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最悪の安倍政治が持続するただ一つの理由−(植草一秀氏)
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14th Jan 2017 市村 悦延 · @hellotomhanks
1月20日に第45代米国大統領に就任するドナルド・トランプ氏が1月11日に記者会見を行った。
会見ではCNNの記者が発言を求めて声を張り上げたが、トランプ氏はこの記者を指名しなかった。
それでもCNN記者は納得せず、大声で発言を求め続けた。
このことについて、トランプ氏を批判する主張を提示するメディアが多いが、
日本と比べればトランプ氏の対応ははるかに優れている。
CNNの記者が次期大統領の記者会見で、少なくとも自由な発言が許されているのである。
日本の情報空間の息苦しさ、情報統制に比べれば、米国の空間ははるかに開けている。
首相官邸で頻繁に記者会見が開かれる。
NHKがその模様を実況中継することも多い。
安倍首相の記者会見の場合、質問する者があらかじめ決められていることがほとんどである。
そして、質問内容も事前に首相側に伝えられている。
首相官邸はあらかじめ質問への回答文書を作成しており、
安倍首相はその答弁書をただ読んでいるだけである。
プロンプター
というツールが発達したために、安倍氏は顔をあげて、
演台に設置されている透明のプロンプターに映し出される、官僚が用意した答弁書を読んでいるだけだ。
事前に質問を官邸側に提示していない記者に質問をさせることもないし、
そのような記者が司会者の制止を振り切って質問を強行することもない。
すべてが「管理」、「統制」されている。
記者会見に出席できるのは
「記者クラブ」
に所属するメディアだけであり、
この「記者クラブ」は基本的に
「大政翼賛会」
である。
自由に質問を許し、自由に発言を許す米国とはまったく違う。
安倍首相は官僚が用意した答弁書をただ読むだけの
READER
であって
LEADER
ではない。
自民党幹事長がトランプ次期大統領の記者会見での対応を批判するなら、
その前に、安倍首相の記者会見の方式を変えることを主張するべきだ。
記者会見に出席できるメディアを「記者クラブ」以外に開放するべきだ。
そして、記者会見の際の質問を事前に通知させることをやめさせるべきだ。
すべてが「やらせ」なのである。
かつて、小泉政権の際の
タウンミーティング
で、「一般市民」からの質問が、
「やらせ」
であったことが発覚した。
さらに、タウンミーティングの参加者が行政当局によって恣意的に操作されていることも発覚した。
そして、参加者のなかに
「工作員」
が用意されていて、質疑応答で、事前に仕込まれた「工作員」が指名される手はずも整えられていたことが
分かった。
NHKが放映する安倍首相の記者会見もこれと同じなのだ。
すべて「やらせ」。
プロレス興行と同じ
と言えば、プロレスに対して失礼にあたるだろう。
NHKは「やらせ記者会見」だから、生放送での実況を行うのだ。
「ガチンコ」記者会見なら、生放送にはせずに、編集してから放送するに違いない。
トランプ大統領を批判する前に、日本がやっている、非民主的な、
大本営的色彩たっぷりの安倍首相記者会見のやり方を、まずは変えるべきだろう。
第2次安倍政権が発足してから4年もの時間が流れた。
この間に、日本はすっかり悪い国になった。
経済は全体として停滞し続けている。
あの、パッとしなかった民主党政権時代の経済成長率平均値は、
2012年12月以降の安倍政権時代の経済成長率平均値の2倍を超えている。
安倍政権の下で、日本経済がいかに停滞しているのかが分かる。
労働者の実質賃金は減り続けている。
さらに、2014年度に強行実施された消費税増税で、労働者の実質所得はさらに減少させられた。
株価が上昇したと言うが、東証第1部上場企業の数は約1900社。
日本の法人企業数400万社の0.05%にも満たない。
経済の上澄みの上澄み部分の利益だけが膨らんで、
99%以上の人々の暮らし向きが悪くなっている。
ひとり親世帯の子どもの貧困率はOECD参加国中で断トツのNO1である。
安倍首相は「地球儀俯瞰外交」などと言って、国民の税金で海外旅行をしまくっているが、
海外に気前よくばらまいている金も、全部国民の血と汗の結晶である税金である。
訪問先で歓待されるのは安倍首相が素晴らしいからではない。
安倍首相が湯水のように国民の血税をばらまいているからだけだ。
これだけ血税をばらまきながら、外交の成果は惨憺たるものである。
米国大統領選でクリントン支持を打ち出してしまったところにトランプ勝利の現実に青ざめた安倍首相は
中国製の本間ゴルフの50万円ドライバーを土産にトランプ邸に馳せ参じて、
文字通りの土下座外交を展開するとともに、TPP離脱を思いとどまってほしいと懇願した。
安倍氏はその足で参加したAPEC首脳会議後の会見で
「米国が参加しないTPPは意味がない」
と大見得を切ったが、その1時間後、
トランプ氏は「大統領就任初日にTPP離脱を宣言する」とビデオメッセージで全世界に情報発信した。
安倍氏の面目は丸つぶれになった。
12月15日に北方領土返還と日ロ平和条約締結に向けて歴史的な進展を実現すべく、
満を持して故郷山口でプーチンロシア大統領の訪問をセッティングしたが、
プーチン氏は2時間40分遅れてやって来て、
「日ロに領土問題は存在せず」
とのスタンスを明示した。
「四兎(四島)を追って一兎(一島)をも得ず」
と永田町で囁かれている。
歯舞・色丹が返還された際に、日米安保条約の規定に従って、
2島が日米安保条約適用地域になることについて、米国が確認を求め、
米国にモノを言えない安倍首相の姿勢によって日ロ交渉は振り出しに戻ったのである。
これが
「アメリカのポチ」
の限界なのだ。
韓国では日本大使館前に加えて、新たに釜山総領事館前に従軍慰安婦増が設置された。
2015年12月の日韓外相共同発表で、
韓国が慰安婦像の撤去を約束したかのように日本政府が唱えているが、そのような事実は存在しない。
「韓国政府としても可能な対応方法に対し、関連団体との協議等を通じて適切に解決されるよう努力する」
としか表明していないのだ。
つまり、
「従軍慰安婦像の撤去」
という結果を確実に実現する外交が実行されていないのである。
自分の外交の不備を棚に上げて、事実に基づかずに相手国を非難するようなやり口では、
外交関係は悪化するばかりである。
フィリピンに国民の血税をバラまいて、
対中国でフィリピンを日本の側に確実に引き寄せることにも失敗している。
安倍首相は自分のポケットマネーのように国民の血税を湯水のように海外にバラまいているが、
そんなお金があるなら、日本国民に保証する生活最低水準を引き上げるべきだ。
ホームレスの人々には屋根のある寝床すら配給されていない。
そして、日本の諸制度、諸規制が、
戦前に回帰させられている。
特定秘密保護法は国民の「知る権利」を封殺するものである。
戦争法は日本を「戦争をしない国」から「戦争をする国」に変質させる法律である。
刑事訴訟法を改定し、冤罪の創出が促進される。
これと新たに制定されようとしている「共謀罪」が組み合わせられると、
「新治安維持法」
になる。
政治的に気に入らない国民は、片端から犯罪者に仕立て上げられることになる。
さらに、
「教育基本法」
に
「国家や社会の形成者として必要な資質を備えさせることが教育の目的」
と明記され、
今度はその責任を
「家庭」
に強制するための法律である
「家庭教育支援法案」
が制定されようとしている。
戦後日本の基本は「国民のための国家」であるが、
これを、「国家のための国民」に引き戻そうとしている。
「戦前回帰」が激しい勢いで推進されている。
こんな安倍暴政であるにもかかわらず、安倍政権が長期政権になっている理由はただひとつ。
メディアが情報操作で安倍政権存続を誘導していることだ。
メディアのウソを見抜き、安倍政権を退場させなければならない。
そのために必要なことは、国民が賢くなることだ。
英国や米国で、国民はメディアのウソを見抜き、メディアの情報誘導を打破した。
日本国民もできるはずだ。
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