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エネルギー資源から見たアメリカの世界戦略(その2)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201802100001/
2018.02.11 櫻井ジャーナル
アメリカが中東やアフリカを侵略する大きな理由は石油や天然ガスを含む資源にあるとする推測する人がいる。そうしたひとり、ロバート・ケネディ・ジュニアは1968年6月6日に暗殺されたロバート・ケネディ(RFK)の息子だ。RFKジュニアによると、2000年にカタールはサウジアラビア、ヨルダン、シリア、トルコを経由してEUへ天然ガスを運ぶパイプラインの建設をシリア政府へ持ちかけたのだが、09年にこの提案をシリア政府は拒否、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟が計画していたシリア侵略に参加することになった。シリア政府がカタールの申し出を拒否した直後、CIAはシリアの反政府派に資金を提供しはじめたことをWikiLeaksは明らかにした。
イスラエルが軍事侵略に力を入れている理由のひとつも天然ガスだ。地中海の東側に湾岸なみの天然ガスや石油が存在していることが明らかになり、2001年からイスラエル沖で調査が実施され、09年に天然ガスが発見されている。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っているという。この地域には、リビア、エジプト、パレスチナ(ガザ)、イスラエル、レバノン、シリア、トルコ、ギリシャといった国が並んでいる。イスラエルが執拗にガザを攻撃する理由のひとつはここにあると見る人もいる。
その天然ガス田発見に関わった会社のひとつ、ノーブル・エナジーのロビイストとして仕事をしているひとりがビル・クリントン元大統領。ウォール街の大手金融機関が開発資金を出す意向を示している。2016年の大統領選挙でノーブル・エナジーはヒラリー・クリントンに多額の寄付をしていたようだ。
天然ガス田の調査が始まった2001年に石油の探査/掘削技術を持つ人間がイスラエルへ入ったと言われている。当時、ロシアではウラジミル・プーチンが実権を握り、政府を私物化して私腹を肥やしていたオリガルヒの粛清に乗り出していた。そこで少なからぬオリガルヒが国外へ逃げている。その主な逃亡先はロンドンとイスラエルだった。イスラエルへはロシアの巨大石油企業ユーコスの幹部も逃げ込んでいる。
アメリカの支配層、特にネオコンは1992年2月に国防総省のDPG草案として作成された世界制覇プラン、いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づいてい行動しているのだが、そのベースになっている理論が存在する。1904年にイギリスの学者で地政学の父とも呼ばれているハルフォード・マッキンダーが発表したハートランド理論だ。ズビグネフ・ブレジンスキーもこの理論に基づいて戦略を立てていた。
マッキンダーは世界を支配するためにロシアを制圧しなければならないと考える。広大な領土を有し、豊富な天然資源、多くの人口を抱えているからだ。そのロシアを締め上げるため、西ヨーロッパ、パレスチナ、サウジアラビア、インド、東南アジア諸国、朝鮮半島をつなぐ内部三日月帯を、その外側に外部三日月地帯をマッキンダーは想定した。イギリスと日本は外部三日月地帯に分類されているが、その位置はイギリスが内部三日月帯の西の端、日本は東の端だ。
中東支配はこの戦略を実現するためにおいて重要な場所だが、エネルギー資源も大きな意味を持っている。アメリカは基軸通貨のドルを発行する特権で生きながらえている国だが、そのドルの流通量を調整するために石油取引が重要な役割を果たしてきたことを本ブログでも再三再四、指摘してきた。このペトロダラーの仕組みはハイパーインフレをバブルに転換させる金融システムと同じようにアメリカの支配システムを支えてきた。
こうした仕組みに石油などエネルギー資源が使えるのは、社会を維持するためにエネルギー資源がどうしても必要だからだ。エネルギー資源の取り引きは国と国を結びつける。アメリカがウクライナでクーデターを実行した一因は、ロシアとEUの天然ガス取引を潰すことにあった。さらに、ポーランドなどを使ってアメリカはノード・ストリーム2を葬り去ろうとしている。アメリカや日本が東シナ海を制圧し、中国の海上輸送路を支配しようとしている理由も同じだ。(了)
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