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偽報道で世界の軍事的緊張を高めた西側の有力メディアとCIAとの関係を暴いた本が市場から消えた
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201708010000/
2017.08.01 17:27:26 櫻井ジャーナル
西側メディアはCIAにコントロールされている。その実態を明らかにした本をフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の元編集者、ウド・ウルフコテがドイツで出したのは2014年2月のことだった。それから3年を経た今年5月、英語版が出版されたはずだが、事実上、流通していない。どこからか出版社のネクスト・レバレイション・プレスに圧力をかけたのだろうと話題になっている。
'Bought Journalism': German bestseller reveals CIA pay Western media for spin & bias
ウルフコテは本を出す前から有力メディアとCIAとの関係を告発していた。彼によると、ジャーナリストとして過ごした25年の間に教わったことは、嘘をつき、裏切り、人びとに真実を知らせないこと。ドイツだけでなく多くの国のジャーナリストがCIAに買収され、最近では人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開、人びとをロシアとの戦争へと導き、引き返すことのできない地点にさしかかっていることに危機感を抱いたという。今年1月、心臓発作によって56歳で死ぬまで警鐘を鳴らし続けていた。
CIAが情報をコントロールするためのプロジェクトをスタートさせたのは第2次世界大戦が終わって間もない1948年頃のことである。いわゆるモッキンバードだが、その中心にいた人物はアレン・ダレス、フランク・ウィズナー、リチャード・ヘルムズという破壊活動を指揮していた大物やワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハム。その妻はウォーターゲート事件で有名になったキャサリン・グラハム。この女性の実父は世界銀行の初代総裁、ユージン・メイヤーだ。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979)
1963年になるとフィリップとキャサリンの関係は破綻、フィリップは家を出て友人には離婚すると語っていたという。再婚の準備も進めていたようだが、「鬱病」のため自宅へ戻り、チェスナット・ロッジ(精神科病院)へ入院、躁鬱病(双極性障害)と診断された。1963年8月に一時退院するが、その時に自殺したとされている。ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺される3カ月前の出来事だ。ちなみに、この病院はCIAのマインド・コントロール・プロジェクトMKULTRAと密接な関係にあるとされている。
フィリップに替わって社主になったのがキャサリン。ウォーターゲート事件を指揮することになるが、その取材で中心的な役割を果たしたのは若手記者だったカール・バーンスタインとボブ・ウッドワード。ウッドワードは海軍の元情報将校だ。
ウォーターゲート事件でリチャード・ニクソン大統領が辞任した3年後の1977年、バーンスタインはワシントン・ポスト紙を辞め、その直後に「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いている。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)
それによると、その時点までの20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上。そのうち200名から250名が記者や編集者など現場のジャーナリストで、残りは、出版社、業界向け出版業者、ニューズレターで働いていた。1950年から66年にかけて、ニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供しているとCIAの高官は語ったという。
CIAの仕事をしていたジャーナリストは400名以上だというが、そのうちCIAとの秘密合意に署名しているか、雇用されているジャーナリストは200名以上。残りは本人がCIAに操られていることに気づいていないか、単なる協力者だということだろう。
こうしたCIAと有力メディアとの緊密な関係が露見した1970年代からメディアに対する管理が強化される。経営に対する規制の緩和はそうした言論弾圧の一環。その後、気骨あるジャーナリストは排除されてきた。当然、日本もアメリカの政策に従っている。
日本では自国のマスコミを信頼できないと批判する際、欧米の有力メディアを褒め称える人がいる。言論の自由を守っているというわけだが、これは戯言。言論弾圧はアメリカが先行している。ただ、そうした弾圧に抵抗するジャーナリストが日本よりいるというだけのことだ。
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