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汚職摘発に熱心だったサウジ皇太子、ケタ違いの贅沢が明らかに
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/12/post-9152.php
2017年12月19日(火)16時56分 グレース・ガーニエリ ニューズウィーク
17世紀のフランスの城を模した世界一高額な家の買い手はサウジの皇太子だった Charles Platiau-REUTERS
<7月に王位継承者となって以来、身内の王族も容赦しない汚職摘発でクリーンさをアピールしてきたムハンマド皇太子の天文学的買い物リストが明らかになった>
サウジアラビアの皇太子で経済改革のリーダーを自任するムハンマド・ビン・サルマンが、世界で最も高額な邸宅を3億ドルで購入していたことが明らかになった。
邸宅はパリ郊外のルーヴシエンヌにあり、「ルイ14世の城」と呼ばれている。2015年に売却されたときは、誰が買ったのかわからずじまいだった。それがムハンマド皇太子だったことを、ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。記事はまた11月、レオナルド・ダ・ヴィンチの「サルバトール・ムンディ(救世主)」を美術作品としては過去最高の4億5000万ドルで落札したのも、ロシアのウォッカ会社の投資家から5億ドルのヨットを購入したのも、ムハンマドだった、と報じている。
「ルイ14世の城」は、数年前に建ったばかりだが、17世紀のフランスの城を忠実に再現した外観と豪華な内装で知られる。広大な来客用スウイートルームが10室あるほか、バー、屋内スカッシュコート等々、近代的な娯楽施設も整っている。アメリカのセレブ、キム・カーダシアンが、カニエ・ウェストとの結婚式会場の候補として足を運んだ建物でもある。
ムハンマドがこの邸宅の所有者であることを2年にわたって伏せることができたのは、ルクセンブルクとフランスに設立した複数のペーパーカンパニーを通じて購入したためだ。それらの会社は、最終的にムハンマドの投資会社エイト・インベストメント・カンパニーの所有となっている。
これらの贅沢な買い物が明らかになったことで、サウジアラビアにおける改革派としてのムハンマドのイメージダウンは避けられない。ムハンマドはこれまで、イスラム教国サウジアラビアに革新的な社会政策を導入してきた。映画館を解禁したり、女性の自動車運転を許可したのもその一環だ。
また、王族や政府職員と企業の腐敗取り締まりの陣頭指揮も執ってきた。サウジの王子を11人も一斉逮捕し、自由の身にするのと引き換えに全財産を没収したりもしている。
米中央情報局(CIA)元高官で、現在はテロ対策専門家のブルース・リーデルはニューヨーク・タイムズ紙に対し、「皇太子は、自分はほかの人間とは異なる改革派で、腐敗した人間ではない、というイメージでかなりの成功を収めてきた」と言う。「それだけに今回の件は、深刻なダメージになるだろう」。
ムハンマドは現在32歳で、父親のサルマン国王の後継者だ。11月に同紙のインタビューに応えた際には、政府と企業の汚職を厳しく取り締まっており、国内で200人以上を摘発したと語っていた。
また次のようにも言っていた。「わが国は1980年代から現在まで、汚職によって多くの損害を被ってきた。専門家の推定によると、政府の年間総支出額の約10%が毎年、高官から位の低い役人までの汚職によって不正流用されている」
ムハンマド自身も、同じ穴の狢だったようだ。
(翻訳:ガリレオ)
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