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津田大介「世論工作に利用される米ネット大手3社」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171108-00000031-sasahi-sci&pos=1
週刊朝日 2017年11月17日号
津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)
ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られるジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介氏。フェイスブック、グーグル、ツイッターがどれほど「ロシアゲート」に使われたか、津田氏が解説する。
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米国では、2016年米大統領選挙へのロシア干渉疑惑──いわゆる「ロシアゲート」の解明に向けた動きが加速している。疑惑の焦点は、ロシアとトランプ陣営とのつながり、そして、米国有権者に影響を及ぼすことを意図したソーシャルメディアを利用した工作活動の二つだ。
後者のロシアによる選挙干渉工作の調査が大きく進んでいる。上下院の特別情報委員会は10月31日、11月1日に公聴会を開き、ソーシャルメディアを利用したプロパガンダやフェイクニュースの拡散といったロシアの工作活動について、インターネット大手3社──フェイスブック、グーグル、ツイッターの法務担当役員に説明を求めた。
3社の証言により、ロシアの工作活動はこれまでに判明していた以上に大規模に拡散していたことが明らかになった。フェイスブックは、プロパガンダやフェイクニュースの拡散などの工作活動を手がける「インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)」が、ロシア政府の支援を受け15〜17年に人種や宗教、移民、銃所持、LGBTなどの問題を利用して、社会の分断を狙った約8万件の記事を投稿していたことを明かした。それらの記事はフェイスブックの広告や一般ユーザーのシェアなどを通じて拡散し、最大で1億2600万人に表示されたという。
ツイッターは、3万7千におよぶロシア系のボットアカウント(機械による自動投稿プログラム)から約140万件のツイートが投稿され、選挙直前の3カ月間だけで2億8800万人の目に触れていた可能性があると証言。さらに、ロシア政府系メディアのRTが190万ドル(約2億円)の広告を購入し、米大統領選期間中だけで27万4千ドル(約3千万円)が費やされていたことを明らかにした。
またグーグルによれば、IRAに関連する二つのアカウントが4700ドル(約53万円)の広告を購入し、ユーチューブに18のチャンネルを開設、1108本の映像を投稿していたという。
3社はいずれも大統領選以降、外国からの選挙干渉を防ぐために全力で取り組み、再発防止策を講じているとアピールしたが、公聴会に出席した議員からは「対応はいまだ不十分」との意見が相次いだ。特に、工作活動に各プラットフォームの広告が利用されたことが問題視された。政治広告の資金提供者の素性をすべて把握できているのか、ロシアの機関が「ルーブル」で政治広告を購入していたのになぜ工作に気づけなかったのか、他国による広告を利用した選挙干渉を規約で禁じていないのはなぜか、といった質問に、議員を納得させるだけの回答は出てこなかった。
この3社が今回明らかにした事実だけでも相当な工作が見て取れる。米国のプラットフォーム事業者が世界を席巻したことが、他国にネットを通じた世論工作を可能にさせてしまったのだ。3社に対する世間の目は今後よりいっそう厳しくなるだろう。
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