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ベネズエラに対するトランプの威嚇はブッシュやオバマに酷似
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2017年8月26日 マスコミに載らない海外記事
Wayne MADSEN
2017年8月21日
Strategic Culture Foundation
ベネズエラに対して、アメリカ軍を使うという、アメリカのドナルド・トランプ大統領による最近の威嚇は、石油豊富な中南米の国の大統領に、多数のベネズエラ人傀儡の一人を据えようというワシントンのこれまでの取り組みに追随するものだ。2017年8月11日、ニュージャージー州ベドミンスターのカントリークラブで行った支離滅裂な発言で、トランプはこう述べた。“これ[ベネズエラ]は我々の隣人だ... 我々は世界中におり、世界中とてもとても遠い場所にも軍隊を置いている。ベネズエラは決して遠くはなく、人々は苦しんでいて、死につつある。ベネズエラに対して、もし必要とあらば、軍事的選択を含め、我々には多くの選択肢がある。”
アメリカ軍の海外における冒険や“政権転覆”を慎むという政治方針で選挙運動をしたトランプが、ジョージ・W・ブッシュやバラク・オバマを見習って、選挙で選ばれたベネズエラ政権を打倒すると威嚇している。
2002年4月、中央情報局(CIA)がペンタゴンと協力して、ベネズエラ大統領故ウゴ・チャベスに対するクーデターを企てた。わずか数日後、不実な軍幹部に監禁されていたチャベスを、忠実な軍人たちが、大統領の座に戻して、クーデターは失敗した。ブッシュ政権、更にオバマ政権が、様々な方法で、ベネズエラの人民主義政府を傷つけようとしてきた。
チャベス大統領や、マドゥロ大統領を卑劣な手段で攻撃しているCIAが資金提供する組織の中には、ウクライナ、ジョージア、セルビア、マケドニア、イラン、エジプト、ビルマ、ボリビア、ホンジュラス、エクアドルや何十もの他の国々における不安定化工作に汚らしい関与の痕跡を残しているCIAフロント組織、全米民主主義基金(NED)がある。2005年、アメリカが資金提供しているベネズエラの野党党首マリア・コリナ・マチャドと、彼女の組織“スマテ”の仲間三人が“ベネズエラ共和体制を変える陰謀”のかどで裁判にかけられた。マチャドとスマテは、NEDから違法に受け取ったかどで告訴された。
2005年12月4日、アメリカが資金提供している野党がボイコットした選挙前夜、CIAが支援するテロリストが、アムアイ-カルドン精油所への重要なパイプラインを爆破した。その前、10月に、スリア州で別のパイプラインが破壊された。ベネズエラ石油産業は、アメリカによる破壊の格好の標的だ。2002年のクーデター直前、CIAに一時出向したアメリカの特殊作戦要員が、国有のペトロレオス・デ・ベネズエラ、S.A. (PDVSA) 石油インフラ内での労働争議を煽動しようとした。
2006年9月、チャベスによる国連総会演説後、現在のベネズエラ大統領で、当時外務大臣だったニコラス・マドゥロは、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港で、カラカス行きの飛行機に搭乗しようとした際、90分拘留され、国土安全保障省職員に粗末に扱われた。総会で、前日演説したブッシュに触れ、チャベスはこう言った。“悪魔[ディアブロ]がここに来ていた. . . 今日もまだ硫黄が匂う”。外交特権というアメリカと国連の条約に違反し、ブッシュ政権は、マドゥロを標的として不満の捌け口にすると決めたのだ。
CIAとペンタゴンに加えて、チャベスとマドゥロは、アメリカ麻薬取締局(DEA)が、麻薬カルテルを支援し、ベネズエラでの麻薬密輸に関与して、絶えずベネズエラを不安定化させようとしているとも主張した。チャベスは、反政府勢力に協力していると主張して、カラカスのアメリカ大使館に配属されたDEA職員の外交特権を剥奪した。
2006年、国連総会で、意地悪い手段を使って、ベネズエラが大いに切望していた国連安全保障理事会の非常任理事国の座を与えないことに、アメリカは成功した。中南米向けに用意された一議席は、ベネズエラとアメリカが支援するグアテマラの右翼政府とによる競争となった。毛沢東主義者連中とネパール政府幹部は、不安定な休戦状態にあったとは言え、ネパール外務大臣、K. P. シャルマ・オリと、グアテマラ外務大臣ゲルト・ロセンサールとの間の外交交渉は、総会で、ネパールのグアテマラ票を確保する可能性が高かった。これはベネズエラを支持している毛沢東主義者をかんかんに怒らせた。
ベネズエラ支持の社会党と、グアテマラ支持のキリスト民主党が“協調”連合を組んでいるチリ政府は行き詰まり、チリは棄権せざるを得なくなった。一方、イスラエルによる2006年のレバノン攻撃と侵略の怒りが冷めやらぬレバノンの連合政権は、グアテマラではなく、ベネズエラを強く支持した。
アメリカ寄りの億万長者と、人民主義者の左翼、ラファアル・コレアとのエクアドル大統領選決選投票のため、エクアドルは総会で棄権した。長年、ブッシュ政権は、小さなタックス・ヘイヴン諸国に、国際法執行機関の連中や課税査定官に帳簿を見せろと脅してきた。ブッシュ政権は、リヒテンシュタイン、アンドラ、サンマリノ、モナコ、ナウル、ヴァヌアツ、トンガ、サモア、ルクセンブルク、セーシェルとモーリシャスに、グアテマラに投票しないと承知しないぞと脅しをかけた。これで簡単に、グアテマラ11票獲得だ。アメリカ旧太平洋領三国、パラオ、ミクロネシアと、マーシャル諸島(旧ソ連のベラルーシや、ウクライナ社会主義共和国が、国連に議席を占めていたことのアメリカ版に過ぎない)を加えて、グアテマラは、14票確保した。結局、ベネズエラとグアテマラは引き分けになったが、大半がベネズエラを支持していた中南米とカリブ共同体諸国は、不承不承、パナマに投票することに同意した。ベネズエラに、安全保障理事会の席を与えなくするのは、カラカスに対するアメリカの外交的、財政的強要行為だったが、それはワシントンに有利に機能した。
2010年、オバマ政権が、ベネズエラに対する経済戦争を承認し、この政策は、トランプの下で継続されている。チャベスは、ベネズエラ・ボリバールを、50パーセント切り下げ、ベネズエラ石油輸出をより安価にし、ベネズエラの歳入を押し上げた。ところが、切り下げで、予想通り、物価が上がり、ベネズエラはインフレになった。CIAと、その従順なNGOは、すぐさま、消費者向け製品の価格上昇前に店に、消費者が駆け込んでいるという話を広めた。輸入物の液晶テレビが、大幅に価格上昇すると、商業マスコミが大宣伝する目玉商品となり、ベネズエラ・エリートに人気のショッピング・モールには、価格上昇前の長蛇の列ができた。
食料、薬品、教育用品等の一部の消費物資や産業機械が、異なる為替レートや価格統制によって、ボリバール引き下げで影響を受けないようベネズエラ政府が除外したことを、欧米マスコミは報じなかった。それにもかかわらず、テレビ、タバコ、アルコール、携帯電話とコンピュータの価格上昇を、ベネズエラ消費者に対するチャベスの動きによる悪影響だとして、ベネズエラ国内・国外の反チャベス勢力大いに宣伝した。欧米によるチャベスに対するのと同じ経済圧力が、致命的なガンによる早すぎたチャベスの死後、大統領の座を引き継いで以来、マドゥロを見舞っている。
オバマ政権は、ベネズエラに対するひそかな軍事・諜報活動も承認した。アルバ島やキュラソー島の基地から、アメリカの沿岸監視機によるベネズエラ領空侵犯が行われた。ベネズエラ軍、警察、PDVSAやマスコミに埋め込んだCIAの手先による、アメリカが煽動する反チャベス反乱の際に、ベネズエラ軍の通信ネットワークを妨害するのに、アメリカ合州国が使用する事になる電気信号・諜報データを収集するため、チャベスを威嚇し、ベネズエラのレーダーや、指揮、統制、通信、および情報(C3I)システムを作動させるよう、飛行は仕組まれていた。ベネズエラの国境防衛を評価するため、国境を越えたコロンビア民兵によるベネズエラ侵入もアメリカは煽った。これは、2010年11月、コロンビアの右翼民兵部隊がベネズエラのタチラ州で、ベネズエラ国家警備隊員二人を殺害して、最高潮に達した。コロンビアが保持していたベネズエラ国内の兵器貯蔵所は、ベネズエラ当局に差し押さえられた。ベネズエラはベネズエラ国内の数人のコロンビアDAS諜報工作員も逮捕した。
欧米マスコミは、左翼コロンビア革命軍(FARC)を支持して、コロンビア国内で襲撃を行ったのは、ベネズエラだったと、出来事をあべこべに報じた。中南米に関する限り、特に、短縮された実に不首尾なマイク・ペンス副大統領による地域歴訪後、アメリカの目に余る“砲艦外交”への回帰で威嚇するトランプは、オバマより遙かに危険かも知れない。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2017/08/21/trump-threat-against-venezuela-mirrors-those-bush-and-obama.html
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