http://www.asyura2.com/17/senkyo219/msg/923.html
Tweet |
狙いは案の定首切り自由化 馬脚を現した働き方改革の正体
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/198671
2017年2月1日 日刊ゲンダイ 文字お越し
矛盾と詭弁(C)日刊ゲンダイ
通常国会では連日、予算委員会が開かれているが、米国のトランプ大統領への対応と「働き方改革」に質問が集中している。
看板政策に掲げる働き方改革の一環として、安倍政権は長時間労働の見直しを進める方針だ。労基法の一部を改正し、残業時間は「年間で月平均60時間まで」と上限を設ける法案を提出する予定。一見、もっともらしい改正案ではあるが、労働者の味方ヅラの猿芝居に騙されちゃいけない。
労働問題に詳しい政治学者の五十嵐仁氏が言う。
「この政府案は『繁忙期は100時間までOK』『2カ月連続で80時間まで認める』など抜け穴だらけです。月80〜100時間の残業は過労死ラインなのに、法律でお墨付きを与えることにもなりかねない。現行法でも残業は週40時間が上限とされているのですが、企業が労使協定を結んで、社員の過半数から合意を得れば超過の残業も認められてきた。いわゆる労働基準法36条の“サブロク協定”で、ザル法にされてきたのです。電通の女性社員が過労自殺した事件が社会問題化したため、残業規制に取り組む姿勢を示すことにしたのでしょうが、大企業ベッタリで『企業が世界一、活躍しやすい国』を目指すと公言してきた安倍政権が、本気で労働者の待遇改善を考えるとは思えない。残業規制の実効性には疑問があります」
そもそも安倍政権は、裁量労働制の拡大を目指してきた。クビ切り自由化や残業代ゼロ法案を推し進めようとしているのも、コストを抑えたい大企業の論理に立っているからだ。
■残業規制と残業代ゼロを抱き合わせ
それらの労働“改悪”はさすがに世論の反発が強く、強行採決を平気で連発する安倍政権でも日の目を見ていないが、まだ諦めたわけではない。あろうことか、残業規制と裁量労働制の拡大を“抱き合わせ”で提出することをもくろんでいるという。「長時間労働抑制策を明記すれば、野党も改正案に反対しづらいだろう」(官邸関係者)と言うのだが、残業時間の規制と残業代ゼロは、明らかに方向性が違う。真逆と言っていいくらいだ。そこを衆院予算委で突っ込まれた安倍首相は、残業時間に上限を設ける長時間労働の抑制策と、残業代ゼロなどの労働規制緩和は「矛盾しない」とか強弁していたが、どう考えても無理がある。
与党内からも、「残業規制と残業代ゼロの整合性をつけてくれないと有権者に説明できない」(自民党中堅議員)という声が上がるほどで、安倍政権が唱える働き方改革は、早くも馬脚を現した。
「これまでも、生産性を上げると言って地方創生、女性活躍、1億総活躍などを次々とブチ上げてきましたが、呼び名が変わっただけで中身は伴わず、掛け声倒れに終わってきた。キャッチーな掛け声に頼るだけで、しっかりしたビジョンがないからです。今回の働き方改革にしても、長時間労働の抑制は、電通の事件を受けて場当たり的に言い出したに過ぎません。国民受けを狙った姑息な目くらましと思った方がいい。電通の事件では、労働基準監督署が異例の早さで立ち入り検査に入り、強制捜査にも乗り出しましたが、それにも実は裏があったと勘繰る向きは多いのです。首相が敵視する朝日新聞やTBSで過労死問題が起きたら、すぐに強制捜査に入って叩き潰すための下地づくりだと永田町では噂されていました。そんなふうに言われてしまうような政権ですから、長時間労働規制を名目にして、自分たちが本当にやりたいことを推し進めるつもりです」(政治ジャーナリストの山田厚俊氏)
上から目線の「働かせ方改革」/(C)日刊ゲンダイ
合意形成の枠組みも無視で頭ごなしに改悪押し付け
こうなると、働き方改革の正体がハッキリ見えてくる。過労死の防止をタテに反対論を封じた上で、本当の狙いが残業代ゼロやクビ切り自由化の実現にあることは明白だ。それが、安倍応援団の経団連にとって悲願だからである。そのために自民党への献金を呼びかけ、“官製春闘”のゴリ押しにも応じてきた。そして、とうとう先月30日、厚労省の有識者会議が金銭解雇の導入に向けて本格的な議論を開始したのだ。コレ、もちろん、クビ切り自由化だが、こうやって名前を変えるのはこの政権の常套手段だ。
安倍は昨年、「働き方改革担当相」を新設し、その下には「働き方改革実現会議」をつくった。残業代ゼロ法案と呼ばれたホワイトカラーエグゼンプション制度はあまりに不評だったため、こっそり「高度プロフェッシュナル制度」に名前を変更。裁量労働を盛り込んだ労基法改正案は継続審議になっている。
「本来、労働政策に関する重要事項は、厚労相の諮問機関である労働政策審議会(労政審)で議論して決める必要があります。それがILO(国際労働機関)の示す国際労働基準でもある。ところが、安倍政権は労政審の上に働き方改革実現会議を置き、あるべき合意形成の枠組みを無視して、頭ごなしで労働改革を進めようとしている。働き方改革実現会議のメンバーには、経団連の榊原会長のほか、連合の神津会長も名を連ねていますが、今の連合は決して一般労働者の味方ではなく、大企業の代弁者に過ぎません。これでは、政権と財界のやりたいように物事が進められ、労政審に押し付けられることになってしまう。安倍首相にしてみれば、取ってつけたような長時間労働の抑制を言い出して連合にもいい顔をすることで、民進党の支持基盤を崩す狙いもあるのでしょう。残業規制で国民の支持を得られ、ついでに野党潰しもできれば一石二鳥ですからね」(五十嵐仁氏=前出)
■上から目線の「働かせ方改革」
この政権にかかると、国民にとって切実な労働問題も、野党潰しの道具にされてしまう。働き方改革実現会議なんて、政権と財界に都合のいい“労働改悪”を進めるアリバイに使われるだけだ。耳当たりのいい言葉を並べて、またしても国民をペテンにかけようとしているのである。
「労働改革というのなら、裁量労働制の拡大の前にやるべきことがあるはずです。例えば、今や労働者全体の約4割に達する非正規労働者の待遇をどうするのか。非正規雇用のため結婚もままならない人が増え、ますます少子化が進むことが、日本の雇用環境にとって最大の問題なのではないでしょうか。そういう現状に対して抜本的な対策を講じようとはせず、残業時間規制という目先の手柄でゴマかそうとしているようにしか見えません。安倍首相は『非正規という言葉をこの国から一掃する』と言っていましたが、それなら、なぜ働き方改革実現会議に非正規労働の代表が入っていないのか。結局、この政権は一部の大手企業の方しか向いていないのです。企業が収益を上げられるなら、労働者の待遇悪化は必要悪と捉えているフシがある。労働者の権利や人件費がコストという考え方は、完全に経営者側の論理です。そういう上から目線の政権ですから、野党の主張を横取りした『同一労働同一賃金』も、しょせんは選挙対策や人気取りのアメでしかなく、お題目で終わる気配が濃厚です。アメをぶら下げられて、うっかり支持してしまうと、働き方改革によって、かえって労働環境が劣悪になっていたというムチが、国民に降りかかることになりかねません」(山田厚俊氏=前出)
財界の要望を受けた安倍政権が目指すのは、あくまで「働かせ方改革」だということを忘れてはいけない。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK219掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。