http://www.asyura2.com/17/senkyo219/msg/632.html
Tweet |
焦点:米国抜きのTPP考えず、今後の通商交渉へ新組織も検討
[東京 25日 ロイター] - トランプ米大統領が環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を決めたが、安倍政権は米国抜きのTPPは戦略的にもあり得ないとの立場を維持、豪州などが言及する中国の参加には消極的だ。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などもTPPをモデルに交渉していく方針で、中国に対しては為替や資本規制の改善を迫る必要性も指摘される。一方、政府は今後の通商交渉にあたる組織の新設も検討する構えで、対米2国間交渉も含め、通商戦略が新たな局面を迎えつつある。
<米抜きのTPPは「あり得ず」>
「TPPの狙いは中国主導でなく日米主導の経済圏を確立すること。戦略的に米国抜きはあり得ない」──政府関係者の一人はこう述べ、安倍政権としてはあくまでも米国が参加するTPPの発効を目指してトランプ大統領を説得していく考えを示した。
安倍首相も25日の国会で「TPP協定の戦略的・経済的意義について、腰をすえて(米新政権の)理解を求めていきたい」と繰り返し、「この成果を基礎として、日EUのEPA(経済連携協定)のできる限り早期の大枠合意を目指すとともにRCEP、日中韓FTA(自由貿易協定)などの交渉において質の高い協定をめざしていく」と強調。TPPをモデルに他の貿易協定を締結していく姿勢をみせた。
実際、TPPは米国抜きには発効しない。2年以内にTPP域内の国内総生産(GDP)の合計の85%以上を占める6カ国以上の批准が条件で、米国抜きでは発効できない仕組みだ。また、米国抜きでのTPPの合意には再交渉が必要となり、相当な時間がかかる。
アジア開発銀行研究所・吉野直行所長(慶応大学名誉教授)によると、米国抜きのTPPによる各産品への影響や自由化までの猶予期間の試算を各国ごとにやり直す必要があり、「そう簡単にできる話ではない」という。
<中国参加の協定には消極的>
このため、豪州やニュージーランドは、米国抜き、もしくは中国などアジア諸国の参加を促したかたちでTPPを実現する考えや、RCEPを推進する方向を示している。
しかし、日本政府の中にはTPPへの中国参加や、中国主導となる可能性のある貿易協定には、反対意見も根強い。
ある政府関係者は「TPPに中国が加入してその価値を薄めるのなら、その発効にエネルギーを費やすには値しないだろう」と指摘する。
また、「TPPがとん挫しても日本がRCEP参加に傾斜するという話にはならない。参加国が増えてRCEPが拡大しても中国の都合の良い形にしかならないだろう。トランプ大統領にそれを理解してもらうしかない」と指摘する政府関係者もいる。
経済交渉を担当する政府筋の一人は「(中国も含む)RCEPの交渉は淡々と進めている最中。具体的な条件は言えないが、中国との関係は極めて重要ファクター」と見ている。
アジア開銀研究所の吉野所長は「TPPが実現しないならRCEPを進めればよい」との考えだ。ただ「既にアジアの中で中国のプレゼンスは 日本が思っている以上に大きい。貿易量もODAもとっくに中国に抜かれており、日本のアジアでのプレゼンスは中国と比べて既に低い」として、「日本にとって大事なのは、アジア諸国に対して中国が満たすべき条件をきちんと伝えること」だと指摘。自由貿易圏を発展させるためには、中国が為替レートを市場メカニズムで動くようにすること、資本移動を自由化することを条件として挙げている。
<新組織を検討、日米協議も視野>
トランプ大統領は、TPPよりも2国間貿易提携に力を入れる方針を示している。安倍首相は、この点についてスタンスを明確にはしてないが、否定はしていない。25日の国会でも「(米側の)閣僚人事の承認が進み、態勢が整うにしたがい具体化されてくると思われる。それまで米国の方針を予断することは差し控えたい」と述べた。
萩生田光一官房副長官は25日午前の会見で、日米交渉について「自動車の部分だけ2国間でということにはならないと思う」との見通しを示した。一方で、政府が日米協議を念頭に通商交渉の新組織を発足させるという一部報道に関して、現段階で新組織を作るとは決定してないが、「検討のひとつ」と述べ、新組織の発足を視野に入れていることを明らかにしている。
ただ、キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「2国間FTAの乱立が複数のルールや規則につながり、世界貿易の障害となることは自明の理だ。こうした筋論や自由貿易主義の理想を、日本はAPECやTPP参加国を味方につけて、米国側に諭すべきである」と主張している(ロイター日本語サイト:2017年の視点より)。
(中川泉 編集:石田仁志)
ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
シリア政府軍がアレッポ再包囲、トルコ軍は国境地帯でIS排除
中国主導の貿易枠組みに警戒感、TPP議会承認求める=オバマ氏
トランプ氏のTPP離脱表明、ドイツ企業に商機=副首相
焦点:保護主義打ち出したトランプ大統領、不透明感増す日米関係
カナダ、メキシコ援護より対米貿易維持を優先=NAFTAで政府筋
http://jp.reuters.com/article/tpp-trump-abe-idJPKBN1590RU
アングル:
TPP離脱に米農業団体が反発、輸出の先行きを懸念
1月24日、トランプ米大統領が環太平洋連携協定(TPP)からの正式離脱に関する大統領令に署名したことに国内農業団体が反発し、アジア諸国への農産物輸出押し上げに向けた代替策を示すよう新政権に求めている。写真はアイオワ州コーン畑。2012年7月撮影(2017年 ロイター/Adress Latif)
[シカゴ 24日 ロイター] - トランプ米大統領が環太平洋連携協定(TPP)からの正式離脱に関する大統領令に署名したことに国内農業団体が反発し、アジア諸国への農産物輸出押し上げに向けた代替策を示すよう新政権に求めている。
不振が続く米国の農業セクターはこのところ輸出への依存度を高めていたが、TPPからの離脱を受けて先行きを懸念する声が強まっている。
米大豆協会のロン・ムーア代表は「TPPはわれわれにとって非常に有望で、ここ数年の優先課題だった。離脱には大いに失望している」と語った。
農業全般の不調が続く中、大豆は好調ぶりが際立っており、経済成長に対してもプラスに寄与している。ただ、堅調な大豆相場を支えているのは主に海外需要だ。農務省は2016─17年の大豆輸出が過去最高の20億5000万ブッシェルに達すると予想している。
米国は農産物の純輸出国で、TPPに参加する11カ国への輸出は15年に617億3500万ドルに上った。オバマ政権はTPPの発効によってさらに輸出が増えると見込んでいた。
チャールズ・グラスリー上院議員(共和党)は、トランプ氏がTPPの代わりに諸外国と個別に貿易協定を結ぶ意向を示唆していると明らかにした。ただ、2国間協定の交渉は何年もかかる可能性があると指摘。「簡単ではない。日本が最優先だ」と述べた。
<中国めぐる懸念>
国内農家や業界団体は、米国のTPP離脱によって諸外国の中国へのアクセスが拡大することを懸念している。
米飼料産業協会のジョエル・ニューマン最高経営責任者(CEO)は「(アジア太平洋)地域の競争激化と、米国を除外した新たな貿易協定によって米飼料業界は輸出の機会を失っている」と強調した。
米食肉輸出協会は、トランプ政権に貿易改善に向けた方策の具体案を示すよう求めた。
同協会のフィリップ・セングCEOは「われわれの業界が国外の顧客の需要に引き続き応じ、輸出機会をさらに拡大できるよう、新政権にはあらゆる可能な手段を使って米国を競争力のある地位に復活させることを求める」とした。
同協会の報道官は、TPPが発効していれば米国の食肉輸出は日本とベトナムで最も伸びた可能性があると指摘。「アジア太平洋地域へのアクセスは牛・豚肉業界双方にとって極めて重要」とした。
ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
豪・NZ、TPP存続目指す方針 米の離脱受け
国境の壁建設費用、まず米が負担 後にメキシコが返金=トランプ氏
米大統領、すでにトランプ・オーガニゼーションを辞職=報道官
トランプ米大統領、インド首相と電話会談 年内の訪米要請
第4四半期の豪CPI、前期比+0.4%・前年比+1.5% 予想下回る
http://jp.reuters.com/article/tpp-usfarming-idJPKBN15905Y
貿易収支、2016年は6年ぶり黒字 12月は対中輸出が過去最大に
[東京 25日 ロイター] - 財務省が25日に発表した2016年貿易統計速報によると、1─12月の通年の貿易収支は4兆0741億円で、6年ぶりの黒字となった。輸出、輸入ともに減少する中で、原油安による輸入減がより大きく影響した。同時に発表した12月分は、中国向け輸出が過去最大となったことなどを背景に、輸出全体で15か月ぶりの増加に転じた。
通年での輸出は70兆0392億円と前年比7.4%減。輸入も原油や液化天然ガスが減少し、65兆9651億円と同15.9%減となった。
国別では米国向け輸出が14兆1430億円とトップとなり、対米貿易黒字は同4.6%減となったものの6兆8346億円だった。
一方、12月の輸出は前年比5.4%増の6兆6790億円で15か月ぶりの増加。増加に寄与した品目は自動車の部分品(16.5%増)、半導体等電子部品(14.9%増)、電気回路等の機器(17.9%増)など。
同月の輸入は同2.6%減の6兆0376億円で24カ月連続の減少。減少品目は液化天然ガス(25.5%減)、医薬品(17.7%減)、衣類・同付属品(10.8%減)などだった。
昨年11月の米大統領選の結果を受けた円安が反映されたが、前年比では依然として円高水準で、「輸出入の金額を押し下げる効果が弱まった」(財務省)という。
地域別では、中国向け輸出が同12.5%増の1兆3013億円と過去最大を記録。同国の小型車販売の減税措置が12月末に切れるのを前にした駆け込み需要が背景にあるとみられるが、中国当局がその後、減税幅を半分にした上で措置を延長すると発表しており、今後の基調は読み切れない。
米国向け輸出は自動車などが好調で同1.3%増と10カ月ぶりの増加に転じた。
トランプ米大統領が環太平洋連携協定(TPP)から離脱する大統領令に署名するなど、自由貿易体制にきしみが生じかねない中、財務省幹部は「自由貿易を通じて世界経済全体が底上げされてきた」とし、今後貿易が縮小する場合は「世界経済の停滞につながるかどうか注視していく必要がある」と指摘した。
*内容を追加します。
ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
財務省、国債費24兆6174億円に減額へ=17年度概算要求で政府筋
貿易収支、7月は5135億円の黒字 円高で輸出09年以来の減少幅
7月実質輸出は前月比-3.2%、実質輸入は-1.1%=日銀
6月のユーロ圏貿易黒字、292億ユーロに拡大 予想上回る
第1四半期決算、報道に近い数値を発表予定=日経報道で東芝
http://jp.reuters.com/article/japan-trade-idJPKBN15900G
12年4─6月以降の潜在成長率0.8%に、05年度以来の水準=内閣府
[東京 25日 ロイター] - 内閣府は、16年7─9月期国内総生産(GDP)2次速報での基準改定などを踏まえて潜在成長率を推計し直し、過去3年間ほど年率0.4%成長で推移してきた潜在成長率を、0.8%成長に上方改訂した。
改定後は12年4─6月期から直近16年7─9月期まで0.8%成長が続いており、日本経済の実力が05年度の0.9%成長以来の実力に回復していることがわかった。
また同じく基準改定などを反映した供給力と需要の差を表すGDPギャップは16年7─9月にマイナス0.5%となり、これまでのマイナス0.7%から改善した。
*見出しを修正しました。
(中川泉 編集:吉瀬邦彦)
ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
焦点:遠のくGDP600兆円目標、低い潜在成長率が障害に
焦点:遠退くGDP600兆円目標、低い潜在成長率が障害に
名目GDP600兆円、1%弱の成長では24年度でも届かず=内閣府試算
税収増1.7兆円は使用済み、安定財源必要━麻生財務相=諮問会議
ドル113円半ばにじり高、米長期金利が持ち直し
http://jp.reuters.com/article/gdp-japan-idJPKBN1590J2
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK219掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。