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人事は「空白」だらけ…実務協議すらできない米政権「本当の危機」 見て驚く「人事リスト」を公開
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52428
2017.07.29 歳川 隆雄ジャーナリスト 「インサイドライン」編集長 現代ビジネス
■人事リストは「空白」だらけ
筆者の手元にリストがある。「トランプ政権人事承認状況 7月18日現在」と題されたA4版ペーパー2枚である。
作成者は財務省国際局であり、武内良樹局長から頂いたものだ。現時点で同省のカウンターパートである米財務省、国務省、商務省、国防総省の主要4省の長官以下、次官補(日本の局長級)までの幹部人事がどれだけ進んでいるのかが、このペーパーを見ると一目瞭然である。
一瞥してみて改めて驚いた。各省の「役職」「氏名」「指名・承認状況」という欄には「未指名」と「指名済、未承認」と表記された欄(事実上の空白欄)が圧倒的に多いのである。財務省を見てみる。
「財務長官:スティーブン・ムニューシン、2/13承認済」、「副長官:未指名 ※当初指名のジェームズ・ドノバン氏が5/19辞退」、「顧問弁護士:ブレント・マッキントッシュ、3/14指名、未承認」、「次官補(for Legislative Affairs):アンドリュー・マローニー、3/14指名、未承認」、「次官補(for Economic Policy):未指名」、「次官(for Domestic Finance):未指名」、「次官補(for Financial Market):未指名」、「次官補(for Financial Institution):クリストファー・キャンベル、6/26指名、未承認」、「次官補(for Financial Stability):未指名」、「次官(for International Affairs):デイビッド・マルパス、3/14指名、未承認」、「次官補(for International Finance):アダム・レリック、3/14指名、未承認」、「次官補(for International Markets & Development):ヒース・ターバート、4/4指名、未承認」といった具合である。
未指名がかなりいるだけでなく、指名されていても議会の人事承認を得ていない人物が非常に多いのだ。
■やるにやれない事前協議
7月19日のワシントンでの米中閣僚級「包括経済対話」は、4月上旬のドナルド・トランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談で米国の対中貿易赤字の削減のための「100日計画」策定について合意をみたことから、開かれたものだ。
そして米側はムニューシン財務長官とウィルバー・ロス商務長官の2人、中国側が汪洋副首相をヘッドとして協議したが、両国が目指した「米中協調」からほど遠い結果に終わった。ムニューシン、ロス両氏は中国市場の閉鎖性批判に終始し、さらに対中貿易赤字が増え続けていることを繰り返し指摘するなど、険悪なムードは解消せず共同記者会見も見送られた。
その理由として挙げられるのは、閣僚級対話前の実務者レベル協議を通じて問題点を掘り起こして妥協点を探るという「プレ・スコーピング」(経済外交用語)ができなかったことである。
実務者協議をやるにしても、財務省のみならず商務省もまた実務協議責任者が未指名、あるいは指名されていても議会承認を得ていない者が多すぎて、やるにやれなかったというのが真相である。
その商務省。ロス長官の次席である副長官は未指名、ギルバート・カプラン次官(国際貿易担当)は未承認、次官(産業安全政策担当)は未指名、次官補(輸出促進担当)、次官補(輸出管理担当)、次官補(省庁間調整担当)もまた指名済だが未承認といった具合である。
6月に訪米した世耕弘成経済産業相はロス商務長官と会談した。世耕大臣には嶋田隆通商政策局長(現経済産業事務次官)が同席したが、ロス長官は商務省幹部を伴わず、単身で日米貿易相会談に臨んだほどだ。
こうした省幹部の不在が際立っているのが、トランプ外交の政策立案を担う国務省である。実務協議責任者である次官(for Political Affairs)以下、日米協議を担当する次官補(for East Asia & Pacific Affairs)を含め7地域の担当次官補全員が未指名であり、軍縮・国際安全保障担当次官を始め、各政策を担う5次官全員が未指名なのだ。苦肉の策として、オバマ政権時のトーマス・シャノン次官(政治担当)が現在も次官代行としてその任に当たっている。
これが、トランプ外交が「機能していない」「一貫性がない」「場当たりである」理由である。
■機能不全の中で続く権力抗争
こうした機能不全は、何も各省庁だけでなくホワイトハウス(WH)も同様だ。ショーン・スパイサー大統領報道官が21日に突然辞任を表明、後任にサラ・サンダース副報道官が昇格した。そしてトランプ大統領は、広報担当大統領補佐官にゴールドマン・サックス出身の投資家、アンソニー・スカラムチ氏を指名した。
WH内の権力抗争である。トランプ大統領の娘婿のジャレッド・クシュナー上級顧問、ゲイリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長ら現実派とスティーブン・バノン首席戦略官ら原理派の抗争は依然として続いていたのだ。ワシントン情報によると、スカラムチ氏起用に強く反対したバノン氏はトランプ大統領と怒鳴り合いまでしたというのである。
次にWHを去るのはラインス・プリーバス大統領首席補佐官だ。トランプ大統領は同補佐官の対議会折衝の手腕に強い不満を抱いている。加えて、政権発足前に同補佐官が大統領に共和党全国委員会で広報責任者だったスパイサー氏を大統領報道官に推挙したことが大きかった。
トランプ劇場の舞台から原理派の首魁、バノン氏が退場する日はそう遠くない。それにしても、各省庁の実務レベル責任者が、米議会の夏季休暇が終わるまでに指名・承認されなければ、トランプ政権は糸が切れた凧になってしまう。
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