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「トランプ政権 アメリカ『分断』の1年」〜米国の世論の“分断”こそが、この類まれな大統領を生んだとも言える/橋祐介nh
http://www.asyura2.com/17/kokusai21/msg/521.html
投稿者 仁王像 日時 2017 年 12 月 27 日 21:43:46: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

「トランプ政権 アメリカ『分断』の1年」(時論公論)
2017年12月20日 (水)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/287118.html
橋 祐介 解説委員

アメリカのトランプ大統領は、今週末からクリスマス休暇に入る見込みです。アメリカの世論を“分断”し、内外に様々な波紋も広げてきた“トランプ劇場”は、いわば第1幕にあたる任期最初の年をまもなく終えようとしています。はたしてこの1年、トランプ政権は、どのような成果を挙げ、来年に向けて、どのような課題を残したのでしょうか?

ポイントは3つあります。

▼まず、“公約順守”が最優先。それがトランプ政権の一貫したスタイルです。
▼次に、政権の前途にのしかかる、いわゆる“ロシア疑惑”は払拭できるでしょうか?
▼そして、来年の中間選挙で、与党・共和党は上下両院で多数を維持できるでしょうか?

トランプ大統領が公約の目玉に掲げていた税制改革法案は、きょう(20日)議会の上下両院でそれぞれ可決され、今週中に成立する見通しとなりました。大規模な税制改革は、1986年、当時のレーガン政権以来およそ30年ぶりとなり、共和党にとっては、長年の“悲願達成”です。政権発足以来これまで重要法案が何ひとつ議会を通らなかったトランプ大統領にとっては、ようやくつかんだ“待望の成果”でもありました。

ところが、「これでトランプ政権に一気に追い風が吹く」という見方は、必ずしも多くありません。いま大統領の支持率は、だいたい40%前後。就任当初と比べて目立った変化はありません。
なぜ支持率は、大きく増えも減りもしないのでしょうか?同じ世論調査を党派別に見てみると、共和党の支持層では、圧倒的多数がトランプ政権を支持しているのに対し、民主党の支持層では、圧倒的多数が支持していないからです。
党派の違いによって、これほどギャップが激しい大統領は、過去に例がありません。トランプ政権は、“分断”された世論の一方だけによって支えられているのです。

なぜ、このように世論の“分断”は、いわば固定化しているのでしょうか?
こちらは、赤色で示した共和党と、青色で示した民主党の支持層で、社会の価値観をめぐり、保守的な考え方をする人と、リベラルな考え方をする人が、それぞれ、どれぐらいの割合でいるかをグラフにしたものです。
イラク戦争の是非をめぐり、世論が真二つに割れていた2004年当時の調査でも、両党の支持層には、かなり重なる部分がありました。平均値の差もわずかでした。
これに対して、ことしの調査では、共和党の支持層は、より保守的に、民主党の支持層は、よりリベラルとなり、平均値の差も大きく広がっているのです。移民の増加や人種対立、それに所得格差の拡大なども影響したからでしょう。
いまのアメリカ国民は、党派が違えば、価値観もライフスタイルすらも全く異なり、いわば“共通の基盤”を失いつつあるのかも知れません。

このため、トランプ大統領が“公約順守”を最優先に、自らの支持層へのアピールに奔走するのは、それなりに合理的な判断ではあるのでしょう。現に、「エルサレムはイスラエルの首都」そうしたイスラエル側の主張だけを認め、パレスチナ側の反発を招いている問題でも、大統領が“公約順守”に固執した事情がうかがえます。
トランプ大統領のねらいは、イスラエルを擁護する自らの支持基盤のエバンジェリカルズ=福音派と呼ばれる保守的なキリスト教徒の支持固めにあったのでしょう。トランプ外交は、「世界からどう見られるか」よりも「アメリカ国内の支持者からどう見られるか」が常に優先するのです。
その結果、国連安保理で“首都認定”の撤回を求めた決議案の採決では、アメリカを除くほかの理事国が、日本などの同盟国も含めてすべて賛成にまわり、トランプ政権は初めて拒否権を行使せざるを得ませんでした。
外交もまず国内事情を優先して考える。そうした“アメリカファースト”のトランプ外交は、アメリカが国際社会で孤立するリスクを高めていくでしょう。

今週トランプ政権は、外交・軍事戦略の指針となる「国家安全保障戦略」を明らかにしました。ここにも“アメリカファースト”は色濃く反映しています。
▼国土防衛と▼繁栄の促進、▼“力による平和”の維持と▼アメリカの影響力拡大という4本の柱には、共和党政権に伝統的な考え方が踏襲されています。
ただ、中国とロシアを名指しして、アメリカの「競争相手」と位置づけ、アメリカ主導の国際秩序を脅かす「修正主義勢力」と批判し、強い警戒感を示したのが特徴です。
核やミサイル開発に走る北朝鮮とイランは「ならず者国家」と非難しました。
しかし、トランプ大統領その人は、北朝鮮への対応では中国に協力を求め、ロシアとの関係改善にも意欲的な発言をくり返しています。戦略の指針と大統領の言動に矛盾があるのです。中ロ両国からどこまで理解や協力を得られるかは不透明と言わざるを得ません。

では、去年の大統領選挙にロシアが介入し、トランプ陣営と癒着があったのではないかとされる、いわゆる“ロシア疑惑”は払拭できるでしょうか?
実はホワイトハウスは当初、モラー特別検察官による捜査は年内にも終わるはずだと楽観的でした。しかし、今月初めに起訴されたフリン元大統領補佐官が有罪を認め、量刑を軽減してもらう代わりに捜査に協力する、いわゆる“司法取引”に応じたことで、事態は一変。捜査はさらに長期化する公算が大きくなりました。
トランプ大統領にとって、とくに気がかりなのは、娘婿のクシュナー上級顧問ら、政権中枢が捜査の対象と目されていることでしょう。大統領自身も、捜査の中止に応じなかったFBIのコミー前長官を解任したとされる、いわゆる“司法妨害”の疑いが完全には晴れていません。
ただ、トランプ大統領が、議会によって弾劾に追い込まれる可能性は、今のところきわめて低いという見方が大勢を占めています。共和党の支持層はトランプ政権から離反していない。その共和党が議会の上下両院で多数を占めている限り、弾劾は難しいからです。

では、来年11月の中間選挙で議会の多数派が変わる可能性は、現時点でどれぐらいあるのでしょうか?
中間選挙では、議会上院の3分の1、下院のすべての議席が改選されます。通常その時々の政権に対して有権者は厳しい見方をする傾向にあり、「中間選挙では与党に逆風が吹く」と言われます。
とりわけ上院では先週、南部アラバマ州で行われた補欠選挙で与党候補が敗退したため、共和党は半数を僅か1議席上回るだけとなり、野党・民主党は、多数派の奪還をめざして、攻勢を強めていくことでしょう。
しかし、実は共和党に有利な要素もあります。来年、上院で改選される議席が、民主党よりも格段に少ないのです。しかも、民主党の現職議員が来年改選される州の中には、もともとは共和党の地盤で、トランプ大統領が去年の大統領選挙で勝利した州もあるのです。
このため、いまの“公約順守”の姿勢を貫けば、勝機は十分につかめるはず。トランプ大統領はそう読んで、支持固めを進め、いわば“選挙運動のための政治”を行っていくのではないでしょうか。

ちょうど去年の今ごろ、世界は「トランプ大統領が就任したら、選挙戦の時とはどう変わっていくのか?」期待と不安をもって、その行方を論じました。しかし、「そんなに簡単には変わらない」それが1年後の率直な印象です。大統領が世論を“分断”したと言うよりも、アメリカの世論の“分断”こそが、この類まれな大統領を生んだとも言えるからです。年明けから始まるトランプ劇場の第2幕でも、あまり大きな変化は期待できないのが現実です。  

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