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ミャンマーにおけるロヒンギャ弾圧問題について、少し書いておく。
アウンサンスーチー氏が批判の的に晒されているが、これには複雑な歴史的背景が横たわっていることを知らなければならない。
まして、まだまだ軍の影響が大きいミャンマー政府にとって、歴史を覆すようなことは国内に更なる混乱を齎すことが分かっているから、スーチー氏も明確な発言を控えている。
ミャンマー軍は今でも軍事クーデターを企てているし、国際社会の批判など、彼らには通用しない。
もともと王政が支配していたミャンマー(旧ビルマ)は、常に近隣国との紛争を抱えていた。詳細はウィキペディアにでも聞いていただければ良いが、問題はロヒンギャではなく軍政が黙らせたいのはラカイン族の反政府勢力だ。ロヒンギャ族自体は古くから弾圧の対象になっており、ミャンマー国内におけるイスラームの一派である。それは悪名高きイスラム国と同じスンナ派である。多くの日本人がロシアのチェチェンが何故、ロヒンギャ弾圧問題を批判するのか?に疑問を持っているが、チェチェンも同じスンナ派だからだ。
一方、ラカイン族もイスラームだが、シーア派に属す。シーア派とスンナ派はその根本教義から違うので、双方が一歩も譲らない態度を示している。
ロヒンギャ族にしてもラカイン族にしても、王政の時代から政治利用されてきた。特に酷かったのはイギリスが植民地支配をしていた時代で、ロヒンギャ族の宗教指導者をイギリス統治に利用してきた。ラカイン族は反対に、イギリス統治そのものにも反対していたし、ビルマ独立後から軍政時代に至るまで反政府勢力の中枢であった。
ビルマの軍政は社会主義でその背後には中国がいる。もともと、東南アジアへの影響力を高めたい中国は、北ベトナムのホーチミンを利用し、ビルマのネ・ウィン将軍を利用して社会主義国建国を画策してきたのだ。王政時代に国を混乱に陥れたとの理由で少数民族が弾圧され、軍政後も敬虔なイスラームである少数民族は弾圧されてきたのである。ロヒンギャ族はそのような政府の横暴に対して戦わない道を選んだ。だから、隣国のバングラデシュに難民となって流れていった。反対にラカイン族は、少数民族を弾圧する政府に真っ向から反対し、ミャンマー民主化の中心的な働きをして、表面だけでも軍政からの脱却を図ることが出来た。軍の影響が強いミャンマー政府のタカ派が、現在のロヒンギャ族弾圧の主犯であるが、それは、温厚なロヒンギャを悪者に仕立ててラカイン族を黙らせることを目的にしている。
では何故、ミャンマー政府が軍部の横暴を止められないか?背後に中国がいるからだ。中国はビルマ時代に軍政を抱き込むために、早くから天然ガスと石油のパイプラインをビルマに敷いた。
それは、ミャンマー政府となってからも同様で、エネルギーの乏しいミャンマーを助けるという美名のもと、水面下で軍部とつながり、エネルギーを人質にミャンマー政府の首根っこに匕首を立てているのだ。それが分かり過ぎるほど分かっているアウンサンスーチー氏は、いつまた軍事クーデターを起こされるかも分からないギリギリの状況で政権運営を行っている。少数民族弾圧について発言が出来ないのは、根本にそれがあるからだ。
UNの難民問題委員会の調査だけでも、実に30万人ものロヒンギャが難民となり、虐殺されたのは10万人近いのではないか?との推計がある。
その殺され方はイスラム国やルワンダのそれに勝るとも劣らないもので、辛うじて弾圧から逃れた人々の証言は、筆舌に尽くしがたい凄惨を極めるものだ。
言い換えるなら、ここでも中国は近隣諸国への影響力行使のために、手段を択ばないやり方なのである。ミャンマー軍がクーデターを起こす場合、燃料と武器は中国が供給する。
加えて、一帯一路構想の中にミャンマーは重要な位置を占める。一帯一路構想とは世界を巻き込んだ巨大な公共事業だが、言葉を変えればアジアからヨーロッパをも中華思想に巻き込もうとするものだ。
そのような茶番は国際社会が許す筈も無いが、北朝鮮情勢が緊迫観を増せば増すほど、ミャンマーの少数民族弾圧、南沙諸島問題、尖閣諸島問題は片隅に押しやられる。中国の思惑がここに透けて見える。こっそり、ひっそりと中国は東南アジアへの影響力を高めているのだ。習近平は中国共産党主席を復活させ、自身が死ぬまで中国の指導者となろうとしている。そのために、国民への情報統制を強め、反対勢力を権力闘争から締め出してきた。
ミャンマーのロヒンギャ弾圧の背景には中国がいることを知らなければならない。世界はそのことを報道しないし、日本のメディアも知らんぷりである。
北朝鮮情勢にばかり注目が行くが、それはそれで中国の思うつぼでもある。
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