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中国の習近平国家主席には、北朝鮮に圧力をかけることが求められている REUTERS
北朝鮮を20年も放置した中国は責任を取るべき
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/09/20-35.php
2017年9月16日(土)16時00分 ケリー・ブラウン(ロンドン大学キングズ・カレッジ教授) ニューズウィーク
<中国はもう今までのように北朝鮮を「弟分」としては扱えない。外交姿勢を改め、北に働き掛ける時が来た>
弾道ミサイルの日本上空通過や水爆実験とされる行為によって、北朝鮮が目指す方向は鮮明になってきた。
北朝鮮は20年間にわたり国際的な経済制裁を受け、今の人口はわずか約2500万、1人当たりGDPも世界最低水準にある。ところが誰にも予想できないほど素早く効果的に、核戦力に近いものを手に入れたようだ。
ここに至る責任の大半は、過去20年間の中国指導層にある。中国政府は隣接する北朝鮮に対し、貿易、援助、エネルギー事情を通じて多大な影響力を持ちながら、強い対応を取るべきときになると尻込みをしてきた。
そんな受け身の姿勢が招いたのが今日の状況だ。中国が国境を接する核保有国の一群(インド、ロシア、パキスタン)に北朝鮮も加わろうとしている。中国にしてみれば、地理的にこれ以上の悪夢はない。
核武装した北朝鮮の存在など、中国にとって何もいいことがない。周辺地域は一段と不安定になる。世界の大国になるという中国の計画も、これで危うくなる。中国が強大な国家の座を取り戻そうというときに、他の近隣諸国との関係が悪化してしまう恐れもある。
北朝鮮は他国と同じく中国に対しても、瀬戸際外交や権謀術数を駆使してきた。原理原則のない外交の根底にあるのは、金王朝の延命だけだ。北朝鮮の考えでは、核戦力さえあれば外国に手を出されずに済む。
共産主義体制を共通点とする中国の指導層は過去20年間、温情主義を持って北朝鮮の支配者を「弟」のように扱ってきた。近年も北はかたくなだから追い詰めると逆効果だと釈明し、圧力をかけずに穏便な方法を取るべきだと主張した。その結果どうなったかは、既に明らかだ。
【参考記事】中国は北朝鮮に侵攻して核兵器を差し押さえるか?
隣国の制御は自国の利益
繰り返される挑発と瀬戸際外交にまんまとやられたと認めるには、中国の指導層はプライドが高過ぎる。しかし中国は、北朝鮮問題に最も近いところにある国の1つだ。状況が制御不能に陥ったときに最大の被害を受ける国の1つでもある。
北朝鮮は常に被害者意識を抱き、どんな行動に出ようと最後は中国が何とかしてくれると決め込んでいた。中国にとって、北朝鮮は目の上のたんこぶだった。それが今では傷口の開いた生傷のようだ。とても簡単に治りそうにはない。
いま中国は、これまで積極的に進めようとしなかったたぐいの外交と介入に取り組む必要がある。現在の保守的な指導部にとっては困難な転換だろう。
中国は北朝鮮に対して柔軟な姿勢を維持し、刺激するのを避けてきた。だが今は隣国より自国のことを考えて、防御の姿勢をはるかに強める必要がある。
中国がこれほど緊急を要する国際問題で、これほど重要な役割を担うことは過去になかった。ならず者で恩知らずの隣国をしっかり制御することは、必ず中国の利益になる。
【参考記事】強気の北朝鮮 メディアが報じなかった金正恩の秘密演説
北朝鮮がどんどん好戦的になるのを見ているだけでは、何も得るものがない。しかも今回は、アメリカに頼れない。トランプ米大統領は短気で理解に苦しむ対応を取る可能性がある。
最近の中国外交は「ウィン・ウィン」を旨としてきた。現在の情勢は分かりやすい。北朝鮮に強い姿勢で対処すれば、中国はウィン、世界にとってもウィンの結果になる。
真の大国であることを示すために、自国の運命と未来の繁栄に関わる根本的な問題で、中国は決して黙っていてはならない。
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