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戦争反対派を排除した米政権が中国を睨み、朝鮮半島を破壊と殺戮の場にしても不思議ではない
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2017.09.06 櫻井ジャーナル
アメリカの支配層は世界の富を独り占めにするため、各国を属国化してきた。ターゲット国のエリートを買収、それが無理なら暗殺、クーデター、軍事侵略。ズビグネフ・ブレジンスキーは1970年代の終盤、サウジアラビアの協力でサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を集め、軍事訓練、武器/兵器を与えてソ連軍と戦わせた。バラク・オバマ政権はその傭兵部隊をリビアやシリアへ送り込み、政権転覆を目論んだわけだ。その活動範囲は中東や北アフリカを超えて広がりつつある。勿論、そうした動きを支援しているのはアメリカである。ウクライナではネオ・ナチを同じように使ってクーデターを成功させた。
シリアでアメリカは体制転覆に失敗したが、国を破壊、国力を弱めることには成功している。イラクはサダム・フセイン体制が倒されたが、最近はロシアへ接近、イランやシリアなどとも手を組みつつある。アフガニスタン、リビア、イエメン、ウクライナなどは破綻国家だ。
現在、ドナルド・トランプ政権は「朝鮮の脅威」を利用して東アジアの軍事的な緊張を高めつつあるが、本ブログでは何度も指摘しているように、アメリカの目標はロシアや中国の制圧。中国がアメリカ軍の朝鮮侵略を阻止するとしている理由もそこにあるだろう。朝鮮半島や東南アジアを中東、リビア、ウクライナのようにすれば、中国の一帯一路プロジェクトは機能しない。中国を疲弊させることもできると計算している可能性がある。朝鮮はアメリカに操られていると見れば行動を予測しやすい。
アフガニスタン、イラク、リビア、シリア、ウクライナといった国々への侵略は有力メディアを使った嘘の流布から始まったが、過去を振り返ると偽旗作戦も多用されている。中国東北部の制圧するための軍事作戦を正当化するために日本軍が1931年9月の行った南満州鉄道の線路爆破も偽旗作戦だが、アメリカの手口でもある。
キューバを軍事侵略する口実にしようとしたノースウッズ作戦はジョン・F・ケネディ大統領の反対で実行されなかったが、次のリンドン・ジョンソン政権はベトナムを侵略するためにトンキン湾事件をでっち上げている。
このでっち上げは1964年7月30日に始まる。南ベトナムの哨戒魚雷艇が北ベトナムの島を攻撃したのだ。その翌日に米海軍の特殊部隊SEALsの隊員が率いる20名の南ベトナム兵がハイフォン近くにあるレーダー施設を襲撃、8月2日に北ベトナムは報復として情報収集活動中だった米海軍のマドックスを攻撃、それをアメリカ側は先制攻撃だと主張したと言われている。8月7日にアメリカ議会は「東南アジアにおける行動に関する議会決議(トンキン湾決議)」を可決、本格的な軍事介入をはじめたのだ。(Douglas Valentine, "The Phoenix Program," William Morrow, 1990)
失敗した偽旗作戦もある。アメリカ支配層の中にはイスラエルがシリアやエジプトとの戦争で勝利し、領土を拡大させることを望む人たちがいた。そのひとりが秘密工作で名前がしばしば出てくるCIAのジェームズ・ジーザス・アングルトンだ。
ジョンソン政権当時、秘密工作を統括していたのは「303委員会」だった。1967年4月に開かれたこの委員会の会議で「フロントレット615」という計画について米空軍の准将から説明があった。情報収集船のリバティを潜水艦と一緒に地中海の東岸、イスラエル沖へ派遣するというもの。実際に派遣されたのは6月8日。6月5日から10日にかけてイスラエルはエジプトやシリアと戦争している。第3次中東戦争だ。戦争の勃発をアメリカ政府は「予見」していたように見える。
この戦争ではアメリカ空軍からイスラエルへ4機の偵察機が貸し出され、ペイントをイスラエル軍のものに塗り替えて戦争に使われたと2002年に放送されたBBCのドキュメンタリーでは指摘されている。
その日、リバティに対する最初の偵察飛行は8日の午前6時に行われている。10時には2機のジェット戦闘機が飛来、10時半、11時26分、12時20分にも低空で情報収集戦に近づいている。当然、船がアメリカの情報収集戦だということを確認できたはずだ。
そして午後2時5分、3機のミラージュ戦闘機がリバティ号への攻撃を開始、ロケット弾やナパーム弾を発射した。ナパーム弾を使ったということは、乗員を皆殺しにするつもりだということを意味する。
イスラエル機はまず船の通信設備を狙って破壊するのだが、2時10分に通信兵は寄せ集めの装置とアンテナで第6艦隊に遭難信号を発信することに成功。これに気づいたイスラエル軍はジャミングで通信を妨害した。
その数分後には3隻の魚雷艇が急接近して20ミリと40ミリ砲で攻撃、さらに魚雷が命中し、さらに傾いた船に銃撃を加えている。その結果、乗組員9名が死亡、25名が行方不明、171名が負傷した。
そこへ大型ヘリコプター、SA321シュペル・フルロンが2機近づいて、船の上空を旋回し始める。中にはイスラエルの特殊部隊員が乗っていた。リバティの乗組員はイスラエルが止めを刺しに来たと思ったようだ。3時36分には魚雷艇とマークの入っていないジェット戦闘機が現れたのだが、すぐに姿を消してしまう。(Alan Hart, “Zionism Volume Three”, World Focus Publishing, 2005)
遭難信号を受信した時、第6艦隊の空母サラトガはリバティから航空機で約30分程度の場所で訓練中。サラトガのジョー・タリー大佐によると、攻撃を知るとすぐに12機の戦闘機や爆撃機が救援のために離陸しているのだが、第6艦隊のローレンス・ゲイス司令官は航空機に帰還するよう命令している。また、リバティが攻撃されたことはジョンソン大統領へすぐに報告されたが、動きは鈍い。ロバート・マクナマラ国防長官は第6艦隊に対し、戦闘機をすぐに引き返させるようにと叫んでいたという。(Alan Hart, “Zionism Volume Three”, World Focus Publishing, 2005)
第6艦隊の司令官やホワイトハウスはリバティの沈没を願っていたように見える。遭難信号を発信したことが計算外だったのかもしれない。そうした連絡なしに船が沈没したならば、その責任をエジプト、あるいはソ連に押しつけることが可能。アメリカ軍が戦争に参加する口実にするため、リバティを犠牲にしようとしたのではないかと疑う人もいる。
ソ連に責任を押しつければ米ソ開戦だろうが、その当時、ソ連軍はアメリカ軍が介入したならエジプト側について戦うとガマル・ナセル大統領へ伝えていたと言われ、エジプトに責任を押しつけても第3次世界大戦に発展していたということ。朝鮮半島でも似たようなことをアメリカが目論んでいても不思議ではない。朝鮮がアメリカに操られているとしても、最後には裏切られる。それがアメリカの手口だ。
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