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ベトナム戦争で経済が破綻した米はペトロダラーの仕組みでドルを循環させ始めたが、それが破綻へ
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201709140000/
2017.09.15 櫻井ジャーナル
ベネズエラのニコラス・マドゥロ政権は石油取引の決済に人民元を主とする通貨バスケット制を採用するとしていたが、石油の取引にドルは使わず、ユーロに切り替えるとも報道されている。
前にも書いたが、中国は石油の支払を金に裏付けられた人民元で支払う方針を打ち出している。その仕組みが実現した場合、人民元は上海と香港の取引所で金に換金することが可能だ。
ベネズエラがドル離れを推進する引き金はアメリカによる「制裁」、つまり経済戦争の開始。これまでもアメリカは戦術として「制裁」を使ってきた。例えば、7月25日に下院で419対3、27日に上院で98対2という圧倒的な賛成を得てロシア、イラン、朝鮮に対する「制裁」法案が可決されている。
しかし、制裁の対象になっている国を支援することもある。例えば、中東のアパルトヘイト国家、イスラエルに対するボイコット(Boycott)、投資撤退(Divestment)、制裁(Sanctions)、いわゆるBDS運動が2005年7月から展開されているが、それを禁止しようという法案がアメリカ議会で浮上している。また、現在、ロシアを挑発する発言を続けている国連大使のニッキー・ヘイリーはサウス・カロライナ州知事だった当時、BDS運動に反対していた。
BDS運動が始まる前からイスラエルに対する批判は高まっていた。その切っ掛けは1982年に引き起こされたサブラとシャティーラ(パレスチナ難民キャンプ)における虐殺。その年の1月にアリエル・シャロン国防相がベイルートを極秘訪問、親イスラエル派とイスラエル軍が軍事侵攻した際のことについて話し合い、その直後にペルシャ湾岸産油国の国防相とも秘密裏に会合、そして9月にファランジスト党のメンバーがイスラエル軍の支援を受けながらサブラとシャティーラで数百人、あるいは3000人以上の難民を殺したのである。
それはともかく、石油取引のドル決済はアメリカの支配システムを維持する上で非常に重要。1970年頃になるとアメリカ経済は破綻、71年8月にはリチャード・ニクソン大統領がドルと金との交換停止を発表している。ドルの下落を食い止めるためにさまざまな政策が打ち出されたが、その中で最も重要なものがペトロダラー。サウジアラビアなどの産油国に石油取引の決済をドルに限定させ、その代償として各国の防衛、そうした国々を支配する人々の地位と収入を保障した。ドルを貯め込んだ産油国はアメリカの財務省証券や高額兵器を購入してドルをアメリカへ循環させたのである。日本もドルの循環と凍結に協力してきた。
ドルの循環を効率的に行うため、石油相場の上昇が図られる。1973年10月に勃発した第4次中東戦争の直後にOPECは価格を4倍に引き上げたのだが、サウジアラビアのファイサル国王の腹心で、その当時に石油鉱物資源相を務めたシェイク・ヤマニによると、1973年5月にスウェーデンで開かれた秘密会議でアメリカとイギリスの代表が400%の原油値上げを要求、それで値上げが決まったという。その秘密会議はスウェーデンで開催されたビルダーバーグ・グループの会合。その後、巨大な投機市場を創設してドルを吸い上げるようになるが、それでもペトロダラーの仕組みはアメリカ支配層にとって重要だ。すでにロシアや中国もドル離れを進めているが、そこへ産油国のイランが加わる可能性は高い。そこにベネズエラも加わるわけで、アメリカにとっては深刻な事態だと言えるだろう。
この苦境から脱することは容易でない。アメリカに残された手段は限られている。つまり軍事力だが、それも怪しい。正規軍が衝突した場合、アメリカ軍がロシア軍に勝てないことはジョージア(グルジア)やシリアで明確になっている。そこで、かつて作った傭兵の仕組みを利用したが、これもシリアで粉砕された。
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