http://www.asyura2.com/17/senkyo219/msg/470.html
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南京大虐殺と「従軍慰安婦」を否定するアパホテル元谷会長は、安倍晋三総理の秘密後援会「安晋会」の副会長。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/ce43a51e71954655b372f93e4dd343bd
2017年01月20日 Everyone says I love you !
私も知らずに一回だけ泊まってしまって、こんな右翼ホテルに金をやるなんて末代までの恥とばかりにほぞをかんだことのあるアパホテル。
アパグループは近年、訪日観光客の急増で成長著しく、2000年末にはわずか20カ所だったアパホテルが、2016年時点で400カ所以上となり、総室数は7万室にも及ぶといいます。
現在、インバウンド需要により、大都市部のアパホテルはどこも連日満室となっており、以前なら1泊1万円未満だった宿泊料金は、ハイシーズンには3万円台になることもあるとのこと。
私も狭いビジネスホテルに1万5000円も取られて二重の意味でした唇をかみました。
なぜ、そのアパホテルが右翼ホテルなのか。それは外資系ホテルなら聖書を置いてある場所にトンデモ歴史修正主義本が設置されているからです。
2017年1月15日の夕方、中国版Twitter「微博」に、中国人男性と米国人女性の大学生カップルが動画を投稿して、この右翼本の存在が中国人に広く知れ渡りました。
動画は、アパホテルに泊まったら南京大虐殺や「慰安婦」を否定する内容の書籍が室内に置いてあり、かつその著者がアパホテルを所有する元谷外志雄代表(筆名:藤誠志)だったというものでした。
この動画では、『誇れる祖国 日本復活への提言W 本当の日本の歴史「理論近現代史学II」』の英語版の一部が朗読され、その内容が紹介されています。
私はかつて宿泊したときに、本の目次を見て仰天。さらに藤という人のグラビア写真集かと思うほどのナルシストぶり満載の本の作りに唖然としたものでした。
元谷氏は、日本では有名な“保守系財界人”で、2008年、アパグループが主催する「『真の近現代史観』懸賞論文」で当時現役の航空幕僚長だった田母神俊雄氏の論文が「最優秀藤誠志賞」を受賞しましたが、太平洋戦争の侵略性を否定したり、ルーズベルト陰謀論を下敷きにしていたこともあり、問題視した当時の政府は田母神氏を事実上更迭しました。
そして、元谷氏は安倍晋三総理の秘密後援会「安晋会」の副会長も務めています。
さもありなんという感じでしょう?
南京大虐殺の存在自体については、安倍首相が提唱した日中共同研究でもこれを日本側の研究者も認めています。
それなのに、1月18日に菅官房長官は
「過去の不幸な歴史に過度な焦点を当てるのではなく、日中両国が国際社会が直面する共通の課題、そして未来志向に向けて取り組んでいる姿勢を示すことが重要だ」
と指摘しました。
中国側が南京大虐殺など日本の侵略加害行為に焦点を当てざるを得ないのは、今回のアパホテルのような歴史修正主義が日本で横行しているからなのに、日本から未来志向を提唱する資格はありません。
この菅官房長官の発言について意見を聞かれた華報道官は、
「来た道を忘れないからこそ、未来の明るい道を歩ける。歴史を忘れるということは、罪と責任を否定し背くことであり重罪だ。間違った歴史に固執する日本の方に中国の南京大虐殺記念館の観覧を勧める。そこで良識を取り戻してほしい」
と述べたそうですが、菅氏ら日本側よりはるかに大人の対応であり、一本も二本も取られた感じです。
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「南京大虐殺」の存在は、最高裁が家永教科書裁判の判決ですでに認定している。
安倍政権が南京虐殺否定派の学者引用←東京地裁が「通常の学者ではない」「学問研究の成果に値しない」
菅官房長官が中国からユネスコに出された文書を見てもいないのに、分担金を払わないぞと脅している件。
南京虐殺を否定する安倍首相が、中国の「南京事件の政治利用」を招いた。
シベリア抑留記録を世界記憶遺産に登録させた日本が、南京事件については抗議するのが恥ずかしい。
日本の戦争責任。日本はアジア諸国を侵略し、植民地支配した。未来への責任は今の私たちが担っている。
南京大虐殺 日中の研究者が歴史共同研究報告
近いうちにまたDHCの吉田会長のことも書こうと思うのですが、どうも質の悪い右翼経営者が増えてきている気がします。
BUZZAP!
安倍首相が立ち上げた「日中歴史共同研究」が南京大虐殺を正式に認めていました
2017年1月18日14:38 by 深海 |
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2006年に安倍首相と胡錦濤国家主席(当時)が立ち上げた歴史共同研究の中で南京大虐殺が起こったことを正式に認めています。詳細は以下から。
2006年、就任したばかりの安倍首相は中国を訪問して胡錦濤国家主席(当時)と会談、両国は、相手側の「平和的発展」を評価するとともに、両国の責任は「アジア及び世界の平和、安定及び発展に対して共に建設的な貢献を行うこと」だと主張し、その一環として日中両国の研究者が未来志向の日中関係の枠組みの下で歴史共同研究を実施することになりました。
この歴史共同研究では日中からそれぞれ10名の研究者を選出、共同研究委員会を組織して古代・中近世史と近現代史の研究テーマを決定し、論文が執筆されています。
そして2010年1月31日に両国の研究者によって自国語論文(報告書)が発表されました。この際の日本語論文の270〜271ページには南京大虐殺についての記述が存在しています。少し長いですが引用します。
中支那方面軍は、上海戦以来の不軍紀行為の頻発から、南京陥落後における城内進入部隊を想定して、「軍紀風紀を特に厳粛にし」という厳格な規制策(「南京攻略要領」)を通達していた。しかし、日本軍による捕虜、敗残兵、便衣兵、及び一部の市民に対して集団的、個別的な虐殺事件が発生し、強姦、略奪や放火も頻発した。日本軍による虐殺行為の犠牲者数は、極東国際軍事裁判における判決では20万人以上(松井司令官に対する判決文では10万人以上)、1947年の南京戦犯裁判軍事法廷では30万人以上とされ、中国の見解は後者の判決に依拠している。一方、日本側の研究では20万人を上限として、4万人、2万人など様々な推計がなされている。このように犠牲者数に諸説がある背景には、「虐殺」(不法殺害)の定義、対象とする地域・期間、埋葬記録、人口統計など資料に対する検証の相違が存在している。
日本軍による暴行は、外国のメディアによって報道されるとともに、南京国際安全区委員会の日本大使館に対する抗議を通して外務省にもたらされ、さらに陸軍中央部にも伝えられていた。その結果、38年1月4日には、閑院宮参謀総長名で、松井司令官宛に「軍紀・風紀ノ振作ニ関シテ切ニ要望ス」との異例の要望が発せられたのであった。
虐殺などが生起した原因について、宣戦布告がなされず「事変」にとどまっていたため、日本側に、俘虜(捕虜)の取扱いに関する指針や占領後の住民保護を含む軍政計画が欠けており、また軍紀を取り締まる憲兵の数が少なかった点、食糧や物資補給を無視して南京攻略を敢行した結果、略奪行為が生起し、それが軍紀弛緩をもたらし不法行為を誘発した点などが指摘されている。戦後、極東国際軍事裁判で松井司令官が、南京戦犯軍事法廷で谷寿夫第6師団長が、それぞれ責任を問われ、死刑に処せられた。
(第2章 日中戦争―日本軍の侵略と中国の抗戦 より引用)
この項の執筆は波多野澄雄 筑波大学大学院人文社会科学研究科教授(当時)と庄司潤一郎 防衛省防衛研究所戦史部第1戦史研究室長(当時)によって行われています。
南京大虐殺否定論を唱える歴史修正主義者は、安倍首相が立ち上げた歴史共同研究の中で、安倍政権に選出された日本人研究者が南京大虐殺を(犠牲者数に開きがあることを認めながら)事実として記述しており、名実ともに日本政府と中国政府が共有する歴史として厳然と存在していることをどう考えるのでしょうか?
特に安倍晋三の後援会「安晋会」の副会長を努めるアパグループ代表は、全力で支援する安倍政権が南京大虐殺という歴史を中国と共有していることが、自らの著書での主張との間に決定的な齟齬を生じさせていることについてどのように認識しているのでしょうか?非常に気になるところです。
外務省_ 日中歴史共同研究(概要)
南京大虐殺を否定する自著をアパホテル代表が全室に完備、中国で大炎上して国際問題に
2017年1月17日15:45 by 深海 |
有名ホテルチェーン、アパホテルの全室に南京大虐殺を否定するデマ本が設置されていたことが曝露されています。詳細は以下から。
アパグループ代表の元谷外志雄(ペンネームは藤誠志)が執筆した著書がアパホテルの全室に設置され、フロントでも販売されていることが曝露されました。もちろんこれだけなら特に何の問題にもならないのですが、その著書が南京大虐殺を否定する歴史修正主義全開のデマ本だったことから大炎上しています。
なお、元谷外志雄は2008年に田母神俊雄が航空幕僚長を更迭される田母神論文問題の原因となった『「真の近現代史観」懸賞論文』の主催者であり、さらには安倍晋三の後援会「安晋会」の副会長でもあるという筋金入りの保守論客として以前から知られている人物です。
事の発端はニューヨーク在住のアメリカ人女子大生Katさんと中国人男子大学生Sidさんによるユーチューバーコンビ「Kat & Sid」が1月15日に動画をアップしたこと。その動画では2人が1月に東京に旅行に行った際にアパホテルに宿泊、部屋にあったアパグループ代表の著作「理論 近現代史学II 本当の日本の歴史」を読み、衝撃を受けたことから撮影と公開を決めました。
動画の冒頭部分ではKatさんがアパホテルのフロントで同書を買い求めるところが撮されます。この著作は日本語と英語で記されており、ふたりは英語部分から「南京大虐殺」や「従軍慰安婦の強制連行」を否定する部分を拾い上げて紹介していきます。
また動画では、著作の中でホテルの収益を代表の政治的心情に基づき、安倍政権を可能な限り長く持続させるために用いる意志があることが指摘されます。
ふたりが動画の公開を決めた決定的なポイントはこの部分で、ホテルに泊まろうとする中国人や韓国人らが自分の払ったお金が何のために使われるのかを知るべきだと考えたためであると説明されています。
この動画の投稿を受け、人民日報はFacebookページ上のポストで、中国の旅行会社であるHuangWangグループが月曜日にアパグループ代表が著作をホテルの客室から撤去し、謝罪を行わない限りは今後アパホテルを利用しないというステートメントを発表したと伝えています。
南京大虐殺否定論という、明らかな歴史修正主義のデマを垂れ流している以上、中国の旅行会社からのこうした反応は十分に予測できるもの。また、既にこの動画はweibo上では7400万回以上視聴され、中国では大炎上状態となっています。以下は同内容のYouTube版です。
動画ではこの内容は日本や日本人を批判く拡散しようとするアパグループに向けられたものであるとの注意が冒頭でなされています。「Kat & Sid」は実際に、この日本滞在時のあれこれを全力で楽しんだ動画を多数アップしており、基本的に日本と日本人には好印象を持っています。
愚劣な歴史修正主義のデマがこうした日本に親しみを持ち、滞在を楽しむ観光客の目からどのように映るのか、歴史修正主義者はしっかり考えるべきでしょう。
中国外交部「間違った歴史に固執する日本の方、良識を取り戻してほしい」=菅官房長官の発言に反発―アパホテル書籍問題
2017年1月20日 12時20分 Record China
2017年1月19日、中国外交部の華春瑩(ホア・チュンイン)報道官は同日の定例記者会見で、日本のビジネスホテル大手のアパホテルが客室内に南京大虐殺を否定する本を置いた問題に関する菅義偉官房長官の発言に反発した。中国外交部公式サイトが伝えた。
アパホテルの書籍問題に関して中国外交部は17日に「歴史に正視」するよう求め、翌18日に菅官房長官は「過去の不幸な歴史に過度な焦点を当てるのではなく、日中両国が国際社会が直面する共通の課題、そして未来志向に向けて取り組んでいる姿勢を示すことが重要だ」と指摘した。
菅官房長官の発言について意見を聞かれた華報道官は、「来た道を忘れないからこそ、未来の明るい道を歩ける。歴史を忘れるということは、罪と責任を否定し背くことであり重罪だ。間違った歴史に固執する日本の方に中国の南京大虐殺記念館の観覧を勧める。そこで良識を取り戻してほしい」と述べた。(翻訳・編集/内山)
世界に知れ渡った「歴史修正主義ホテル」APAの正体(後編)
「南京虐殺はなかった」アパホテル反論の“嘘と詐術”を検証する! そして、安倍首相とのただならぬ関係とは?
アパグループHPより
グループ代表自らが「南京虐殺はなかった」と主張する歴史修正トンデモ本を客室に設置していたことが海外で知れ渡り、大問題に発展したアパホテル。前回の記事では、その元谷外志雄・アパグループ代表の著書『理論 近現代史学II 本当の日本の歴史』のトンデモな内容と、ホテルを自分の思想宣伝に利用している元谷代表の私物化経営の実態を紹介した。
だが、アパグループは全く反省する姿勢を見せず、17日17時頃、公式サイト上で、以下の“反論声明”を公開。書籍撤去を拒否し、歴史修正キャンペーンを正当化した。
〈本書籍の中の近現代史にかかわる部分については、いわゆる定説と言われるものに囚われず、著者が数多くの資料等を解析し、理論的に導き出した見解に基づいて書かれたものです。国によって歴史認識や歴史教育が異なることは認識していますが、本書籍は特定の国や国民を批判することを目的としたものではなく、あくまで事実に基づいて本当の歴史を知ることを目的としたものです。したがって、異なる立場の方から批判されたことを以って、本書籍を客室から撤去することは考えておりません。〉(アパグループ公式サイト、ニュースリリースより)
続けて、開き直るかのように、〈末尾に本書籍P6に記載しています、南京大虐殺に関する見解を掲載いたしますので、事実に基づいて本書籍の記載内容の誤りをご指摘いただけるのであれば、参考にさせていただきたいと考えています〉と自信ありげに挑発すらしてみせた。
ならば、それがいかにトンデモかを指摘しようではないか。ちなみに、ここでいう「本書籍」とは『理論 近現代史学 本当の日本の歴史』のことで、そこにはこんな見解が書かれていた。
〈中国は日本軍が南京で三十万人を虐殺したと主張しているが、そもそも当時の南京市の人口は二十万人であり、三十万人を虐殺し、その一ヶ月後には人口が二十五万人に増えていたなどあり得ないことだ。しかも国民党中央宣伝部に雇われていた二人を除いて、欧米人など第三国の人が虐殺を目撃した日記も手紙も写真も、記録したものが一つもないことなど、更には、上海大学の朱学勤教授が「いわゆる南京大虐殺の被害者名簿というものは、ただの一人分も存在していない」と論文で発表したにもかかわらず、辞職もさせられていないことなどから、いわゆる南京虐殺事件が中国側のでっちあげであり、存在しなかったことは明らかである。〉
よくもまあ、こんな滅茶苦茶な理屈で〈事実に基づいて本当の歴史を知ることを目的としたもの〉などといえたものである。これこそ、歴史修正主義者、ネトウヨが使う詐術の典型はないか。
たしかに、南京事件の被害者の人数の問題については数十万人から数万人、数千人まで諸説がある。当時の南京の人口は、元谷氏の言うように「20万人」ではなく、実際は、南京防衛軍および他所からの難民も含めて40〜50万人だったという推測もあるが、それでも中国側の主張する「30万人虐殺」というのは、なかなか考えにくい数字だろう。
しかし、そのことをもって、南京事件自体を「存在しなかった」とするのは、完全に論理のすり替えだ。
南京陥落前後に日本軍が中国人捕虜や民間人を虐殺したことは、中国側だけでなく複数の旧日本兵たちの膨大な日誌や証言が残っており、日本軍による市民を含む大量殺害行為があったことは、保守系歴史学者も認めている歴史的事実である。実際、歴史修正主義者たちもこうした資料には、ほとんど有効な反論ができず、一部のトンデモ学者以外「南京事件は存在せず、犠牲者は0人」とする主張はほとんどなくなった。
しかしどうしても「南京事件はすべて中国のでっち上げである」と主張したい連中は、中国側の宣伝の「30万人」をもち出し、それを攻撃することで、「虐殺はなかった」「でっちあげだった」というイメージ操作を行っているのだ。
元谷氏は、まさに保守系の歴史学者の間でも呆れられているこうした“南京事件まぼろし派”のトンデモ学者たちが口にしてきた詐術をそのまま使っているだけなのである。
それだけではない。もっともらしく並べている他の根拠も、インチキだらけだ。元谷代表は〈欧米人など第三国の人が虐殺を目撃した日記も手紙も写真も、記録したものが一つもない〉というが、実際には南京事件初期の時点で、アメリカのニューヨークタイムズのF・T・ダーディン記者やシカゴデイリーニューズのA・T・スティール記者の記事をはじめ、海外の多くの新聞や雑誌で日本軍の暴挙が報道されていた。また、当時南京に駐在していたアメリカとドイツの外交官も本国へ事件の報告書を郵送していたことも判明している。
さらに、唖然としたのは、〈上海大学の朱学勤教授が「いわゆる南京大虐殺の被害者名簿というものは、ただの一人分も存在していない」と論文で発表したにもかかわらず、辞職もさせられていない〉として、それを南京事件がなかったことの証明のように主張していたことだ。
元谷氏のいう「朱学勤教授の論文」が何を指すのか、調べてみると、どうやら産経新聞2007年12月20日付記事が元ネタらしい。それによれば、南京事件70周年の翌日、リベラル系中国紙「南方都市報」に朱学勤教授の論文が掲載されていたという。その内容について、記事では〈パール・ハーバーの記念碑には犠牲者の姓名がしっかり刻まれていたのに、南京大虐殺記念館には30万人の犠牲者の名前はない〉と引用されている。
この時点で、元谷代表の言い分がかなり歪曲されたものであることは自明だが、たしかにこの論文で朱教授は、南京事件の犠牲者の“名簿がない”ことについては言及している。しかし「南京事件は存在しない」と言っているのではない。逆だ。
ウェブマガジン「ChinaFile」12年6月12日付に、その論文と思われる朱教授の文章が、英訳で引用されている。これによれば、中国では、長らく大衆が南京事件について議論することを禁じられており、それが許されたと思ったら、地方自治体がすぐさま虐殺の記念碑を造りだして、大衆の前に“30万”という数字が出てきた。一方、真珠湾の記念館やベトナム戦争の記念館ではすべての犠牲者の姓名が刻まれており、とてもディティールに富んでいる。朱教授はこう述べる。
〈30万を殺すことは虐殺であるのに、20万から10万あまりであれば虐殺ではないのか? それが1人か2人ならば、命ではないのか? 私たちの目の前にある“30万”は曖昧な概念であり、(犠牲者個人が思い浮かぶような)ディティールのある数字ではない。そして、概念では人々を納得させることはできない。かわりに、人々に猜疑を芽生えさせ、日本に言い逃れのための口実を与えさえする。私たちは決定的な数字を使うべきであり、最も良いのは、具体的に個人の名前を刻むことだろう。そうしたときだけ、私たちは他者を畏敬させ、国際社会から敬意を得ることができる。〉(編集部訳)
つまり、南京事件では多くの人が犠牲になって、追悼するに十分な理由があるのに、世界から敬意を払ってもらえていない。それは、中国政府がもち出す30万という数字だけでは、犠牲者ひとりひとりの人間像が表れないからだ。朱教授はそう指摘し、犠牲者の名前を掲載しない中国政府の態度を批判しながら、追悼のために犠牲者個人の名を刻むことを求めたのである。そして、上っ面の数字にこだわると、犠牲者の命という本質を忘れてしまい、歴史修正をされかねないと警告までしている。
こんな発言で辞職にならないのは当然だろう。いったいどこをどう読めば、「南京虐殺はでっちあげであり、存在しなかった」という根拠になるのだろうか。
元谷代表は続けて、日本軍による南京占領後に起きた市民の虐殺は、実は中国側の敗残兵の仕業だったという無茶苦茶な持論まで展開している。
〈上海事変で勝利した日本軍は、敗走する国民党政府軍を追撃し、国民党政府の首都であった南京を攻略し、同年十二月十三日に南京占領。このとき敗残兵が住民に対して略奪、虐殺を行った。それらの敗残兵が民間人の衣服を奪って便衣兵(ゲリラ)となったことから、日本軍は便衣兵の掃討作戦を行った。便衣兵(ゲリラ)の殺害は国際法上認められているものであり、一般住民を虐殺したのはこの敗残兵達(督戦隊が撃ち殺したのは、逃亡中国兵であった。)であった。しかし、こうした事実が歪められて、情報謀略戦として、「南京三十万人虐殺説」が流布されたのである。〉(『理論 近現代史学 本当の日本の歴史』より)
いったい、このワンマン経営者はどういう妄想を書き連ねているのか。当時は日本兵が便衣兵と民間人を正確に区別することは困難で、保守派の歴史学者である秦郁彦氏も〈便衣兵の摘発に際しては、憲兵、通訳、中国人も加えて査問する建前になっていたが、実際には「良民ト便衣兵ノ区分困難ナリ」(歩三八連帯行動表)とか、「青壮年ハスベテ敗残兵又ハ便衣兵トミナシ」(歩六旅団の掃蕩要領)となってしまっていたようだ〉(『南京事件 増補版』中公新書)と書いている。
また、陥落直後の南京で、撃墜された日本軍機の搭乗員の遺体捜索活動に従事した奥宮正武氏(第一三航空隊分長)は、「(南京陥落直後では)私の知る限り、彼ら(=便衣兵)のほとんどは、戦意を完全に失って、ただ、生きるために、軍服を脱ぎ、平服に着替えていた。したがって、彼らを、通常いわれているゲリラと同一視することは適当とは思えない」(『私の見た南京事件』PHP研究所)と記している。
それを、全部、自分の都合のいい風に解釈しなおし、悪質なデマゴギーをふりまくのである。
しかも、元谷代表は南京事件否定の延長で、「張作霖爆殺事件はソ連の特務機関の犯行である」とか「中華民国を操り我が国を陥れようとしたコミンテルンの策略が大東亜戦争の遠因で、日本は侵略をした加害者ではなく、戦争に引きずり込まれた被害者である」などというコミンテルン陰謀史観まで開陳している。
前回の記事でも少し触れたが、アパグループ主催の懸賞論文の第一回最優秀賞を受賞した田母神俊雄氏の論文も、やはりコミンテルン陰謀史観満載で、今回の元谷氏の主張と瓜二つのものだった。このときは、保守系歴史学者の秦郁彦氏が徹底的に反論。“張作霖爆殺事件の犯人はコミンテルンの工作員”との主張に対しては「首謀者が関東軍の河本大作であることは99%確定的」とし、そのトンデモぶりをこう切って捨てた。
「コミンテルンの陰謀説が四つも五つも出てくる。歴史上の出来事はすべて特定の人間や団体の陰謀によって起きたという『陰謀史観』を唱える人は少なくないが、ふつうは一つか二つしか出さないものなのに(笑い)」
「(田母神論文は)『上杉謙信は実は女だった』というのと同じくらいの珍説です」(「週刊朝日」朝日新聞出版/08年11月28日号、田岡俊次氏との対談)
いかがだろうか。元谷氏が「数多くの資料等を解析し、理論的に導き出した」などと大見得をきった主張がいかにトンデモかわかっていただけたはずだ。こんなシロモノが全世界に発信されたという事実こそが、日本の恥というべきだろう。
しかも、強調しておきたいのは、これが、単に民間のネトウヨワンマン経営者の暴走、という話ではすまないことだ。元谷代表はこの国の政界に食い込み、日本の最高権力者である安倍首相ときわめて親密な関係にあるからだ。
たとえば、2007年11月に盛大に催された元谷代表の次男夫妻の結婚式には、政界からも森喜朗元首相、中川秀直元自民党幹事長ら錚々たる面々が駆けつけていた。元谷代表は森氏と同郷の石川県小松市出身。1986年、元谷氏は地元の政治家や財界人を集めた会員組織「小松グランド倶楽部」を結成したのだが、そのとき最高顧問に就いたのが森氏で、2003年にはアパグループの機関紙「Apple Town」で対談も行い、元谷代表の著書の出版パーティの発起人を森氏が務めるまでになった。そして、アパグループは森氏との蜜月を機に政界に人脈を広げ、その子分である安倍晋三と関係を深めていったのだという。
実際、05年10月12日、元谷代表の自宅で行われた「日本を語るワインの会」なる会合に、官房長官に就任する直前の安倍氏が出席していたことを、「週刊ポスト」(小学館)06年9月29日号が写真付きで報じた。また、元谷代表の妻でアパホテル社長の芙美子氏が旧森派議員のパーティに参加し、安倍氏とツーショット写真を撮っていたことも発覚した。
そして極めつきは、安倍氏の秘密後援会「安晋会」の存在だ。当時メディアを賑わせていた姉歯・ヒューザーの耐震偽装事件で、耐震偽装マンションを販売したヒューザーの小嶋進社長が、国会証人喚問で国交省への事件もみ消しの働きかけを、当時官房長官だった安倍氏の秘書・飯塚洋氏に依頼していたことを暴露。そのとき、小嶋社長は「安晋会」に入っていたから、とその関係を説明したことがあった。「安晋会」には小嶋社長の他にも、吉村文吾・AIG株式会社会長や前田利幸・前田興産代表取締役社長、そしてライブドア事件にからみ沖縄で怪死を遂げた野口英昭氏が副社長を務めていた、エイチ・エス証券の澤田秀雄社長(エイチ・アイ・エス会長)など、実業界の実力者が集結し、様々な疑惑が報じられたのだが、実は、その「安晋会」の副会長を務めていたのがアパグループの元谷代表だったのだ。
そんなことから、当時、姉歯・ヒューザー事件に続いて発覚したアパホテルの耐震偽造事件では、偽装が発覚後も行政のメスが異様に鈍かったことから、政権とグルになった隠ぺい工作があり、そこに元谷代表と安倍首相の個人的な親密さが関係しているのではないかとの見方が広がったこともある。
結局、このアパホテルの耐震偽造事件は、隠蔽疑惑が解明されないまま風化していったが、その後も元谷代表は、安倍首相の有力な支援者であり続けている。
今回、アパホテルに設置してあることで問題となった著書『理論 近現代史学II 本当の日本の歴史』には、こんな一節がある。
〈安倍政権は十年以上続く長期政権を目指し、日本を立て直し、誇れる祖国・日本の再興を果たして欲しい。そして自ら招致に成功した東京オリンピックの開会式で、安倍首相が「君が代」と共に開会宣言を行うのが理想だ。中国、韓国にしっかり対応していくためにも、安倍政権が長期政権となるべく、私も最大限のサポートをしていくつもりだ。〉
そして、アメリカのAP通信はこの一件を紹介する記事の中で元谷代表のことをこう紹介した。
〈元谷は、安倍の声高な支持者であり、与党自民党の超保守派と結びついている。彼は複数の講演を主催し、主要な歴史修正主義者やイデオローグ、政治家を招いて講師にしている。〉
トンデモ陰謀史観に基づく極右歴史修正主義を世界に発信したのはただの企業経営者ではない。この国の総理大臣がその人物と深くつながり、その主張にも大きな影響を与えていることを、私たちはしかと認識するべきだろう。
(編集部)
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