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特別検察官にムラーが任命されてから落ち着かないトランプ
トランプが特別検察官ムラーを恐れる理由
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/06/post-7875.php
2017年6月27日(火)18時16分 マックス・ブート (外交問題評議会シニアフェロー、国家安全保障が専門) ニューズウィーク
<ロシア疑惑を捜査するため任命されたムラー特別検察官は高潔な人柄で、海兵隊出身で脅しにも屈しない。その捜査は当然、ロシアコネクションや司法妨害だけでなく、トランプの怪しげなビジネスにも及ぶだろう>
5月17日にロバート・ムラー元FBI長官が特別検察官に指名されて以来、ドナルド・トランプ米大統領は正気がメルトダウンを起こしているようだ。
トランプはツイッターに「これはアメリカの政治史上最悪の魔女狩りだ。ひどい悪党たちの仕業だ!」と投稿するなど、怒りを爆発させている。AP通信によれば、トランプは「ホワイトハウスでロシア疑惑を扱っているテレビを見ると声を荒げ、誰かが自分の信用を落とし大統領を辞任させようとしている、自分は陰謀の標的だ」とまくし立てるという。トランプは怒りのあまり、まだ捜査はほとんど始まっていないというのに、ムラーの解任を本気で検討しているという報道もあった。
【参考記事】ロシア疑惑の特別検察官任命、その意味とは
トランプは恐れている。理由は想像に難くない。ムラーは高潔で粘り強い人柄で誰からも尊敬されており、今は米司法省で自分の力になる一流の捜査官や弁護士から成る捜査チームを招集中だ。チーム全体として見ればもう一世紀以上にわたって複雑なホワイトカラー犯罪を解明した経験を持つ。ロシア語が堪能な捜査官もいる。まるで、20世紀前半にアル・カポネ逮捕に活躍した米財務省特別捜査チーム「アンタッチャブル」の再来だ。
トランプたちは、ムラー率いる捜査チームの信頼を傷つけようと必死だ。だが彼らが思いついたのは、ムラーが任命したメンバーのうち3人が、昨年の米大統領選で民主党候補だったヒラリー・クリントン陣営に献金をしたことぐらいだ。
捜査は金に行きつく
トランプが不安になるのは、海兵隊出身のムラーに買収や脅迫は通用しないとわかっているからだ。買収や脅迫はトランプの常套手段だ。ジェームズ・コミーFBI前長官に対して、職にとどまるのと引き換えに自分への「忠誠」を誓わせようとしたのが良い例だろう。コミーもムラーもその手には乗らない。
今トランプは、ムラーに司法妨害の疑いで捜査されている。しかもトランプはテレビで、コミーを解任したとき頭にはロシア疑惑の捜査のことがあったと語り、半ば司法妨害を認めている。だから恐れる理由は十分にある。
【参考記事】トランプのロシア疑惑隠し?FBI長官の解任で揺らぐ捜査の独立
それだけではない。過去の米政権に対する捜査と同様、今回の捜査は決して狭い範囲のものでは終わらない。ビル・クリントン元大統領のホワイトウォーター疑惑を思い出してほしい。当時の独立検察官は、アーカンソー州の土地取引をめぐる捜査をきっかけに、クリントンがホワイトハウス元実習生との性的関係について虚偽の宣誓供述を行ったことを突き止めた。
ムラーはロシア疑惑の真相を追及するため、トランプと側近のロシアとの間に金銭の授受があったかどうかを徹底して捜査するだろう。
【参考記事】トランプを追い出す4つの選択肢──弾劾や軍事クーデターもあり
米紙ワシントン・ポストは、捜査官たちが「トランプの側近を金融犯罪の疑いで捜査している」と報じた。米紙ニューヨーク・タイムズも次のように書いた。「元政府高官によれば、ムラーの捜査チームはマネーロンダリング(資金清浄)の疑いでトランプの側近らを捜査している。ロシア高官に協力した金銭的見返りは、支払いの形跡を隠すため、オフショア金融センター経由で受け取った疑いがある」
マネーロンダリングと言われて筆者が思い出すのは、トランプ陣営の選対本部長だったポール・マナフォートに関する米NBCニュースの報道だ。それによれば、マナフォートは「2007年以降キプロス島に少なくとも銀行口座を10口座、法人を10社保有」しており「そのうち少なくとも1社は、プーチンに近い大富豪から数百万ドルを受け取るのに利用された」という。
もしムラーの捜査対象が、ポール・マナフォートやマイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)、大統領選で外交政策顧問を務めたカーター・ペイジなど、トランプの元側近たちの金銭授受に限定されるならトランプは幸運だ。トランプにとって辛いのは、娘婿でホワイトハウスの最側近であるジャレッド・クシュナー大統領上級顧問が容疑者になることだ。クシュナーは、米財務省の制裁対象になっているロシア開発対外経済銀行のセルゲイ・ゴルコフ頭取と会っていたことで取り調べを受けている。ゴルコフは元情報部員でプーチンの側近だ。
知られたくないマネートレイル
最悪なのは、捜査がトランプの怪しげな商売や会計処理にも及ぶことだ。米紙USAトゥデイは今年3月、「トランプと彼の会社は、少なくとも10人の旧ソビエト出身のビジネスマンと結びついていた。犯罪組織やマネーロンダリングに関与した疑いのある面々だ」と報じた。
トランプと側近たちは、そうした証拠の隠蔽を図っているようだ。最近のUSAトゥデイのスクープ記事が、「トランプ大統領が米大統領選で共和党候補に選ばれて以降、彼の会社が扱う不動産の大部分がペーパーカンパニーに売却されており、購入者の身元ははっきりしない」と報じたからだ。
さらにロイターは、「ロシアのパスポートまたは住所を持つ少なくとも63人が、フロリダ州南部にあるトランプのブランドを冠した豪華タワーマンションで、少なくとも9840万ドル相当の物件を購入した」と伝えた。トランプの息子エリック・トランプは、ロシアの投資家たちがトランプのゴルフコースに投資していると2014年に自慢していたという噂もある。
そうした報道は断片的であれ、証拠が不十分であれ、「自分はロシアと全く関係ない。借金もない。取引もない」と言ってきたトランプをあざ笑うものだ。
トランプと確実に取引をしていたのは、ロシア系アメリカ人ビジネスマンのフェリックス・セーターだ。マフィアが絡む株式詐欺である男を恐喝し顔を刺した前科のある男だ。セーターはその後、不動産会社ベイロック・グループを立ち上げた。ベイロックはトランプタワーのなかにあり、トランプオーガニゼーションと共同でトランプソーホーホテルなどを建設している。
トランプをずっと追いかけてきたブルームバーグのティモシー・オブライエンによれば、ジョディ・クリスというベイロックの元社員は、「ベイロックが実際はマネーロンダリングのための隠れみのだとわかったので辞めた」と言っていたという。
また1990〜2002年ごろまでトランプオーガニゼーションでトランプの右腕だったエイブ・ワラシュという元社員は、「たくさん金があって取引をしたがっていれば、探さなくてもトランプは向こうから表れる。ドナルドは資産評価などしない。直感と相手の遺伝子が頼りなんだ」
こんな環境でこれまでビジネスをしてきたとしたら、ボブ・ムラーの捜査など受けたいだろうか。トランプがコミーに続いてムラーも解任しようとしたと言われるのも無理はない。
From Foreign Policy Magazine
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