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(回答先: 米国の没落が急加速!「アメリカファースト」政策の大失敗(ダイヤモンド・オンライン) 投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 6 月 27 日 15:52:05)
北野氏の「米国の没落が急加速!」という表現を「米国が国際政治で発揮する影響力が急加速で没落!」と読み替えてもいいのなら同意だが、“「米国を再び偉大にする」という願いとは正反対の結果”という見解には同意できない。
なぜなら、トランプ大統領は、国際社会(諸外国)から支持されたり賞賛されたりすることを、「米国を再び偉大にする」基準としているわけではないからである。
トランプ大統領は、1917年(WW1参戦)以来百年にわたって世界(支配層)のために米国が軍事的経済的に身を粉にして働いてきた流れを断ち切り、米国民の生活や利益を優先する政策に転換することを公約に掲げて当選しており、今なお戦後世界観に縛られている欧州諸国や先進国主要メディアから褒められることを“基準”にはしていない。
対NATO言動やパリ協定離脱は、北野氏が反応している内容が国際社会から発信されることを織り込んで(期待して)ワザとやっていることである。
それはひとえに、百年にわたる歴史過程のなかで国際社会に染み込んでいる米国観を払拭するための“除染活動”でもある。
(リベラルなひとを中心に米国民の一定割合も、北野氏や国際社会の主要言論と同じように、トランプ氏の言動を憂い嘆き悲観している)
北野氏が取り上げているテーマについて簡単に反論すると、
○中東における標的はイランではなくサウジアラビア
表面的な言動からは見えにくいが、米国というわけではないが「対イスラム戦争」を続けてきた支配層の最終的目標は、サウジアラビア的イスラム国家の解体である。
「カタール危機」も、サウジアラビアの狙いとは違い、米国も含めカタール寄りの動きのほうが勝っており、孤立を深めているのはサウジアラビア−UAE連合である。(エジプトはムスリム同胞団や資金援助の関係でサウジに同調しているだけで本気で(最後まで)反カタール政策を続ける気はない)
ちょっと顧みればわかるが、アフガニスタンを除けば、武力行使や「アラブの春」(民衆政治運動)の標的になってきたのは、曲がりなりにも近代的統治形態を持ち込んだ世俗派政権の国家であり、専制的なイスラム主義の国家ではない。
現在のイスラム教基盤国家でもっともイスラム色が強いのはサウジアラビアである。(だからといってイスラム信仰に篤いというわけではなく、イスラムを統治手段として最大限利用しているという意味)
サウジアラビアも投票制度を徐々に導入してきたが、イランのほうがよりモダンな民主主義的統治制度を採用している。(イランは中国よりも近代欧米的制度に近いと言える)
(以前から書いてきたが、「ホメイニ革命」そのものが英仏米の支配層によって仕組まれた可能性が高いと考えている)
9.11以降明白になった「対イスラム戦争」は、これまでのところ前哨戦ないしは序盤戦でしかなく、武力行使がどのようなものになるかは別として、これから本格的なステージに進む。
○「パリ協定」離脱=二酸化炭素排出増加というわけではない
トランプ大統領の「パリ協定」離脱をもって、米国が二酸化炭素排出に歯止めをかけることなく、石炭や炭化水素系資源を使い続けるという受け止めもあるが、そんな話ではない。
トランプ大統領は、「パリ協定」がお為ごかしの“グリーンな政策”でしかなく、二酸化炭素排出増加が致命的な環境破壊と考えるのならそんな生ぬるい歯止め策ではない意味がない(パリ協定派が言う破滅的気温上昇をせいぜい数年間遅らせる程度)というイヤミを語ったのである。(むろん、トランプ氏は二酸化炭素排出増加が致命的な環境破壊とは考えていない)
それと同時に、米国の政策が国際的取り決めで制約を受けることは好ましいことではないと考えている。
それは、UN(国際連合)嫌い、NATO嫌いなど米国民のおよそ半数が抱き続ける世界観に通じるものでもある。
○メルケル首相の「欧州自立」論はトランプ大統領も歓迎
北野氏は、メルケル首相が、「われわれが他国を完全に頼りにできた時代は終わりつつある。私はそれをこの数日間で経験した」、「自らの運命のため闘わなければならない」と語ったことを「重大事件」と評価している。
しかし、トランプ氏は、選挙戦において、NATOに限らず日米安保条約も米国にとっては不要な阻害物と切り捨てる考えを表明していたのだから、欧州諸国が、自分たちの安全保障を自分たちで勝ち取ることは歓迎すべきことなのである。
トランプ大統領が自動的参戦義務を明記したNATO第五条に言及しなかったのは、メルケル首相のような発言を引き出すのが目的だったとも言える。
その一方で、米国の重要産業である軍需のため、NATO加盟各国に、GDPの2%という防衛費目標を達成するよう迫った。
北野氏は、「2016年、世界GDPの21.8%をEUが占めた。そしてドイツはEU最大の経済大国で、最も影響力のある国である。実際、「EUの実態は『ドイツ帝国』だ」と主張する人もいる(例、フランス人の人口学者エマニュエル・トッド)。そのドイツの首相が、「もう米国は頼りにならない」と宣言したのだ」とEUを過大に評価しているが、ドイツが財政的責任を果たさないEUは、寄り合い世帯の域を超えない。
EU=『ドイツ帝国』というトッド氏の真意は、EUはドイツの植民地とまでは言わなくともドイツの経済圏(ドイツが一方的に利益を得る)という意味であり、帝国と言える力は未だもっていない。
そのようなEUに活を入れるため英国が離脱という動きを見せているが、EUの問題は、英国ではなくドイツなのである。
端的に言えば、ドイツが、ユーロ圏共通財政政策に踏み込み、東京の稼ぎを北海道に再分配するように、自分の稼ぎをギリシャやスペインなどに再分配する“覚悟”ができるかどうかである。
ドイツにそれができないのなら、EUには解体の運命が待っている。
北野氏は、トランプ米国を理解しようとしたら、トランプ大統領が、アイゼンハワー元大統領の「問題を大きくすれば、解決策の輪郭が見えてくる」という考えに共鳴し、米国内及び世界を騒がせていることをまずもって理解しなければならない。
トランプ米国が起こした対北朝鮮軍事危機も、「問題を大きくすれば、解決策の輪郭が見えてくる」の一環である。
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