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安倍首相とトランプ大統領が意気投合する悪夢−(天木直人氏)
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16th Jan 2017 16th Jan 2017
トランプ氏に対する危惧がいよいよ現実のものとなろうとしている。
特に、あの初の記者会見に見せたトランプ氏の言動は、みなをトランプ氏に批判的にした。
安倍首相の外交ブレーンの一人である宮家邦彦外務官僚OBまで、
トランプは任期を全うできないのではないかと、
私と同じような事をきのう1月15日朝のフジテレビの番組で公言して、私を驚かせた。
そのようなトランプ氏に真っ先に会談し、「信頼できる人」と持ち上げた安倍首相は世界の笑いものだ。
私はそう批判した。
その思いは今も変わらない。
しかし、それは私の期待に基づいた意見かもしれない。
人は見たくないものも見なければいけないのかもしれない。
ひょっとしてトランプ大統領は批判をものともせず、うまくやるのではないか。
そんなトランプ大統領に皆が従うのではないか。
私がそう思いはじめる理由はいくつかある。
一つは米国民の支持率だ。
就任時の不支持率が支持率を上回ったと言う。
こんな事は歴代米国大統領ではじめてだという。
しかしそれでも支持率は40%以上もあることのほうが驚きだ。
これら支持者は、なにがあってもトランプ氏を支持する者たちだ。
おまけにトランプ氏のぶれない攻撃性だ。
メリルストリーブの批判にも、就任式を欠席すると言った米国議員に対しても、
すかさず倍返しで反撃している。
人は攻撃に弱いものだ。
そのトランプ氏が世界で一番の権力者になるのだ。
あれだけ無視された米国メディアにしても、トランプ大統領になってどこまで戦うか疑わしい。
取材を拒否されれば仕事にならないからだ。
意外と思われるかもしれないが、米国民には権力に逆らわないところがある。
私がデトロイトの総領事をしていた時、
米ゴルフ雑誌に世界のゴルファーに対するアンケ―ト調査が掲載されていたことがあった。
その中で、上司と一緒にプレーして上司の不正を見てしまった時どう対応するかという問いがあった。
黙って見逃すという答えが一番多かったのが米国のゴルファーだった。
下手に注意して上司の機嫌を損ねたら損だというわけだ。
ちなみに、開発途上国のゴルファーほど正義感があり、日本は中間に位置していたと記憶している。
トランプ氏の口先介入がおかしいといっても、
フォードもロッキードもたちまち工場閉鎖やF35戦闘機の価格引き下げに応じ、恭順の意を表した。
外交もそうだ。
ロシアのプーチンに好かれる事は、LIABILITY(欠点)ではなくASSET(利点)だと
トランプはすかさず反論した。
米ロ関係が良くなることはいいことだと言った。
その通りではないか。
一つの中国だってそうだ。
中国は台湾の独立は許さない、それは核心的利益だと言うがそれはあくまで中国の一方的な政策だ。
台湾を認めてはいけないという国際法はどこにもない。
そもそも一つの中国を言い出して日本に押しつけたのはニクソン・キッシンジャーの米国だった。
こう考えていくと、プーチン好きで習近平嫌いの安倍首相とトランプ氏には親和性があることがわかる。
しかも人は批判されればされるほど、慕ってくるものが可愛くなる。
いまの日本でトランプ氏に一番好意的なのは安倍首相ではないのか。
トランプ氏の要求を巧みにかわした豊田章男社長より、
就任したトランプ大統領に真っ先に会って個人的関係を築きたいとすり寄る安倍首相の方が正しい。
そういう声も聞かれ始めた。
ひょっとして安倍首相とトランプ大統領が意気投合する日がくるかもしれない。
それは安倍嫌いの私にとっては悪夢だが、日本にとってはいいことかもしれない。
はたしてどうなるか。
間もなくトランプ大統領が正式に米国の45代大統領になる。
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