http://www.asyura2.com/17/kokusai20/msg/102.html
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ウィリアム・ペリー元米国防長官
ペリー元国防長官が語った「北朝鮮は2000年10月、ワシントンに特使を送ってきた。当時は最終合意まで近づいた。クリントン大統領と金正日総書記の会談が北京、あるいは平壌、あるいは空母で実現していたかもしれない」の流れが、2002年9月の小泉訪朝『日朝平壌宣言』につながっていったと考えている。
また、1998〜2000年に米朝間で行われた核開発を巡る交渉に関する問いに、ペリー氏が、「中国抜きでやっていたが、当時はもう少し簡単だった。なぜならば、その仕事は北朝鮮に核施設を建設しないよう説得することだった。今はもう核施設を持っている。すでに持っているものを放棄させるのは、より困難な仕事だ」と発言していることから、北朝鮮は2000年まで兵器開発用核施設を保有していなかったことがわかる。
そして、今なお日朝両国がその有効性を認め合っている2002年9月の『日朝平壌宣言』に拠れば、北朝鮮は、核開発を断念しない限り、日本から1兆5千億円とも言われている経済協力を受け取れないし、米朝国交正常化(平和条約締結)にも進めない条件になっている。
※参照
「北朝鮮 止める秘策はあるか:米国の安保専門家や元高官「攻撃できるとは思わない」:唯一の策は今なお有効な「日朝平壌宣言」」
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/883.html
ペリー氏は、「10年前ですら北朝鮮は核施設を持っていた」と発言しているが、『日朝平壌宣言』の履行で北朝鮮が得られる決定的意義を考えると、これまでの各国政府の発言やメディア報道とは違い、北朝鮮は現在でさえ核兵器の開発を行っていない可能性が高いと思う。
現在、北朝鮮が保有し稼働させている核施設は、米英豪と連携して構築された原発向け核燃料を製造するためのウラン濃縮施設に限られていると推測する。
北朝鮮は、近い将来に廃棄しなければならない核施設を建設するほど、愚かでもなければ、経済的余裕もない。
(仮に核兵器開発用施設を建設したとしたら、03年から07年の間ということになるが、05年9月には北が核施設放棄を受け容れた六者会合共同声明が出ており、核施設建設は数年間続いた声明の履行過程とのあいだで齟齬をきたす)
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「北朝鮮核放棄、米政権交代で合意逸す」元米国防長官に聞く[日経新聞]
2017/7/18 21:44
北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に踏み切った。米本土への攻撃も現実味を増しつつあるなかで、トランプ政権はどうこの問題に対処すべきか。クリントン政権で国防長官などを歴任し、米朝交渉に取り組んだ経験のあるウィリアム・ペリー氏に話を聞いた。
――国防長官だった20年前と比べ、北朝鮮の脅威は高まっています。
「ICBMの発射には驚かなかった。おそらく2、3年以内に実戦配備するだろう。この発射はその日程感にあわせたものだ。20年前よりも事態ははるかに深刻だ」
――現在の状況をもたらした最大の理由は何でしょうか。
「10年前ですら北朝鮮は核施設を持っていた。この20年間、私たちには彼らを核兵器から遠ざける多くの機会があった。もしより効果的に取り組んでいれば、今日のような問題を回避できていたかもしれないという思いがある。我々の外交政策は奏功せず、北朝鮮は今も核施設を保有している」
「思うに、私たちは北朝鮮の(核保有の)目的を正確に把握してこなかったのではないか。北朝鮮は核兵器を得るという極めて強いコミットメントがある。多くの反対や制裁に見舞われながらも、彼らは数十年にわたって固執してきた。だから彼らにとってなぜそれがそんなに重要なのか問わないといけない」
「最優先目標は“金王朝”を維持し続けることだ。ソ連が崩壊した後、北朝鮮には自分たちを守ってくれる仲間がいなくなった。だから彼らの安全は危険の縁にたたされ、権力を失う危険があると考えた。世界中の共産主義の政権が崩壊した。北朝鮮だけが最後に生き残っている。だからこそ彼らは政権を維持することに高い目標を置いている。それを達成するためにできることをやろうとしているようにみえる。彼らは自分たちを支援してくれるソ連がもはやいないということをよく分かっている。彼らの伝統的な軍事力が、米国の支援を受けている韓国にかなわないことも分かっている。だから彼らは自身の安全を確保するため、核兵器に頼った」
「彼らに核放棄をさせたいなら、彼らの安全を確保する代替案を私たちは見つけなければいけない。これはかなり難しい提案だ。(しかし)将来、北朝鮮と取引をする際、この彼らの立場を理解しないといけない。そうでなければ、私たちの提案は意味がない」
――では、どうすればそのような方向にもっていけるのでしょうか。
「いま必要なのは、効果的な外交政策だ。力を背景にした外交だ。(2003年に始まった核問題を巡る)6カ国協議はこの問題に正面から取り組むものではなく、より経済的なインセンティブにかかわるものだった。北朝鮮はずっと安全確保のためなら経済的利益を犠牲にしてきた。だから彼らは、経済的な利益よりも核兵器を選んだわけだ」
「そして中国を巻き込まないといけない。米中が北朝鮮に提案する外交のパッケージで同意することが必要だ。米中は北朝鮮だけではなく、多くの課題を抱えている。南シナ海や貿易問題などだ。しかし、それらをとりあえず脇に置いて北朝鮮だけもし協力できれば外交的に成功を収めるチャンスはある」
「どのような外交政策でもアメとムチの両方が必要だ。中国が食糧、燃料支援をやめれば北朝鮮にとっては大打撃になるだろう。しかし、中国はこれらのことを過去にはやろうとはしなかった。なぜなら彼らは我々とは違う目的を持っているからだ。中国は、米国が北朝鮮政権を打倒しようとしていると考えており、中国は北朝鮮の政権が倒されてほしくない。だから『北朝鮮の政権を打倒するものではない』という目標について中国に納得してもらう必要がある」
――1998〜2000年に核開発を巡る交渉に臨みました。
「彼らはとても友好的で、互いに叫んだり激しく言い合ったりするようなことは決してなかった。中国抜きでやっていたが、当時はもう少し簡単だった。なぜならば、その仕事は北朝鮮に核施設を建設しないよう説得することだった。今はもう核施設を持っている。すでに持っているものを放棄させるのは、より困難な仕事だ」
「北朝鮮は2000年10月、ワシントンに特使を送ってきた。当時は最終合意まで近づいた。クリントン大統領と金正日総書記の会談が北京、あるいは平壌、あるいは空母で実現していたかもしれない。そこまでの議論はまだしていなかった。ただ、大統領もその会合には同意可能だった。(大統領選でクリントンの推す民主党候補が)負けた後、大統領は最後まで交渉を仕上げるのは不適切だと考えた。次の(共和党のブッシュ)政権に仕上げさせようと。次の政権はそれを仕上げる代わりに、放棄してしまった。このプロセスをもし続けていれば成功していただろうと確信している。」
「(そこに至るまで)北朝鮮はぐずぐずしていた。我々はあのワシントンでの会合を10月ではなく、夏に開けたはずだ。そうすれば、すべては終わっていただろう。しかし、彼らはゆっくり交渉を進めることで、よりよい取引をしようとしていた。そして政権が終わり、機会を失ってしまった」
――国防長官の在任中の1994年夏、あなたは空爆の準備を命じています。
「私は計画をまとめるよう指示した。そして寧辺(ニョンビョン)の核施設への外科的空爆(サージカル・ストライク)に関する詳細な計画を練り上げた。しかし、これはあくまで代替案だった。最初の選択肢は外交で、空爆はそれが失敗したときのためのものだった」
「彼らには間接的に強力な脅しになった。なぜなら彼らは我々がその案を持っているのを知っていたからだ。我々はより強力な交渉パッケージを持っていた。今はこの議論が意味をなさないのは明らかだ。もはやそれは外科的空爆ではないからだ。すぐに韓国、おそらく日本への軍事攻撃に急拡大し、もう一つの戦争につながっていくことになる」
――交渉者としての経験から、どのような教訓がありますか。
「(その後の)6カ国協議においては、米国は強力なパッケージを持ったことがない。いつも経済的なインセンティブだけだった。彼らは失敗する運命にあった。ブッシュ、オバマ両政権の失敗の理由は、北朝鮮が崩壊すると信じていたからだ。時間の問題だと。だから、時間が過ぎるままにすればいいと。もちろん崩壊しなかったし、これから崩壊するだろうと予測する理由もない」
――北朝鮮に軽水炉を提供するのと引き換えに、核開発を停止する1994年の「米朝枠組み合意」もその後に破綻しています。
「しかし、これははっきり言える。(何もしなければ)2000年までに20の核兵器を作れる十分な燃料を持っていただろうと。米朝枠組み合意はそれを止めた。おそらく10年は計画の進捗のペースを落とす効果があった。成功するかもしれなかったがしなかった。ご存じの通り、米朝双方に信頼がなかったためだ」
(聞き手はワシントン=永沢毅)
ウィリアム・ペリー氏(William J.Perry) クリントン政権の1994〜97年に国防長官、98〜2000年に北朝鮮政策調整官。事実上の大統領特使として北朝鮮の核開発を巡る交渉に臨んだ。89歳。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM13H20_Y7A710C1000000/?dg=1
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※関連参照投稿
「90年以降の米国の朝鮮半島政策がわかる「米国の対北朝鮮政策に関する見直し − 結論と提言」(1999年)」
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/250.html
「トランプ米国の朝鮮半島政策がわかる「CFR北朝鮮問題タスクフォースの次期米大統領への政策提言」(2016年)」
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/251.html
「オバマ流とトランプ流:「安倍電撃訪朝」が実現すれば世界から称賛!:国内対北朝鮮強硬派は沈黙」
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/711.html
「「安倍−金正恩会談」実現 GW“安倍電撃訪朝”濃厚:東京五輪前の国交正常化目標:新日朝合意は韓国大統領選にも強い影響」
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/633.html
「お詫びと総括:ロンドンで待機した安倍首相が土壇場で“電撃訪朝”を断念したワケ」
http://www.asyura2.com/17/senkyo225/msg/114.html
「なぜ、「米朝国交正常化」より先に「日朝国交正常化」でなければならないのか:米朝先行は日本の悲劇:TnWxZUTqnQさん」
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/643.html
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