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〔「イスラム国」紛争後もフィリピンに残る傷痕〕11月18日、TBS報道特集
イスラム国に共鳴する武装勢力がフィリピン、ミンダナオ島の町を占拠した紛争は先月ようやく終結した。7月に続いて現地に入った。町の中心部は壊滅し、ほとんどの避難民は家が戻れない状況だ。5か月間に及んだ戦闘の傷跡を取材した。
凄まじい破壊である、破壊し尽くされたマラウィの町(その街並みの映像)。戦闘終結の裏で新たな動きが。
日下部「イスラム国との戦いはこれからもミンダナオで続くのか?」
フィリピン軍の大佐「はい、再び連中は兵士を集めていると聞く」
フィリピン南部ミンダナオ島の町マラウィ。イスラム国に忠誠を誓う武装勢力との戦闘は先月末に終了した。軍が安全を確認した一部の地区では避難民の帰宅が許された。(その残骸の跡を辿る。11冊のコーランの置かれた部屋もあった。イスラム国支持の過激派組織アブ・サヤフのリーダー、パピロンのアジトも。ここで軍に殺害された)。
(中略)
一連の戦闘の中で実は人質の解放をめぐり武装勢力側との交渉を探る動きがあった。イスラム国の名の下に集まった勢力の一つが地元の有力者で裕福なマウテ兄弟が作ったグループがあった。イスラム教指導者アガカーン・シャリーフ氏はマウテ家と血縁関係にあり、兄弟が幼い頃から親しかった。ミンダナオ島の紛争でも和平交渉に参加した人物で、政府の許可を得たうえでマウテ兄弟に会いに行った。
マウテ兄弟は、モロ・イスラム解放戦線の代表者を連れてくることを条件に一旦は、兵を引くべきという説得に応じた。
アガカーン「私は4人の宗教指導者を連れて行った。一人は兄弟のアラビア語の先生だった。議論の末、アブドゥッラー・マウテは『分かった』『我々は出て行く』と言った。『人質も全員解放する』と。それで我々は政府に話をした。しかし、政府は『テロリストとは交渉しない』と答えたんです」(このことでアガカーン氏は、イスラム国や武装勢力ばかりでなく政府に対しても怒っている)
交渉は決裂した。アガカーン氏は、マウテ兄弟に戦闘の理由は何かを聞いたことがある。すると、イスラム国がシリアでやったようにマラウィに自分たちの国を造ることが目的だと答えたと言う。
アガカーン「私は言った。『わが兄弟アブドゥッラーそしてオマルよ、そんなことは無理だ』と。なぜならここにはフィリピン政府があるからと。政府がもし仮に君たちに負けたら今度は米国がやってくるぞと。シリアやイラク起きたのと同じことが起きるぞと」
忠告は聞き入れられなかった。戦闘終了後、少しづつ住民たちが戻り始めている。しかし、多くの場所で電気や水道が止まったままだ。戦闘終結後の帰宅者、約5000人。マラウィの市街地の4割が壊滅、40万人が戻れずにいる。
(難民避難所の様子は割愛)
今回の出来事は「イスラム国」というくくりだけでは説明できない複雑さを孕んでいる。
赤十字国際委員会コタバト事務所・松沢朝子所長「私は宗教の紛争ではないと思っていて、むしろ政治的な部分と文化的な部分が大きな要因だったと思う。やはり政府に対し面白くないと不満を持っている人たちもいたと思う。表立っては応援しないよといってもひそかに裏で応援している、資金の応援だったり物資の応援だったり、トンネル掘ったとか言われるが、そういう部分で応援した人たちも地元にはいっぱいいたと思う」
政府側は戦闘では勝利を収めたが紛争の火種は残ったままだ。武装勢力側には新たな動きも出ていると言う。
フィリピン軍大佐「連中は再び兵士を集めていると聞く。我々は今、市長や自治体政府、市民みんなで力を合わせテロリストを捕えるため、細かい情報でも通報するように指示を出している」
日下部「フィリピンはキリスト教国のイメージがあるが、実はイスラム教の方が早く入ってきている。だからイスラム教徒からすると、後から来た者に追いやられて、しかも差別してこられたという思いがある。さらに経済格差も加わってミンダナオ島では長い事反政府活動が続いてきた。今回もイスラム国とは言っているが、取材してみてその背景にあるのはとてもローカルな地元の指導権争いとか、マニラ政府に対する不満とかがある、つまりこれまでの戦闘の文脈上で起きた事件のような気もする。
ただ、イスラム国を前面に押し出すことによって武装勢力側は求心力を高められる。一方、政府軍側は徹底的に攻撃する大義名分みたいなものが得られたのではないか」
(日下部補足)
松沢朝子:国連職員から国際赤十字に移り、紛争難民の支援に当たってきたが、ミンダナオの前は南スーダンという苛酷な所で任務に就いてきた。国際赤十字の全職員の日本人の割合は2%である。
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