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核兵器をめぐる外交で北朝鮮に勝てない米国
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2017-09-12 天木直人のブログ
どうやら国連安保理制裁決議は米国の譲歩に終わりそうだ。
軍事行動を取ったら誰も勝てない米国であるが、外交交渉になるとてきめんに弱くなる米国の姿を見事に示している。
なぜ北朝鮮はここまで強気になれるのか。
それはもちろん核保有国になってしまったからだ。
しかし、それだけではない。
誰も北朝鮮の核保有を止める権利はないと主張するその北朝鮮の言い草が正しいからだ。
それが言い過ぎなら、少なくとも、もっともな理由をならべているからだ。
イラクやリビアがやられたのは核兵器を持たなかったからだ。
北朝鮮が核兵器保有を絶対にあきらめないのは米国からの攻撃を防ぐためだ。
こう言って米国に対して体制保証の確約をせまる北朝鮮に、米国は反論できない。
北朝鮮が中国に対して強気であるもの、筋が通っている。
9月7日の毎日新聞「木語」で、坂東賢治専門編集委員が教えてくれた。
かつて中国共産党幹部で上海市長や外相をつとめた陳毅が語った「ズボンを質に入れても」という言葉が語り草になっているという。
この言葉は大躍進政策の失敗で中国に多くの餓死者が出た1961年の共産党会議で陳毅が発した言葉であるという。
当時、共産党内からも食料にも事欠く状況では核開発は停止すべきだという意見が出たが、それに対し、陳毅は「ズボンを質に入れても」原爆をつくると反論し、結果的には陳毅が正しかったことが証明された。
つまりあの時、「尻を見せては原爆はつくれない」という「まっとうな」意見に対して、「ズボンを質に入れても・・・」という言葉で反論したのだ。
北朝鮮はその事を良く知っていて、「ズボンを質に入れても原爆をつくると言った、あの困難な時代を忘れたのか」と中国を非難しているらしい。
さすがの習近平も反論できない。
中国が北朝鮮に強く出られない理由がここにある。
ひるがえって米国はどうか。
きょう9月12日の毎日新聞が、核・ミサイル実験を繰り返す北朝鮮に国際社会はどう対応するか、有識者にインタビューして聞く連載を始めた。
その第一回目のきょうは、デトラニ米国元北朝鮮担当大使だ。
インタビューの中でデトラニ氏は次のように語っている。
彼が北朝鮮の代表と交渉をしていた時、北朝鮮の代表は核保有を黙認されているパキスタンのようになりたいと語ったという。
その極秘情報を明らかにした上で、デトラニは次のように語っている。
北朝鮮はパキスタンやインドと違い、米国の安全保障を脅かしていない。米国は未来永劫、北朝鮮の核保有を認めるわけにはいかないと。
見事なダブルスタンダードだ。
因みに、米国はイスラエルの核保有も黙認してきた。
どちらが説得力があるかは自明だろう。
米国の外交力は間違いなく北朝鮮の外交力に負けている(了)
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