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大統領就任後初めてニューヨークの自宅、トランプタワーに戻ったトランプ氏に、「あんたは私たちの大統領じゃない」と叫ぶ人々(撮影/津山恵子)
トランプ大統領が窮地 万が一の「ペンス大統領」のほうが実は怖い〈AERA〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170821-00000096-sasahi-n_ame
AERA 2017年8月28日号
就任200日を超えたトランプ大統領だが、「正常ではない。ただただ狂っている」(ワシントンのベテラン記者)というように、混乱と非難の最中にある。なぜか。
「ニューヨークは、あんたを嫌いだ」
「くたばれドナルド・トランプ」
8月14日夕、大統領就任後初めてニューヨークの自宅に戻ったトランプ大統領は、ニューヨーカー数千人の罵声とブーイングの嵐に迎えられた。
理由はいくつかある。12日に起きた米南部バージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義・極右団体の暴動で、人種差別に反対する白人女性が命を落としたこと。それに対し、トランプ氏が差別主義者らを直ちに名指しで批判しなかったこと。さらに、北朝鮮のミサイル発射をめぐるトランプ氏の感情的な対応だ。ピンクのヒジャブをかぶり、デモに参加していた社会学博士のケイティー・カレアガさんは、こう語った。
「ここに来た理由はいろいろあるけど、北朝鮮問題は、世界の問題。私は、ヒロシマを経験したわけではないけれど、核兵器がどんなものかは知っている。大統領だからといって、何をしてもいい、何を言ってもいいというわけではない」
これは、彼女だけでなく、トランプ氏の身内であるホワイトハウス側近、共和党議員でさえ、思っている。
●火消しで面目丸つぶれ
北朝鮮が「米国は制裁の何千倍もの報復に遭うだろう」と表明した直後の8日、トランプ氏は、こう発言した。
「北朝鮮は、米国を脅迫するのをやめるのが最善だ。彼らは、これまで世界が見たこともないような炎と怒りに遭遇することになる」
「炎と怒り」という言葉に、ホワイトハウス側近も閣僚も、震え上がった。中国の習近平(シーチンピン)国家主席が電話会談で、「緊張を高めるような言動」を慎むようトランプ氏に訴えたほどだ。
トランプ氏の直感的・私的ツイート→側近による「火消し」、というのがパターン化している。「恫喝」発言は、ティラーソン国務長官、マティス国防長官、マクマスター国家安全保障担当補佐官などとすり合わせたものではない。ポンペオ米中央情報局(CIA)長官は、テレビ出演し、こうコメントした。
「北朝鮮の攻撃は、差し迫ってはいない。核戦争が起こる瀬戸際にあるかのように話す人もいるが、そういう状況になっていることを示す情報は一つもない」
さらに、ティラーソン、マティス両長官は、連名で米紙ウォールストリート・ジャーナルに寄稿し、北朝鮮に対しては、従来通りの外交的解決を探るという政府方針を明らかにした。閣僚らの「火消し」で、大統領の面目は丸つぶれだ。
「炎と怒り」で単独、賭けに出たトランプ氏だったが、米領グアム島にミサイルを発射すると何度も威嚇してきた北朝鮮は14日、突然それを引っ込めた。だが、それでトランプ氏が安泰というわけではない。
「トランプ氏は1年持つのか」
「トランプとマイク・ペンス(副大統領)とどちらがひどいか」
こうした見出しが米メディアで見られるようになった。トランプ氏が弾劾(だんがい)による罷免(ひめん)や、辞任をした場合、合衆国憲法により、ペンス副大統領が大統領に昇格する。
きっかけは、ロシアとトランプ氏の選挙陣営が共謀し、昨年の大統領選挙に干渉した疑惑「ロシアゲート」に絡み、ロバート・モラー特別検察官の捜査に進展の兆しがあったことだ。米メディアは、モラー氏が、選挙絡みの疑惑に加え、トランプ氏の過去のビジネスとロシアとの関係についても捜査していると報じた。豪邸や高級マンションをロシア人に売却した件や、「マネーロンダリング(資金洗浄)」につながる可能性がある案件も含まれる。
●ペンス昇格の可能性
さらに、モラー氏がワシントンで大陪審を選定したという報道も、「トランプ危うし」を予見させた。大陪審は、捜査令状や召喚状、さらには起訴状を発行する権限がある。特別検察官を大統領がクビにしても、捜査が続行できるように担保する仕組みとされ、ロシア疑惑捜査が進展した表れとみられる。
呼応するように、選挙戦中の資金集め団体「トランプ・メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン委員会」からは、トランプグッズの「75%」割引のメールが、頻繁に来るようになった。
しかし、「ペンス大統領」で、米国は今の混乱と憎悪から脱出することができるのか。先行きは、明るくなさそうだ。
政治的信条はなく、むしろ大統領になるために支持者にアピールする政策を公約したトランプ氏に対し、ペンス氏は、前インディアナ州知事で、下院議員を6期も務めた政治家。共和党内も含むワシントンが、「ペンス大統領」を恐れているのは、彼が強い政治的信条を持つ保守強硬派だからだ。
例えば、国民皆保険に相当するオバマケアを糾弾するティーパーティーにも参加し、州知事時代、企業が同性愛者やトランスジェンダーに対するサービスを拒否することを認めた「宗教の自由の回復法」をインディアナ州で発効させた。ペンス氏自身が、同性愛者らを認めず、宗教右派からの信頼が厚く、進化論も否定。また、「気候変動は、神話に過ぎない」「コンドームの着用は、エイズを防げない」といった信条も公表し、彼の支持層に歓迎されている。
トランプ氏よりも政治的手腕がはるかにあり、しかも過激な政治的信条を持っているだけに、「ペンス大統領」への懸念は、保守派の中でも根強い。
さらに、シャーロッツビルの事件で、国内テロが起きるかもしれないという不安は増幅。事件を起こした白人至上主義者だけでなく、反差別主義者の行動も過激化しそうだ。万が一、トランプ大統領が罷免されるか辞任となり、「ペンス大統領」の誕生となった場合、この過激な憎しみと分断はどこへ行くのか。さらに拡大しそうな気がする。(ジャーナリスト・津山恵子)
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