判所で、美濃加茂市長・藤井浩人氏の収賄容疑の控訴審判決が言い渡されます。この事件は最初から無理筋のでっち上げ事件とされており、実際に2015年3月5日に名古屋地裁で無罪判決が出ましたが、名古屋地検が即座に控訴していました。
何でこの判決が東芝の不正会計に関係するのかというと、2014年に藤井浩人氏を無理筋で逮捕した名古屋地検の長谷川充弘検事正(当時、現広島高検検事長)こそ、佐渡氏の後任の証券取引等監視委員会委員長に内定しているからです。
東芝に関して佐渡委員長は完全に検察庁を敵に回していますが、後任の長谷川氏はもちろん検察庁から新たに委員長に送り込まれるので、東芝でも検察庁の意向に反して(刑事告発に向けて)動くはずがありません。
そこで11月28日に藤井市長に改めて無罪が言い渡され、さらに起訴した名古屋地検の捜査方法などに裁判官から遺憾の意でも示されてしまうと、起訴した名古屋地検のトップだった長谷川氏の経歴にもキズがつき、すんなりと監視委員会委員長の座に就けなくなる恐れも出てきます。
しかし日本の裁判所は(とくに高裁のような上級裁判所になればなるほど)その辺を「配慮」するものなので、今度は藤井氏の逆転有罪の可能性まで出てくることになります。有罪とはならなくても名古屋地検に全く非がない内容の判決になるような気がします。
この部分についてたけしくんの引用終了--->
事件そのものは、検察側が現金30万円を藤井市長に渡したという贈賄側1人の証言だけで起訴した典型的な無理筋で、一審の名古屋地裁では当然のように無罪判決が言い渡されていました。
もともと物証が何もなく、所詮はたった1人の贈賄側証言をどう受け取るかという主観の問題でしかなく、このようにきれいに正反対の判断が出ることも不思議ですが、コトの本質はそんな単純なものではありません。
東芝の不正会計を刑事事件化するかどうかについては、「完全にクロ」とする証券取引等監視委員会(以下、監視委員会)と、政治的配慮からか「立件は難しい」とする検察庁(担当は東京地検特捜部)の意見が真正面から対立する珍しい構造となっています。
もともと検察庁は監視委員会に佐渡賢一委員長をはじめ多数のOBや幹部を送り込んでおり、このように個別案件を巡り意見が対立することはありません。しかし12月に退任予定の佐渡委員長は何とか任期中に東芝を刑事事件化しようとしており、検察庁を完全に敵に回しています。
そしてこの佐渡委員長の後任として長谷川充弘・広島高検検事長が内定しており、当然のように新委員長は検察庁を敵に回すはずがなく、東芝の不正会計は検察庁の意向通り刑事事件化が見送られます。
その対立にどうして本日の判決が関係しているのかというと、そもそも藤井市長を無理筋で逮捕・起訴した名古屋地検の事件当時のトップこそ、佐渡委員長の後任に内定している長谷川・名古屋地検検事正(当時)だったからです。
もし本日の名古屋高裁の判決が無罪判決のままで、さらに藤井市長を逮捕・起訴した名古屋地検の捜査方法に対して遺憾の意でも示されたなら、長谷川・次期監視委員会委員長がすんなりと誕生しない可能性も出てくるからです。
もしそうなれば「次の委員長候補」を立てればいいだけですが、やはり時間がかかってしまい監視委員会に反撃の口実を与えてしまうことになります。
すべてが「万が一以下」の可能性だったはずですが、そこはさすがに名古屋高裁といった上級裁判所の裁判長ともなると、ちゃんと「配慮」してくれたようで、本日の藤井市長に対する逆転有罪判決となりました。
当然に最高裁まで争われるはずですが、そこで再逆転となる可能性は文字通り「ゼロ」で、藤井市長の有罪判決が確定してしまいます。所詮は執行猶予といっても市長は失職となり一定期間の公民権も停止となります。
本誌も11月22日の記事で、一応は逆転有罪の可能性はあるとは書いたものの「いくら何でもそこまではやらないだろう」と考えていました。改めて「ここまでやるか?」と言いようのない恐怖心にとらわれています。
本日午後のテレビニュースではASKA再逮捕か?のニュースばかりですが、それすらこの判決を目立たないようにする「煙幕」ではないかとまで思ってしまいます。
いずれにしても東芝の刑事事件化は、完全に「消えて」しまいました。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1883.html
ここまでやるのか?美濃加茂市長に逆転有罪判 その2
11月29日付け「同題記事」の続きです。そこにも書いたように本誌がこの顛末にこだわる理由は、東芝不正会計を絶対に刑事事件化しないという検察庁の「強い意志」を名古屋高等裁判所が「斟酌した」としか考えられないからです。
この名古屋高等裁判所の「奇怪な」判決理由は、美濃加茂市長・藤井浩人被告の弁護人である郷原信郎氏のブログに詳しく書かれているので読んで頂くとして、本日は11月29日付け記事に頂いたコメント(ご質問)にお答えすることにします。
まず「贈賄側の証言だけで有罪になるなら、甘利元大臣が不起訴になったのはおかしいのでは?」ですが、これは証言があろうとなかろうと、またその証言に信憑性があろうとなかろうと、全く違ったレベルで有罪か無罪か、あるいは起訴か不起訴かが決められるため、あまり意味のない議論となります。
決算における不正会計の金額だけを比べてみても東芝は2300億円をこえており、刑事事件化したオリンパスが最大で1178億円、刑事事件化プラス即刻の上場廃止となったライブドアはたった53億円でした。不正金額の大きさと刑事事件化とは何の関係もないことと同じです。
次に「昭和HD、般若の会、レノは結局どうなったのか?」です。
APF(代表・此下益司氏)による昭和ホールディングス買収については「真っ黒」な取引だらけですが奇怪なことに刑事事件化せず、課徴金40億円が課せられましたが当然のように逃げ切られ、APFも2016年2月に破産しています。抜け殻にされた昭和ホールディングスはまだ上場しています。
般若の会というより加藤あきら氏とその親族は金融商品取引法違反(相場操縦など)で起訴され、2016年6月から裁判が始まっています。完全否認なので時間が少しかかりますが、粛々と有罪判決となります。
レノも同じような金融商品取引法違反(相場操縦など)の疑いで証券取引等監視委員会の強制調査を受けましたが、こちらは検察庁と今一つ足並みが揃っていないようで、まだ何の動きもありません。強制捜査ではなく強制調査となっているのは、検察庁が最初から加わっていなかったからです。
この3つを並べただけでも、刑事事件化とそうでない境界線が明確でないことがわかります。
さらに「東芝の扇会は、この問題(東芝は刑事事件化しない)に関係があるのか?」です。東芝扇会とは、もともとは社内の共産党分子の「炙り出し」を目的にしていたはずで、歴史のある財閥系企業にはすべて似たような組織があったはずです。
古い話ですが1949年の松川事件(列車転覆事件)は、付近にあった東芝松川工場の組合潰しのための「壮大なでっちあげ事件」ですが、それにも扇会が暗躍していた可能性があります。また現在も扇会が活動しているのかなどはわかりません。
扇会には警察OBがいるとされていますが、それもよくわかりません。この扇会の存在が今回の不正会計が刑事事件化されない原因ではありませんが(もちろん何の抑止力にもなりませんが)、長年警察OBを受け入れていたならその「功績」が考慮されていることはあるかもしれません。
さらに「東芝の不正会計がまた新たに明らかになったが、それでも刑事事件化しないのか」ですが、答えはもちろん「何の関係もありません」となります。
これは東芝が11月11日の2016年4〜9月期決算発表時に公表した5億2000万円の「過去の不正経理」のことで、2015年9月に公表した2248億円、2016年3月に追加した58億円に続く3回目の公表となります。
つまり東芝の不正会計とは、まだまだ全貌がよくわからない「現在進行形の事件」のようですが、もちろんあと何回出てきても金額がどれだけ追加されても刑事事件化しません。全く違ったレベルでそう決まっているからです。
また11月28日付けダイヤモンド・オンラインに「東芝がまた不正会計 ついに管理銘柄入りか」との記事が出ていますが、もちろん東証もその辺の事情は十分に認識しているため現在の形式的でしかない「特設注意市場銘柄」への指定も、時期がくれば何の問題もなく外されます。
最後に「怖すぎるよ」とのコメントも頂いていますが、「全くその通り」です。
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投稿者 戦争とはこういう物 日時 2017 年 1 月 30 日
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