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ジャーナリストの田原総一朗氏が、天皇陛下の退位問題について持論を展開(※写真はイメージ)
田原総一朗「安倍政権が天皇陛下の意向を忖度しない理由」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170125-00000181-sasahi-pol
週刊朝日 2017年2月3日号
ジャーナリストの田原総一朗氏は、天皇陛下の退位問題について、持論を展開する。
* * *
天皇陛下の退位をめぐり政府が設けた有識者会議は、1月23日の会合で「論点整理」を公表することになっている。結果は、いまの陛下に限って退位を可能にする特例法の制定が軸になるのだろうが、これにはおそらく反対の国民が多いのではないだろうか。実は私も反対である。
もっとも、正式に皇室典範の改正をしようとすれば有識者会議の間でさまざまな意見が出て、まとまるのに大変時間がかかり、現在の天皇には時間的に間に合わない危険がある。だから、まずは特例法で対応し、後に必ず皇室典範の改正を行うという二段構えにすべきだ。憲法2条に「皇位は(略)国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と定めているからだ。
元最高裁判事で東北大学名誉教授の藤田宙靖(ときやす)氏は18日の朝日新聞のインタビューで「退位を認めるには典範改正が必要だという主張がありますが、私は特別法でも可能であろうと考えます」と述べているが、
「ただ、私が強調したいのは、退位を特別法によって実現しようとするのであれば、その法律は必ず、今後の天皇にも適用されうる法的ルールを定めたものでなければならないということです」
「憲法がわざわざ『皇室典範』と法律名を特定して書いている背景には、安定的な皇位継承のためには明確な法的ルールが必要であり、政治状況や社会状況に応じて、時の政権や多数派の主導による安易な代替わりがあってはならないという意味が込められていると考えるからです」
と、力説している。
もう一人、特例法に異議を訴えるのが明石元紹氏だ。幼稚園時代からの天皇の遊び相手で、学習院初等科から高等科まで同級生だった「ご学友」である。明石氏は、退位について天皇から直接電話で聞いているのである。その内容を文藝春秋2月号で、次のように書いている。
「今度の話(退位)については、ずいぶん前から考えていた。明治以前には、途中で譲位をしたり、いろんな形でいらした天皇がたくさんいる。それがいろんな結果を生んだのは確かだ。けれど、譲位は何度もあったことで、僕がいま、そういうことを言ったとしても、何もびっくりする話ではない」
そして天皇は、こう話したという。
「この問題は、僕のときだけではなくて、将来を含めて譲位ができるようにしてほしい」
明石氏は天皇が皇室典範の改正を求めていると理解し、そのことを仲介者を経て杉田和博官房副長官に伝えたが、杉田氏は「今上陛下一代限りの退位であれば、合意を取りまとめることができるでしょう。しかし、将来まで含めた恒久的な制度については、国会議員の総意を得るのは大変難しい」と答えたという。明石氏は有識者会議の設置前から特例法という政府の方針が決まっていたのではないかと、不満を込めて書く。
なぜ、政府は天皇の意向を無視するかたちで、特例法でまとめようとしているのか。もしも皇室典範の改正となれば、女性天皇、女系天皇、女性宮家の問題なども議論しなければならず、そうなると反対意見などが多く出てきてまとまらなくなる。杉田官房副長官はこのように説明したようだが、実は女性天皇、女系天皇、女性宮家などには安倍首相自身が反対しているのではないか。杉田官房副長官が独断で説明できるはずがないからだ。
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