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https://jp.sputniknews.com/opinion/201712284428614/
商船三井、北極海の氷を砕いて進むLNG船をお披露目
© 写真: Mitsui O.S.K. Lines, Ltd.
オピニオン
2017年12月28日 10:08(アップデート 2017年12月28日 16:34)
徳山 あすか
21日、日本の大手海運会社「商船三井」と中国の国営企業「チャイナコスコ・シッピング」が共同発注した新造砕氷LNG船が韓国の造船所で公開された。新船はロシアの探検家にちなみ「ウラジーミル・ルサノフ」と命名された。最大2.1メートルの厚さの氷を砕きながら進み、かつて「世界の最果て」と言われていたロシア北部ヤマル半島のLNG基地から、世界中にLNGガスを運ぶことになる。
スプートニク日本
ヤマルLNGプロジェクトは、埋蔵量は多いものの、経済制裁により資金調達が頓挫したり、プロジェクトの途中で追加建設が必要になったりと、何度も実現が危ぶまれてきた。それだけに、今月8日に行なわれた初出荷の記念式典では、世界中の関係者が喜びを見せた。
© Sputnik/ Alexei Druzhinin
初出荷の記念式典に参加したプーチン大統領。極寒の中、積込作業を見守った
LNG船は、世界中を見渡しても建造過程にあるものを含め約540隻しかない。その中で商船三井は、契約・発注済の船を合わせて95隻のLNG船を保有する、世界最大のLNG船オペレーターだ。LNG船は船体構造が複雑で高い輸送技術が求められるため、価格も高い。通常の貨物船と違って、特定のプロジェクトのために建造され、利用されるのが一般的だ。
© Sputnik/ Ramil Sitdikov
北極圏研究、ロシアはきわめて重要なパートナー
商船三井が新船の発注を決めた2014年は、折りしも、2月にウクライナの政変、3月にロシアによるクリミア半島併合が起き、日本を含む西側諸国が対露経済制裁を発動した年だった。この年に日露関係は大きく悪化したが、それでも商船三井がヤマルLNG輸送プロジェクトに参画した理由について関係者は、「北極海で眠っている資源へのアクセスという意味でも、北極海航路を日本企業が運行し確保するという意味でも、日本の国益にかなう。こういった困難なプロジェクトで実績を積み、更に難しい別のプロジェクトが出てきたとき、一番に声がかかるようにしたい」と話している。
© Sputnik/ Valeriy Melnikov
北極探検のためカラ海を航行するロシアの原子力砕氷船(2015年6月)
新船「ウラジーミル・ルサノフ」は、北極海の厳しい環境を考慮し、あらゆる点で特別仕様になっている。マイナス52度の気温にも耐え、アイスレーダーで氷の位置を認識し、氷を砕きながら航行することができる。砕氷能力のレベルは、一般商船としては最高レベルの「ロシア船級ARC7」だ。鉄板の厚み、フレームの多さ、塗装に至るまで通常船の倍以上の装備をもち、前進だけでなく後退もできる非常に画期的な「ダブル・アクティング」という機能を備えている。
夏季(7月〜11月中旬)はベーリング海に抜ける北極海航路、冬季(11月下旬〜6月)はスエズ運河航路を使い輸送する。北極海航路を使えば大幅な航海日数短縮、3割もの燃料節約、海賊が頻発する地帯を避けられるなど多くのメリットがある。
© Sputnik/ Ilya Pitalev
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一方、安全運行のための更なる課題もある。「無線システムによって通信手段は確保されているが、万が一に備えて複数の通信手段を持ちたい」「どこにどんな氷があるのか、より精緻に、タイムリーに分かるような仕組みを作りたい」という声が出ている。
また、北極海に面する場所には町がほとんどないので、何らかの事情で航行できなくなってしまった場合、救助隊の到着に時間がかかるのではという懸念もある。北極海航路は過酷な自然環境との戦いであり、どれだけルートを確立し、安定的に輸送できるかが今後の鍵となりそうだ。
「ウラジーミル・ルサノフ」は、近日中にカラ海でアイストライアルと呼ばれる砕氷性能試験を経て、来年3月末にヤマル半島のサベッタ港に初入港する予定だ。
タグ 経済協力, 日本, ロシア
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