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Michael Green/1961年生まれ。G・W・ブッシュ政権時にホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長。安倍晋三首相とも親交がある知日派で、朝鮮半島情勢にも詳しい (c)朝日新聞社
元米高官マイケル・グリーンが語る北朝鮮問題「これが米のレッドラインだ」〈AERA〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170915-00000111-sasahi-kr
AERA 2017年9月25日号
安倍政権とも親交がある元米高官のマイケル・グリーン米戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長が、本誌の取材で北朝鮮問題を語った。日本国民に訴えたいことがあるという。
日本語が堪能なグリーン氏は、ブッシュ(子)政権で高官を務めた後も、米政界とパイプを持つアジア情勢の専門家として、日本政界でも影響力を持つ。安倍晋三首相を始め、各政党の実力者とも親交がある。朝鮮半島情勢への懸念は、今年初めの本誌取材でも表明していた。
* * *
北朝鮮は、建国70周年の来年までに米国への核攻撃能力を完成させようとしているという見方があるが、非常にあり得る話だ。私の個人的な見解としては、金正恩(キムジョンウン)体制は米国本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発を1、2年以内に完成する。ただし、ICBMを飛ばせるようにはなっても、その確実性や正確性には疑問が残る。
国際社会の北朝鮮対応が不十分となっている背景には、やはり中国の存在がある。北朝鮮が経済的支援を受け続け、核・ミサイル技術を入手できるような抜け穴を用意しているからだ。次の手段は、この抜け穴を完全に封じることでなければならない。中国の企業などを対象とする2次的制裁となり、中国との緊張に結びつく可能性があるとしても、断固として進めるべきだ。それほど北朝鮮の脅威は深刻なものとなっている。
●休戦協定に違反した時
トランプ大統領が軍事力行使に本気でない限り、「レッドライン(越えてはならない一線)」という言葉を使ったのは失敗だった。これはオバマ前政権のシリアでの失敗を見れば、よく分かる。オバマ氏は、シリア内戦での化学兵器の使用が、同国のアサド政権に対するレッドラインだと公言したが、2013年に実際に化学兵器が使われたと米政府が認めた際、軍事行使をしなかった。米国は弱腰だと見られ、信頼性にも傷がついた。圧力や警告といった政治的意味合いでのレッドラインという言葉は使わないほうがいい。
では、本当の意味でのレッドラインはどこにあるのか。もちろん、私はトランプ政権内の人間ではないので、あくまでも個人的な見解だと強調しておく。平和解決が成立するまで戦争行為や武力行使を完全停止するという朝鮮戦争休戦協定に違反した時は確実にこれにあたる。また、米国や同盟国への直接攻撃があった場合もそうだ。これにはサイバー攻撃などの新しい形の攻撃も含まれる。
●米日韓の協力を
一方で、核・ミサイル実験の継続がレッドラインになるかというと、私は懐疑的だ。北朝鮮が実験で発射したミサイルの迎撃はあるかもしれないが、核施設への攻撃を含めた本格的な軍事行動に米国が出るとは思えない。トランプ政権内の実力者たちは、北朝鮮との軍事シナリオで、多くの犠牲が出る危険性を熟知している。これは、北朝鮮を通じて核兵器がテロリストの手にわたってしまう危険性も含めたものだ。
米国民が北朝鮮問題をどう見ているのか。最も危険な脅威だと見ていることを示す世論調査はたくさんある。ただ、米政権が平壌に対し効果的な圧力をかけ続けることに苦労していることもあって、うんざりしている部分はある。中東情勢やロシアとの問題など国際的な関心事項はたくさんあるのだ。だからと言って、米国世論が北朝鮮の現実的な脅威を理解していないと過小評価するべきではない。米政権や同盟国が北朝鮮に強い立場を維持し続けることを、米国民は支持しているはずだ。
解決のカギは、米日韓の協力にある。3カ国の連携を嫌がる中国への圧力にもなる。
だからこそ日本の人たちに言いたい。韓国をもっと実際の盟友として認識することが必要だ。そうでないと、日韓関係の亀裂を北朝鮮にうまく利用され、それが米日韓全体の連携の亀裂につながってしまう。もう一つ、日本の世論は、国防費の必要性を認識するべきだと思う。国防費のGDP比が、バルバドスやドミニカ共和国などの島国よりも小さい日本が今、核を保有する世界で最も危険な独裁国家の標的になっているという現状を受け止めてほしい。(構成/編集部・山本大輔)
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