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北朝鮮核問題を作った根源は米国と旧ソ連にあるー(田中良紹氏)
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8th Jan 2018 市村 悦延 · @hellotomhanks
1月8日は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の誕生日である。
34歳になったとみられるが
しかしそれを伝える報道も誕生日を祝う公式行事もない。
ただ翌9日に事務レベルを飛び越し南北朝鮮の高官級会談が急きょ決まったことが、
金正恩委員長にとって誕生日を意識した動きなのかとの憶測を生む。
南北会談はあくまでも平昌オリンピックへの参加問題がテーマだが、
オリンピックにとどまらず緊迫の度合いを高める米朝武力衝突の可能性を抑え、
対話路線へと舵を切るきっかけにしたいとの思惑が韓国の文在寅政権にはある。
とりあえず平昌オリンピック期間中の米韓合同軍事演習について、
米国のマティス国防長官はオリンピック終了後に延期する方針を表明したが、
一方で南北対話には米韓同盟に楔を打ち込む狙いがあると懸念を示し
「オリンピックだけを議題にすべき」と発言、
韓国の宋永武国防相にも電話でくぎを刺した。
また米国務省も同様の考えを表明した。
ところが新年早々「私の机の上には核のボタンがある」と
米国を威嚇した金正恩委員長に対し、
「私のボタンはもっと大きくて強力」と子供じみた反応を示したトランプ大統領は
「韓国の文在寅政権を100%支持する」と南北会談を歓迎した。
そして「オリンピック以外の問題も議論すべき」と
マティス国防長官らの考えを一蹴した。
さらに「適切な時期が来れば米国も関与する」と
自らが直接金正恩委員長と電話会談を行う考えのあることを表明した。
勿論その前提にあるのは朝鮮半島の非核化だが、
トランプ大統領は「強硬姿勢があったから話し合いが生まれた」としたうえで
「私がふざけているわけではないことを(正恩氏は)分かっているはずだ」と述べた。
このところマイケル・ウォルフ著『炎と怒り』というトランプ政権の暴露本が
出版され、「大統領はまともな判断ができるのか?」が米国で論議の的になっている。
しかしこの南北会談に関する反応はまともだとフーテンは思う。
米軍が中国と協力して北朝鮮の核施設を制圧し、
しかるのち米中が38度線で朝鮮半島を分け合う米中密約があるとの荒唐無稽な話
より、また北朝鮮を経済的に締め上げて政権崩壊を狙う「ソ連崩壊」第二弾を
やろうとする愚かな計画より、
少なくも前例踏襲の官僚的発想ではない前向きな政治家の思考である。
最近の米国メディアによる北朝鮮報道には、
単に北朝鮮の脅威を煽るのではなく問題の根源を探る傾向を見ることが出来る。
CNNの特番「秘密の国家」は憎悪の対象であるはずの米国人に北朝鮮民衆が
どう接してくるかを放送したし、
「ニューズウィーク日本版」は「金正恩がアメリカを憎悪するもっともな理由」と
題する記事を掲載した。
後者は100人以上の脱北者を取材し『密閉国家に生きる』(中央公論新社)を
書いたロサンゼルス・タイムズのバーバラ・デミック記者が語った内容である。
なぜ朝鮮半島が38度線で分断されたかを教えてくれる。
第二次大戦後、敗戦国ドイツは「侵略の罪」で米ソによって東西に分断された。
一方の朝鮮は侵略をしたわけでもなく
敗戦国日本に支配された状態から独立できるはずだったのに
米ソによって南北に分断された。
北緯38度で線を引いたのは米国である。
2人の陸軍将校がソウルを米国の支配下に入るように考え
地図を見たら38度線を見つけた。
ソ連も同意し38度線以北はソ連が支配することにした。
分断当初は半島統一も模索されたが、
1948年8月に米国が後ろ盾となり李承晩を擁立して南に大韓民国を作り、
9月にはソ連が対抗して金日成を擁し朝鮮人民民主主義共和国を建設した。
そして1950年、北朝鮮が半島統一を目指して南に侵攻する。
北朝鮮軍は韓国軍を圧倒し半島の90%を制圧したが、
米国を中心とする国連軍が押し返して38度線で膠着状態となり、
53年に休戦協定が締結された。
南北分断と同じくこれも一時的なものと考えられたがそれがいつしか固定化された。
朝鮮戦争で米軍が投下した爆弾の量は対日戦争の3.7倍に当たり、
カーチス・ルメイ将軍は「人口の20%を抹殺した」と豪語する。
南北朝鮮で数百万人が殺され、
その恨みが今でも北朝鮮の対米観を歪ませているのだとデミックは主張する。
それが昨年末に「ニューズウィーク日本版」に掲載された。
フーテンが思い出すのは1991年のソ連崩壊時の米国議会の議論である。
日本では宮沢総理をはじめ誰もが「これで世界は平和になる」と言った。
しかし米国議会の議論はまるで違った。
一面では自由主義と資本主義の勝利を高らかに謳いながら、
しかしソ連がなくなったことで世界が不安定化する恐怖を感じていた。
どんなにソ連の独裁体制を批判しても、そして独裁が悪だとしても、
それによって出来上がった社会には一定の秩序と安定が存在する。
しかし絶対的な権力が崩れると何が起きるか分からない。
無秩序と不安定が急に襲ってくるのだ。
ソ連崩壊で米国が最も恐怖したのは核の管理体制が崩れたことであった。
2年以上にわたる米国議会の議論の結果、
米国は諜報機関と軍事力の増強を図らなければならなくなった。
その間の日本は、そしてそれ以降も日本は「冷戦後」を自覚することなく、
金儲けに浮かれ「平和を守れ」を呪文のように繰り返している。
しかし米国の懸念は中東と朝鮮半島で現実になった。
それからの米国は世界最強の軍事力を武器に
世界を米国の価値観で統一しようとする。米国による一極支配の始まりである。
第一段階は経済力が目障りな日本型資本主義を解体することであった。
世界で最も格差の少ない社会を作った日本型資本主義は米国と同じ土俵に乗せられた。
その一方で米国は日本の平和主義を対米従属に利用する。
平和憲法を守らせれば米国に依存するしかなくなり、
そこで憲法解釈を変更させれば自衛隊を米軍の思い通りにすることが出来る。
そして北朝鮮の脅威を煽り米国製兵器を買わせることが出来るのである。
冷戦が終わって分断されていた東西ドイツは統一されたが、
敗戦国日本の植民地支配から独立するはずだった朝鮮半島は分断されたままである。
理由の一つは世界を一極支配しようとする米国の都合だとフーテンは思う。
クリントン大統領は一時期は南北朝鮮を統一し
「冷戦の最後の分断を終わらせた大統領」という名誉を得ようとした。
しかしジョセフ・ナイらの考えはこの地域の不安定さを理由に
米軍を東アジアに展開させるのが米国の利益と判断した。
以来、米国の先制攻撃を恐れる北朝鮮は核抑止力を自前で持つことに
専念するようになる。
それが行きつくところにまで来た。
もはや北朝鮮の核がどこにあるか、米中が協力しても見つけ出せるとは思えない。
外国軍が侵入すれば北朝鮮は自滅の道を選ぶだろう。
それは核戦争に匹敵する災厄を世界にもたらす。
また経済制裁で金正恩政権が崩壊すれば「平和になる」というのも
ソ連崩壊を喜んだ「平和ボケ」の二の舞である。
しかし南北統一のシナリオを描くのも相当に難しい作業になる。
米国はそれに伴う負担をかつて植民地支配した日本に負わせようと考えているが、
しかし38度線を見つけソ連と分断を図った米国に相当の責任はある。
日本はそれを胸に北朝鮮問題を考えるべきだ。
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