http://www.asyura2.com/17/nihon32/msg/343.html
Tweet |
2023年9月23日 12時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/279200
棺ひつぎの中にいる大切な人に最後のお別れを告げようとのぞき込む。自然なことだ。しかし、これが危ないという。消費者庁は遺体の腐敗を遅らせるために棺内に入れたドライアイスが気化し、二酸化炭素(CO2)で中毒死する恐れがあると注意喚起した。「葬儀に潜む危険」の背景とは。(木原育子)
「棺内は高濃度のCO2が滞留していることを知ってもらいたい」。21日、消費者庁の庁舎で、阪口理司・同庁消費者安全課長が呼びかけた。別の部屋には、新調した棺が。国民生活センターの職員らがどういう状態が危険か再現していく。「こうやって棺に顔を近づけると…」「ここから二酸化炭素の塊が出て…」
同庁によると、2020〜21年、宮城、宮崎、沖縄各県で、自宅や葬儀場で、棺内に顔を入れたり、棺の小窓を開けたそばで意識不明で発見され、3人が亡くなった。いずれも遺族が寝ずの番(線香番)をしている時間帯に発生。周囲に人がいない中で、故人とゆっくり話をしている際に起きた事故と推測される。
全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の担当者は「18年にも青森県の住宅であり、県警から相談があった。それをきっかけに葬儀の際は換気を心がけるよう加盟する葬祭業者に呼びかけたが、その後も発生したようだ」と話す。
◆20分後、「即時の意識消失」レベルに
それにしても、それほど危険なのか。国民生活センターが実施した実験によると、棺に通常の計約10キロのドライアイス4個を置いた場合、20分後には棺内のCO2濃度が「即時の意識消失」とされる30%に到達。4時間後にさらに上昇し90%に達した。
CO2は空気と比べて1.5倍重く、低い所にとどまる。この性質から、花を手向けるため棺を開ける際も、通常は棺内の底の部分にとどまり、換気をよくしていれば高濃度のCO2を吸いこむ危険性は少ない。
国内のドライアイス業者でつくる「ドライアイスメーカー会」会員会社日本液炭の石井孝征さん(46)は「濃度が1.5%を超えると長時間その場にいてはいけないと国の基準で定められている。工場での作業中は濃度計をつけて安全管理には注意している」と語る。
実際、同庁の事故情報データバンクには統計が始まった09年から計43件の報告がある。葬儀だけでなく、16年にはワンボックスカーでドライアイスを搬送中に呼吸困難となり60代の男性が亡くなったケースも。凍傷になったり、ケースやペットボトルなどの密閉容器に入れて、破裂してケガをした事故もある。
◆エンバーミングという手もあるが…
死亡事故が相次いだことについて、葬送ジャーナリストの碑文谷創氏は「透明なアクリル板小窓のある棺も増えている」とした上で、「事故が多発した20年、21年はコロナ禍で葬儀も縮小していた。1人で線香番をする人も増えたのだろうか。いずれにしても潜在的にあった危険性が、明らかになった」と話す。
危険を避けるため、ドライアイス以外の手段はないか。一つはエンバーミングだ。血液などを排出し、保存液を注入して長時間保存するやり方だが、葬祭関連の著書もある佐藤葬祭代表の佐藤信顕のぶあきさん(47)は「エンバーミングは費用が高く、葬儀とは別に20万円かかる。余裕のある家庭にしか難しい」という。
学識者や葬祭業者らでつくる「日本葬送文化学会」の長江曜子会長(聖徳大教授)は「きちんと検証して課題を社会で共有していくべきだ」とし、「葬儀は故人の生の終わりを生きている側が受け止める大切な時間。多死社会で葬儀の機会は増える。注意するところは注意し、しっかり追悼できるよう理解を求めていく必要がある」と指摘する。
【関連記事】変わる葬儀の形 ある記者の母の旅立ち 遺志に寄り添い、簡素に温かく
【関連記事】人口激減、今後20年が「一番きつい」 近未来に起きる「介護難民」「多死社会」
▲上へ ★阿修羅♪ > 日本の事件32掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 日本の事件32掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。