http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/143.html
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(回答先: ユダヤ人は悪い 投稿者 中川隆 日時 2017 年 12 月 22 日 16:55:20)
★フィリピンパブはなぜ男を狂わせる?
全身火だるま状態でフィリピンパブに突入――。こんな派手な事件が愛知県で起きた。
被害に遭ったのは西尾市の「ショーパブ ズー」。13日午後11時50分ごろ、男性が
灯油をかぶって火だるまになり、店内に飛び込んで死亡した。鉄筋2階建ての1階部分
140平方メートルのうち100平方メートルが焼けたという。
(中略)
客がフィリピン女性にメロメロになるケースが多い。いったい、何がいいのか。
「一番の魅力は性格です」とはフリーライターの出町柳次氏だ。
「フィリピン女性はラテンのノリがあり、屈託のない明るさで接客するんです。しかも
優しくてフレンドリー。頼みもしないのに“疲れてるでしょ”と手のひらのマッサージを
してくれ、毎朝“おはようメール”で起こしてくれたりもします。思い込みの強い客は
相手が自分にホレていると錯覚してしまうのです」
セックスでも献身的だ。
「スペイン系の血が流れている女性は肌が白く、見事なモデル体形。カトリックの教えも
あって、とことん男に尽くします。ベッドでは“もういいよ”と言うまでフェラや全身
ナメをたっぷりしてくれるし、感度も抜群。事後は靴下をはかせ、髪をとかしたりして
くれる。ヘソのそうじまでする女性もいます。ほかの国のホステスと奉仕の精神が違う
のです」(風俗ライターの蛯名泰造氏)
一度、付き合ってみたいものだ。
日刊ゲンダイ - 2013/2/16 7:00
http://netallica.yahoo.co.jp/news/20130216-00000003-a_aaac
ホステスの甘い言葉を鵜呑みに!?
人生も半ばを過ぎてようやくわかったことがある。それは「逢いたい」だの「好き」だのといったホステスの甘い言葉は、真に受けてはいけないということだ。
「は? その歳でようやく? バカじゃないの」という冷ややかな声が聞こえてきそうだ。いかにも。バカなおじさんであることは自覚している。
だが、経験者だからこそ、放っておけないということもあるのである。ましてやその人物が、まだそれほど社会を知らない人間ならばなおのこと。
ここにひとりの青年がいる。親しみを込めて、「ナカシマくん」と呼ぶことにしよう。地方都市のごく平均的な家庭に生まれ、地元の大学の大学院で国際関係学を専攻する真面目な好青年だ。
そんなナカシマくんがある時、恋をした。「よかったな、やるじゃんナカシマくん!」普通だったら肩を叩いて祝福するところだろう。
だが、ナカシマくんが「実は……」と口を開いた途端、おじさんの顔色は変わるのだ。
「実は……、ぼくの彼女、フィリピンパブのホステスなんです!!」
『フィリピンパブ嬢の社会学』中島弘象(新潮新書)
僕の彼女は月給6万円、雇主はヤクザ、ゴキブリ部屋……なのにフィリピン家族は豪邸暮らし?!
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/410610704X/asyuracom-22
は、在日フィリピン女性の生活を研究するうちに、フィリピンパブで働くホステスとデキてしまった青年が、その実態を赤裸々に描いたユニークな一冊だ。
大学院への進学が決まった冬、ナカシマくんは先輩に連れられて初めてフィリピンパブを訪れる。だいたいこういう店を初めて経験するのは先輩に連れられてというのがパターンである。さらにその先は人によってハマるかハマらないかに分かれるのだが、ナカシマくんはどうだったか。
“それまで、日本人女性がいるパブにさえも入ったことがなかった。要するに、パブ初体験がフィリピンパブだったのだ。こういう場所は淫靡で怪しくて、売春なども平気で行われている、と思いこんでいた。悪いイメージを勝手に描いてかなり構えていた。ところが実際には、そんなことを感じさせないぐらい彼女たちは明るくて陽気だった”
(ナカシマくん……)
おじさん一瞬、遠い目をしちゃったよ。「淫靡で怪しい」などと一方的な先入観を抱いていておきながら、それが裏切られたことで、あれ? 意外といいところじゃんと好印象を抱く。いかにも危なっかしい。典型的なハマるパターンだ。
この手の初心者は店側にしてみればおあつらえむきのカモである。案の定、ナカシマくんのフィリピンパブ詣でが始まった。そしてある日、「ミカ」と出会うのだ。
初対面でふたりはアドレスを交換し合い
フィリピンパブの客は中年男性が多いという。本書『フィリピンパブ嬢の社会学』によれば常連客の典型は「子どもは独立、離婚して独身。自由になるカネがそれなりにある50〜60代の現役男性」だそうだ。だから22歳と若かったナカシマくんが、来日して間もない25歳のミカには新鮮だった。初対面でふたりはアドレスを交換し合う。
初めて会ってから2日にいちどのペースでくる営業メールに根負けして、ナカシマくんは「ワンセットだけ。飲み物の注文なし」という約束で店を再訪し、ミカを指名する。指名料込みで4400円という料金は、稼ぎのない大学院生にとっては「はっと正気に返る金額」だった。ところがそう言っておきながら、ナカシマくんは正気を踏み外す。
“店を出ると、ミカがエレベーターまで送ってきた。エレベーターが来ると、ミカがそばに来て肩に手を置いた。ハグしてくれるのかと思ったら、いきなり僕の唇にキスした。軽く。『ありがと。またね』”
(な、な、な、ナーカシマぁぁぁぁぁっ!!!! 目を覚ませぇぇぇぇぇぇっ!!)
ナカシマくんの両肩をつかんでぶんぶん揺さぶりたい気分だ。初心な青年が深みにハマっていくのを目の当たりにして、おじさんの心配はついに頂点に達してしまうのだ。
だが、ナカシマくんのハマりっぷりは、こちらの予想を遥かに超えていた。なにしろ雇い主の目を盗んでミカと同棲し、しまいには彼女を守るためにヤクザのもとに乗り込むのだ。相撲で言えば立ち合いから一挙に愛の電車道状態である。
本書『フィリピンパブ嬢の社会学』によれば、ナイトクラブやキャバレーで演奏するために、フィリピンバンドと呼ばれる楽団が日本へ来るようになったのは1960年代。その中でコーラスメンバーやダンサーとして働いていた女性たちがホステスの役割を務めるようになり、次第にそちらがメインとなっていった。
はじまりが興行だったため、ながらくフィリピン人の出稼ぎには「興行ビザ」が使われてきた。かつては日本に来るには、ダンスや歌手といった試験に合格して、フィリピン政府から「芸能人」と認定してもらわなければ来日できなかったのだ。
だが2005年に興行ビザが規制されてから、出稼ぎにヤクザが噛むようになった。彼らは偽造パスポートや偽装結婚で女性たちを入国させ、パブで働かせる。ミカも「コクボ」という男と偽装結婚させられていた。休みは月2回、給料もピンハネされる。しかもアパートはコクボと同居。体の関係はないが、コクボに監視されながら生活しなければならない。
『フィリピン−急成長する若き「大国」』井出穣治(中公新書)によれば、フィリピンは近年、サービス業主導で急成長し、経済規模はここ10年強で3倍となった。人口は1億人を超え、国民の平均年齢は25歳だという。かつて「アジアの病人」とまで言われた国は、いまや「アジアの希望の星」へと変わろうとしている。
だが、圧倒的な貧富の差は、いまも解消されないままだ。ドゥテルテを支持しているのはこういった貧困層である。貧困から抜け出すために、彼らは出稼ぎに行く。フィリピンでは国民の1割が海外に出稼ぎに出ているという。彼らの送金がフィリピンの消費を支えている。
とにかく純粋なふたりの気持ち
『フィリピンパブ嬢の社会学』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)
ミカも貧困家庭で育ち、家族に楽をさせようと来日していた。ミカの稼ぎを一族が当てにしているのだ。ナカシマくんはそんな女性と恋に落ちたのである。当然、周囲は猛反対する。初めてミカを母親に会わせる場面の緊迫感といったらない。
でもふたりの気持ちはとにかく純粋だ。その想いが次第にまわりを変えていく。ハラハラしながら見守っていたこちらも、いつしかふたりを応援する側に回ってしまっていた。ヘイト教育を公然と掲げる学校法人が現れるような時代である。異文化の衝突が生む軋轢と真摯に向き合うこのカップルを、おじさんは断固支持したい。
社会学でいうなら、本書は参与観察の一種ということになるのだろう。だが研究者としての一線は、とっくに踏み越えてしまっている。むしろこれは当事者ノンフィクションといったほうがいいかもしれない。
ナカシマくんは当初、ミカに同情していた。そんな彼にミカが浴びせる言葉が印象的だ。
“あなたは大学で本読んで考えただけ。私は働いて考える。だから私の方がわかる”
“私のこと、弱い人間だと思っているんでしょ? 私、強いよ。あなたが思っているのと違う。ばかにしないで。私のこと助けたいと思って付き合うんだったら付き合わなくていい。助けなんかいらない”
彼女の言葉でナカシマくんは目が覚める。
観察者から当事者へ。この瞬間からナカシマくんの研究は、学問を踏み越えて、愛する人とともに歩む人生そのものとなったのだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/162077
フィリピンパブ嬢はなぜ日本人から金をむしるのか? 若き研究者が見た実態
社会2017年2月28日掲載
日本人には想像もつかないような貧困が、実際に今あることを知ってほしい――
在日フィリピン人数は約23万人(2015年法務省統計)と、今や中国、韓国に次ぐ多さだ。元AKB48の秋元才加さんら、出自を公言する2世タレントの活躍も目立つ一方、「若いフィリピンパブ嬢に全財産つぎ込んで捨てられた」と、マニラの日本大使館に駆け込む中高年日本人男性もいまだに絶えない。
日本国内で、フィリピンパブ嬢と付き合っていると言えば、「金目当て」「ビザ目的」「騙されてる」と誰もが猛反対するだろう。
繁華街では結構見かけるけれども、何となく遠い存在――そんなフィリピンパブの実態に切り込んだのが、中島弘象さん(28)だ。2月17日、名古屋市栄地区にある丸善で開かれた著書『フィリピンパブ嬢の社会学』刊行記念トークイベントは、雨にもかかわらず、舞台となるフィリピンパブ街からは目と鼻の先とあってか、立ち見が出る盛況ぶりだった。
■まさかの大豪邸、すさまじい金の無心
中部大学大学院で国際関係学を学んでいた中島さんは、現在もNGOを通して在日フィリピン人女性や、その子供たちの貧困問題に取り組む真面目な青年だが「何のビザで来ているのか、それが知りたくて」足を踏み入れたフィリピンパブで、3つ年上のミカさんと出会う。プライベートでも会うようになった彼女から、「偽装結婚で日本に来た」と告白された後に「私と付き合って」と、まさかのダブル告白を受けた。
周囲には反対されたものの、2人は交際を続ける。
彼氏になってみえてきたのは、ミカさん本人は月給6万円、休みは月2日、ヤクザの監視付きでゴキブリだらけのタコ部屋暮らしにもかかわらず、フィリピンで仕送りをもらっている家族は贅沢三昧というギャップだった。ミカさんとその姉のメイさん(彼女も日本で働くパブ嬢)の里帰りについて行った中島さんが目撃したのは、メイド付きの豪邸で優雅に暮らす家族たちの姿だったのである。もちろん、原資はすべてミカさんたちの仕送りだ。
さらに家族は、容赦なく中島さんたちに攻勢をかけ続ける。お土産とは別に日本から40万円ほど持ってきていたため、中島さんは安心していたのだが、甘かった。
「荷物を片付けた後、家族全員で近くのショッピングモールに行く。大きな買い物カートに米、コーヒー、調味料、お菓子、ティッシュ、電球などをどんどん入れていく。
代金は約2万円。支払うのはミカとメイだ。
2万円といえば、ほぼフィリピン人の平均月収だ。そのあとは水道代や電気代の支払い。これも払うのはミカとメイ。その日の夜は、両親と次女家族全員を連れてレストランへ。
こちら5人、向こう6人で計11人。その支払いももちろん2人だ。1日だけで出費は約10万円」
不安になった中島さんはミカさんが、「帰るまでお金足りる?」と聞いたところ、返事は、「大丈夫、足りるよ」。
しかし不安は的中する。
「毎日のように親戚たちがやってきた。自分の娘の写真を持って『この子を日本に行かせたい。ミカの社長に紹介してくれ』さらには『いいビジネスの話があるから30万円貸してほしい』というのもあった。
フィリピンに来て一週間。ひっきりなしに訪ねて来る親戚たち。その数は100人を軽く超し、その全員に金を配った。そして家族は毎日、豪華な食事や外食、ショッピング。日本から持ってきた40万円はたちまち底をついた」(同書より)
■悪気のない家族たち
厄介なのは、家族には悪気がないところだ。彼らは、日本にいる娘たちはいくらでも金を稼げる、と本気で思っているし、その金がどういう風につくられているのかについては知らない。知ろうともしないのだ。
こういう家族を、「ひどい」「たかりだ」と非難するのは簡単だ。しかし、ミカさんを通じてフィリピンを深く知るようになった中島さんには、そうは思えなかった。
「彼女の家族が豪邸に移る前に住んでいた家は、スラム街にあるボロボロの小屋で、トイレもありませんでした。小さい方はそのへんで済まして、大きい方はバケツにして川に流せと。
そんな凄まじい貧困から抜け出るためなら、違法だろうが何だろうが、日本に来る人は今後も途切れないでしょう。そして、家族は彼らの仕送りをアテにしているのです」
当初は面食らった中島さんだが、現在はミカさんの家族との関係も良好。ミカさんが家族とスカイプで会話する際には、必ず参加するほどの仲になっている。
現在、経済的に恵まれない日比国際児たちの支援活動にかかわっている中島さんは、イベントで、「日本人には想像もつかないような貧困が、実際に今あることを知ってほしい」と聴衆に語りかけていた。
デイリー新潮編集部
https://www.dailyshincho.jp/article/2017/02280611/?all=1
中島弘象(なかしま・こうしょう)
1989年、愛知県春日井市生まれ。中部大学大学院修了(国際関係学専攻)。
大学在学中から、フィリピンNGO組織「DAWN」と連携し、フィリピン人女性と日本人男性の間に生まれ、日本人の父親と連絡が取れない、日比国際児たちの支援活動に関わっている。著書に『フィリピンパブ嬢の社会学』(新潮新書)がある。
フィリピンパブ嬢のヒモだった僕が結婚し「送金地獄」にハマるまで
稼いでも稼いでも金が消えてゆく…
中島 弘象
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51531
フィリピンパブ嬢なんてやめとけ
偽装結婚。月給6万円。月の休み2回。ノルマ、ペナルティに追われる毎日。ゴギブリだらけの家。暴力団の監視付き。
これがフィリピンパブで働くパブ嬢の労働、生活実態だ。
大学の研究で取り上げようと思い入ったフィリピンパブで出会った、パブ嬢ミカ。彼女と交際することで、見えてきたフィリピンパブ嬢の実態。
僕は、酷い労働・生活下にいる彼女を目の当たりにし、「助けたい」と思っていたのだが、ミカは「助けはいらない! 私は自分で選んで日本に来た」と、弱音を吐くこともなく、逞しく日本で生活している。そんな彼女の姿に段々と惹かれていった。
交際を続けていると、僕の友人や親からは「フィリピンパブ嬢なんてやめとけ! どうせだまされてるんだ。しかもヤクザに囲われてる女なんだろ、危険すぎる」と反対される。
周囲が心配するように常に暴力団の影に怯えながら交際を続けていたのだが、ついにはミカが契約よりも早く偽装結婚の相手と離婚させられそうになり、閉店後のフィリピンパブにバックに暴力団がいる彼女のマネージャーと話し合うために乗り込んだ。
ミカの彼氏になり、初めは「助ける!」と偉そうなことを言っていたのに、大学院修了後就職活動に失敗し、ミカの姉夫婦の家に居候するようになり、友人たちには「プー太郎」「ニート」「ヒモ男」などと呼ばれ正真正銘ヒモになり、彼女のビザが切れるタイミングで結婚するに至った。
「あんた、バカじゃないの。私、ビザのために結婚するんじゃないよ。あんたが好きだから結婚するの。ビザが取れなかったらまた迎えに来ればいいじゃない」
どっぷり浸かったからこそわかった、フィリピンから日本のフィリピンパブへ来る仕組み。搾取の構造。彼女たちが危険を冒してまで出稼ぎに来なければいけない事情。過酷な環境の中でもポジティブに生きるパブ嬢たち。そんな1人のパブ嬢ミカと僕の危険な交際の経験を書き綴ったのが『フィリピンパブ嬢の社会学』(新潮新書)だ。
ミカはマネージャーとの契約を終え、暴力団との関係も解消し、自由の身となった。僕と結婚してビザも下り、パブの仕事から少しずつ昼の仕事にシフトしようと、平日は自動車部品の工場に働きに行くようになった。僕も多くはないが日雇い現場仕事で稼ぎを作る。
暴力団との間に契約もなく、誰からも自由を制限されることもない。好きな時に好きな場所に行ける。もう昔のように暴力団の影に怯える必要もなければ、ノルマ、ペナルティに追われて大変な思いもすることはない。ようやく平穏な日々がくると思っていた。
子供ができる
結婚して1年が経った、2016年11月。
「ずっと生理こない。最近よく吐き気がするんだけど」
ミカが不安そうな顔をしていう。身に覚えはある。近所のドラッグストアーに行き、妊娠検査薬を買いにいく。
トイレから出てきたミカは、複雑そうな顔をしながら赤い線が出てきた検査薬を見せる。陽性だ。
「まじか……」
僕は頭が真っ白になった。仕事は不安定な日雇労働。子供を養っていけるのか? ただでさえミカの収入に頼って生活しているのに。頭を抱えながらしばらく黙っていると……。
「私、めちゃ嬉しいよ。昔から子供欲しかったもん。大丈夫よ、何とかなるよ」
ミカの笑顔を見るとなんだか安心した。よし! 悩んでいても仕方がない。稼がなければ。早速、日雇い現場で雇ってもらっている建設会社の社長に電話をする。
「子供ができまして……僕にでもできる仕事ありませんか?」
「そういうことなら任しとけ! 仕事はあるから、とにかく奥さんに心配かけるなよ!」
不器用で、全然仕事が覚えられない僕でも、社長は文句一つ言わずに現場に連れて行ってくれ、一から仕事を教えてくれた。
ミカも昼の仕事は「重いものを持つから」と辞め、「お腹が大きくなるまで夜働く。お金いるでしょ。少しでも貯めておかないと」といって、フィリピンパブの仕事に戻った。
酒とタバコの煙が心配だったが、「私がお酒飲めないってお客さん知ってるから大丈夫。店のママも妊娠してること知ってるから、お酒出さないようにしてくれるし、タバコの煙も気をつけるね。他の女の子も妊娠してもお腹大きくなるまで仕事するよ。だから安心して。ベイビーのために2人頑張ろうね」
妊娠してからもお腹が目立つまで働くパブ嬢は多い。少しでも経済的に余裕を持つために、ギリギリまで働く。
僕は今までそんなパブ嬢を「まぁ、お金がかかるし、それはしょうがないよね」と他人事のように言っていたが、いざ自分の妻を、夫の収入が低いという理由で夜の店に働かせに行かせてしまい、情けなく思った。
愛があるならコンドームは使わない
2017年1月中旬。ミカは夜の仕事を辞めた。彼女は2ヵ月間よく働いてくれた。
僕も毎日のように日雇いの仕事をし、12月には三重県まで泊まり込みで働きに出た。月の給料は30万円近くもらえた。
生活に必要な金は僕が出し、ミカの給料は貯金している……はずだと思っていた。
「お金、全部フィリピンに送っちゃった……」
なんと貯めていたと思った金は全部フィリピンに送っていた。
ミカの家族は、50代の父、母、上に2人の姉、下に1人異母弟がいる。長女は日本で一緒に住んでいる。フィリピンに住んでいる次女は、子供が2人おり、子供の父親である夫は出稼ぎに行った韓国でフィリピン人の女と浮気をして出て行った。今は、月数万円の養育費しか送ってこず、それでは生活できないから、日本からの送金を頼りにしている。
2月、フィリピンにいる次女から思いもよらない連絡がきた。
「妊娠した」
次女は半年前にマニラに住む28歳の男と交際を始めた。仕事はマンション販売の営業。彼も元妻との間に2人の子供がいる。その彼氏との子供を妊娠した。
「なんで子供作ったの? 私も妊娠したから、もうお金送れないって知ってるでしょ!?」
こう聞くと、照れた顔をしながら、
「だってしょうがないじゃん。彼のこと好きなんだもん。愛してるんだから」
フィリピンはコンドームの普及率が低い。日本人同士のカップルなら、避妊をするためにコンドームを使うカップルは多いが、フィリピンでは「愛があるなら、コンドームは使わない」そうだ。ミカも付き合い始めた頃から、コンドームの使用をずっと拒否している。
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しかし「しょうがないじゃん」と言っても送金の大部分は次女と、2人の子供たちのためだ。しかも子供達は学費の高い私立の学校に通っている。日本にいる長女の子供達は習い事一つも通っていないのに。そこにまた新たに子供が増えるということは、その子供が大きくなるまで日本から送金し続けなければならないということなのか?
次女の彼氏は次女の子供も含めて養っていくと言っているそうだが……その報告を受けた2週間後には「お金が足りないから送ってほしい」ともう連絡が来ている。
次女の衝撃的な告白から1週間後、ミカはげんなりした顔をしていた。
「義理の弟まで別れた元彼女との間に子供を作った」
ちなみに弟は子供ができたからといって、元彼女と復縁する気はなく、今は新しい彼女がいるという。カトリックの影響が強いフィリピンでは中絶という選択もなく産むそうだ。出産費用はミカの父が出すというが、果たしてその金はどこから出てくるのか。
そんなめちゃくちゃなフィリピンの家族に僕は我慢の限界を迎えそうだった。
送金を巡り姉妹で大喧嘩
2月22日。病気を患っているミカの母親が治療のために来日した。ミカは小さな頃から母親っ子ですごく喜んでいた。僕も初めての出産を控えるミカの側に母親がいてくれることで安心した。
しかし、事件は突然起きた。3月9日、僕は日雇現場仕事で、岐阜県大垣市まで行っていた。早く仕事が終わり、3時頃にはハイエースに乗り高速道路で会社に戻っていた時、ミカからLINEが入った。
「助けて! お姉さんが怒ってる。怖い!」
文章だけで、緊迫した状況が伝わる。
どうした? と理由を聞いても、「早く来て。助けて!」としか返事がこない。
会社に着くと「すいません! 妻が緊急事態みたいで」といい、急いで家に戻った。「僕の実家に帰ろう」と言い、車の中で事情を聞くと「あなたのせい!」と真っ赤な顔をしていう。話を聞くと、どうやら僕が「フィリピンにお金送りすぎだよ」と話していたのが、長女と母の気に障ったらしい。
「はじめはお母さんとお姉さんが話してたの。あなたのこと。それで私が呼ばれて、お母さんに『あなたの旦那、フィリピンの家族のこと全然大事にしていないね』って言われたの。それで私も怒って、『フィリピンの家族のことを大事にしてないんじゃなくて、お金がないんだから、考えて送らないとダメって言ってるの』って言ったの」
長女と母は「本当にあの人大丈夫なの? お金もないし」と僕のことを言ったそうだ。ミカはキレた。
「お姉さんが妊娠してた時は、私がフィリピンに送ってたでしょ。今は私が仕事できない。だから、私の旦那さんだけの給料じゃフィリピンにお金送れないよ。お姉さんも旦那さんの給料だけでフィリピンに送れるの?」
長女は鬼のような顔をして「今まで誰が面倒見てきたと思ってるの!!」そう言い、ミカを突き飛ばした。ミカはその場で倒れた。怒鳴りあう2人を見て、母が泣きながら長女を押さえつけた。
「すごくショックだった。私、妊娠してるのに、お姉さんに突き飛ばされた。お腹の子供が心配」
大声で泣いている。話を聞いた後、腸が煮えくり返る思いだった。
「もうそんな家族捨ててしまえ!!」僕は、車を運転しながら怒鳴った。
今までどれだけミカが頑張って送金してきたというのか。金がないのにどうやって送金しろというのか。それに、ケチケチ言われるが、フィリピンの家族が知らないだけで、僕が稼いだ金を送金したことだってある。
フィリピンの家族を大事にしろというが、父親はミカが小さい頃に女を作り家を出て行った。それなのに今では日本から金を出してもらい自分のビジネスを持っている。それにもかかわらず、ギャンブルで負けるとまた、送金しろと言う。
次女も「浮気をした夫のせいで人生が無茶苦茶になった」といいながらいつまでたっても仕事もしない。それどころか、家事と育児が大変といってメイドを雇い、自分は彼氏を作り、子供まで作ってしまっている。そんな家族を大事にしないといけないのか? そんなにフィリピンの家族のことを大事にしろというのなら、日本の家族のことも大事にしろよ!
持つ者が持たない者を助けるのが当たり前
ミカが僕の実家に避難してから、毎日ミカの母から電話がかかってきた。電話越に母親の泣き声が聞こえる。
「もう無理。帰れない」
ミカは力ない言葉で返事をすると、母親の泣き声は大きくなる。
毎日、泣きながら電話をしてくる母と、冷たい反応をする僕。ミカは「お母さんのことが心配」といいながら、僕の顔色を伺うようになった。
「もう!! わかった! 家に帰ろう!!」僕は投げやりにいった。これ以上ミカにストレスを与えてもお腹の子供に悪いし、いつまでも家族がぎくしゃくしているのも嫌だ。
数日ぶりに家に帰る。
ミカは決心したかのように長女と話しに行く。重い口調で話す2人、だんだんと2人は声を震わせ、抱き合いながら「ソーリー、ソーリー」と謝っている。横では母が号泣している。
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最後に長女が僕のところに来て「ごめんね」といった。
「『自分たちの生活をまずは大事にしよう』って言ったの。子供のこと、自分の体のこと。だってお姉さん自分の体の調子が悪くても、病院にも行かずにフィリピンの家族のこと大事にしてるもん。頑張りすぎだよ」
長女は自分の体を犠牲にしてでもフィリピンの家族を大事にしていた。それはフィリピンの家族だけでなく、日本にいる僕たちも含めてだ。家では掃除、洗濯、料理もほとんど長女がやってくれる。外食するときも、「お金出さなくていい」と言って、長女が払ってしまうことが多い。ミカに言わせれば「お姉さんは性格が優しすぎる」そうだ。自分を犠牲にしてでも家族を大事にしたい、というのが長女の性格だという。
僕は、長女のプライドを無視してしまっていた。日本に来てもう15年になる。ずっとフィリピンの家族を支えてきた。妹たちを大学まで行かせ、高級住宅街に家まで建てた。フィリピンの家族を支えるということは、長女にとっての誇りなのだ。
そこに口うるさい僕が来て、「フィリピンへの送金を考え直したほうがいい」といい出した。それが長女のプライドを傷つけることになった。
どちらが正しいということはない。フィリピンにはフィリピンの家族観がある。それは金を持つものが、金のないものを助ける。そして日本には日本の考えもある。まずは自分の新しい家族を大事にするということ。国際結婚するということはこういう考えの違いを乗り越えないといけないのだ。
本当は送金止めたいけど
喧嘩も終わり、平穏な日々が戻ろうとしていた頃。
「ごめんね。本当は内緒にしてたことがあるんだけど……」ミカが申し訳なさそうな顔をする。
「本当はね、日本から毎月20万円送ってた」
僕は毎月の送金額は10万円だと思っていたのだが、本当は姉妹で20万円フィリピンに送っていたという。生活費で10万円、車のローン5万円と僕には内緒で買ったマンション1室のローン5万円。その内、ミカは15万円出していたそうだ。こんなに出していたら、いくら稼いだって生活に余裕ができるわけがない。
だからミカは妊娠中、夜の仕事をしていた給料も全てフィリピンに送ってしまったし、稼ぎがなくなったことで、送金できなくなり長女と母が文句をいい出した。その結果、喧嘩になった。
今回の喧嘩のおかげで、ミカはもう送金できないから、長女が車のローンと生活費を送ることにし、マンションは手放すことにしたという。それでもまだ送りすぎだと思うが、それは僕がとやかく言うことではない。というか、言えない……。
とにかくミカはもう送金をしないと約束したのだが……月末。
「2万円だけフィリピンに送っていい?」
「は?」
「お願い! 少しだけでもいいからフィリピンの家族を助けたいの」
はぁ……こんな時、長らくミカのヒモをやっていたせいで、嫌だとはいえない。「金がなくなったら、俺は借金してでも金を作らないかんのか!?」と嫌味を言いながら渋々2万円渡した。
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ミカが日本に来た目的はフィリピンの家族を助けるため。その役割は、パブを辞めようが、妊娠しようが、出産しようが変わらない。
「私だって本当はもう送金やめたいよ。でも送るのが当たり前になってる」
という言葉のように、ミカ1人で送金を止めることを決められない。家族が納得せずに送金を止めてしまったら、ミカは裏切り者になってしまう。僕も他人だったら「今すぐやめろ!」といえるが、妻の身内である以上、見放すことできないし、送金に頼る彼らの事情もわからなくもない。
だから毎月一定の金額にするとか、どうしても送れない時は送らなくていいとか、何かルールを作らなければと思うのだが、そのルールを作るまでに、また一波乱も、二波乱もありそうだ。
7月には子供が生まれる。女の子のようだ。とにかく元気に生まれてきて欲しい。出産費用、養育費用、オムツにミルク、経済的な心配は尽きない。フィリピンスタイルで「なんとかなる!」のならいいのだが。
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