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カーターが考える北朝鮮問題の打開策
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10990
2017年11月8日 岡崎研究所 WEDGE Infinity
カーター元米大統領がワシントン・ポスト紙に10月4日付けで寄稿し、北朝鮮をめぐる危機打開のため、米国は北朝鮮と話し合うべきである、と述べています。寄稿文の要旨は以下の通りです。
北朝鮮をめぐる情勢は世界平和にとって最も深刻な脅威であり、北朝鮮と米国は緊張を緩和し、永続的な平和協定を結ぶため、何らかの方法を見出すべきである。
私(カーター)は過去20年の間に、北朝鮮の指導者や市民と多くの時間話してきたが、金日成などの北朝鮮の指導者が道理をわきまえ、体制の維持に専念していることを知った。
北朝鮮の指導者は常に、米国との直接対話で休戦協定に代わる平和条約を結び、制裁解除を実現し、米国が北朝鮮を軍事攻撃しない保証を得ることを望んでいた。
北朝鮮国民はほぼ全員が、最大の脅威は米国による先制軍事攻撃であると考えている。
北朝鮮の指導者の最優先事項は体制を維持し、外部の支配を出来るだけ排除することである。
これまで厳しい経済制裁は、北朝鮮の核開発を阻止できなかった。
北朝鮮は非核化されたリビアがどうなったかを見て、米国がイランとの核合意を疑問視していることを知っているので、完全な非核化は無理だろう。
危機打開のため、北朝鮮の核基地の攻撃、より厳しい経済制裁、NPTのより厳格な適用など、多くの提案がなされているが、北朝鮮政府は生存がかかっていると考えているので、これらの措置は危機打開につながらない。
ティラーソン国務長官が「北朝鮮と対話のルートがある」と言ったのは緊張緩和への良い第一歩である。
米国は次のステップとして、平和の話し合い、あるいは南北朝鮮、米中を含む国際会議の開催支援のため、北朝鮮にハイレベルの使節団を派遣することを提案すべきである。
出典:Jimmy Carter,‘What I’ve learned from North Korea’s leaders’(Washington Post, October 4, 2017)
https://www.washingtonpost.com/opinions/jimmy-carter-what-ive-learned-from-north-koreas-leaders/2017/10/04/a2851a9e-a7bb-11e7-850e-2bdd1236be5d_story.html
北朝鮮をめぐる危機の打開策としての、米国と北朝鮮の話し合いの提案は、カーターに限られるわけではありません。その中でカーターの提案に注目するとすれば、それはカーターが、北朝鮮の核開発で一触即発の危機にあった1994年に北朝鮮を訪問、金日成と会談し、それが「枠組み合意」につながったという点です。「枠組み合意」では、北朝鮮がプルトニウム製造可能な原子炉と、現存使用済み燃料を破棄し、IAEAの査察を認めるなど、核廃棄に本気で取り組むと思われました。カーターの貢献は高く評価されました。しかし、後に北朝鮮が密かに濃縮をしていたことが暴露され、「枠組み合意」が無に帰したことは周知の通りです。
カーターは自己の経験から、北朝鮮は米国の話し合いの呼びかけに乗ってくると考えているようですが、北朝鮮が本気で呼びかけに乗ってくると考えているとしたら、その見通しは甘いのではないでしょうか。
カーター自身が述べているように、北朝鮮の最大の関心は、米国からの先制軍事攻撃に対し、北朝鮮の体制を存続、維持させることです。
北朝鮮がそのために必要なのは、米国本土を核攻撃できる能力の取得で、その能力があって初めて米国の先制攻撃を抑止できると考えていると見られます。
そうであるとすれば、北朝鮮はその能力を取得するまでは、核、ミサイルの開発は止めず、その能力を獲得して初めて、米国との話し合いを真剣に考えるのではないでしょうか。もし仮にそれ以前に話し合いに応じるとしたら、それは時間稼ぎのためでしょう。
カーターは、「北朝鮮は、平和条約で米国が北朝鮮を軍事攻撃しない保証を得ることを望んでいる」と言っていますが、米国がそのような保証を与えるか定かでありません。たとえ与えたとしても、北朝鮮がそれで安心するとは思えません。北朝鮮が対米抑止力を得た後、米国との平和条約を望むとすれば、最優先の要求は在韓米軍の撤退であると思われます。
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