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グラス・スティーガル法なしでは、アメリカは崩壊する
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2017年6月14日 マスコミに載らない海外記事
2017年6月9日
Paul Craig Roberts
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66年間、グラス・スティーガル法が、金融制度のリスクを下げていた。グラス・スティーガル法が廃止されてから八年後、金融制度が、崩れそうだった国際経済を吹き飛ばした。アメリカ納税者は、銀行を救済するために、ペンタゴンの予算よりも大きな金額、7500億ドルの工面を強いられたのだ。この膨大な金額は、狙いを実現するのに不十分だった。連邦準備金制度理事会が介入し、“大き過ぎて潰せない”と宣言して、銀行の支払い能力を保護するために、その貸借対照表を4兆ドルに拡大した。
量的緩和として知られているドル供給の膨大な増加は、消費者物価指数ではなく、金融資産価格をつりあげた。この債券と株式価格の上昇が、アメリカ合州国における所得と富の分配が悪化した主要因だ。経済的両極化が、機会の国というアメリカのイメージと現実を損ない、アメリカの暮らしに、政治的、経済的不安定さをもたらした。
これは膨大なコストで、既に裕福な金持ちにしか恩恵はない。
だから、グラス・スティーガル法廃止は、大きな中流階級がある、多少は平等主義の民主主義を、1パーセント 対 99パーセントに変えてしまったと言える。廃止は、開かれた、繁栄する社会というアメリカ合州国のイメージを破壊する結果をもたらした。有権者は、自分たちの経済状況の下落を十分理解しており、この認識が、前回の大統領選挙ではっきり現れたのだ。
アメリカ人は、アメリカ労働統計局がいう、4.3%の失業率と、豊富な新規雇用というタワゴトが偽ニュースなのを知っている。BLSが低い失業率を言っているのは、職を見つけられない何百万人もの求職意欲喪失労働者を数に入れないおかげなのだ。もし過去四週間、職探しをしていなければ、その人は失業者とは見なされない。全く理論的な代物、birth/deathモデルが、ありもしない多くの新規雇用を説明している。そこにある雇用は想定上のものだ。雇用が現実に存在しているわけではない。しかも、パートタイム雇用による、常勤雇用の置き換えが進んでいる。かつては包括賃金のかなりの部分を占めていた年金や医療給付は終わらされつつある。
商業銀行と投資銀行を分離するのは全く筋が通っていた。納税者は、商業銀行預金が、投資銀行が、サブプライムや他のデリバティブなどの危険な金融商品を作り出す後押しに使われないことが保証されていた。アメリカ政府は、1933年には、それを理解していたが、1999年には、もはや理解していない。この政府能力の劣化はアメリカにとって実に高くついた。
商業銀行を投資銀行と合併させることで、グラス・スティーガル法廃止は、納税者による支援が得られる危険な金融商品を作り出す銀行体制の能力を大きく増大させた。そこで、グラス・スティーガル法廃止で、1パーセントを救済するのを、99パーセントに強いるというとんでもない状況になってしまったのだ。
グラス・スティーガル法廃止のおかげで、アメリカ合州国は、経済的、政治的、社会的に不安定な制度になった。愚かで危険な投資をする金融機関を救うため、雇用の海外移転により、様々な給付がある常勤雇用を失って、パートタイムや契約雇用で低賃金雇用され、利子や手数料(住宅保険、自動車保険、医療保険、クレジット・カード金利、自動車ローン利息、学生ローン利息、住宅ローン利息、最低残高不足に対する銀行手数料など)を金融業者に支払った後、可処分所得が皆無な何百万人ものアメリカ人が、厄介なことになっているというのが、今の状況だ。
これは、議会と大統領が辞任し、アメリカの支配を、ウオール街と巨大銀行に引き渡さない限り、政治的に実行可能ではない。既にそうなっていると言う声は高まっている。
グラス・スティーガル法廃止によって保証されて、99パーセントを犠牲にして、1パーセントが、その損失を穴埋めできる場合、一体どこに民主主義があるだろう?
グラス・スティーガル法の復活が必要であるのみならず、大銀行は規模を縮小すべきなのだ。どの企業であれ、大き過ぎて潰せないというのは、資本主義の正当化に対する矛盾だ。資本主義が正当化できるのは、資源を誤用して、損失を出した企業は廃業し、誤用された資源を、有効活用できる企業に開放するからだ。資本主義というのは、社会に恩恵をもたらすべきものであり、救済してもらうよう社会に依存するべきものではないと考えられている。
チェース・マンハッタン銀行元CEO・会長ジョージ・チャンピオンが、上院銀行委員会で、銀行の全国支店展開に反対して証言した際、私も居合わせた。チャンピオンは、銀行が大きくなり過ぎ、金融資産に投資するため、支店が地域社会から貯蓄を吸い取ることになると述べた。結果として、地域社会は、貸付資金不足に直面し、貸付資金欠如のために、地方企業は死ぬか、生まれられなくなってしまうのだ。
私は、ビジネス・ウィークで、これを記事にして報じた。しかし、現代の傑出した銀行家が事実を詳細に説明したにもかかわらず、買収が行われ、愚行は進められた。
レーガン政権のアメリカ財務省財務次官補として、私はあらゆる金融規制緩和に反対した。金融規制緩和は、詐欺や抜け目ない取り引きに対して扉を開放することにしかならない。一つの組織、いや一人の個人が何百万人もの人々の暮らしを破壊することで、財を成すことを可能にするのだ。
アメリカ国民は、こうした事柄を理解するほど十分な教養はないが、自分たちが困った場合、それを感じるのだ。下院と上院でも、こうした事柄を理解するに十分なほど教養がある人々はごくわずかだが、そうしたことを理解しても賄賂をもらう助けにならないのは皆知っている。すると、議員たちは、彼らに投票し、議員にしてくれた人々を、一体どうやって代表できるのだろう?
連中が代表することなど、めったにないというのが答えだ。
議員たちに対する疑問は、選挙献金と、万一議席を失った場合の割の良い仕事のために、国を潰すつもりなのか、それとも、国を救うため個人的リスクを負うつもりなのかだ。
過度のリスクや金融詐欺が、納税者による救済が可能であれば、アメリカは生き延びられない。
下院議員のウォルター・ジョーンズとマーシー・カプターや、他の下院議員や両党のスタッフが、元ゴールドマン・サックス重役のノミ・プリンスや、市民団体指導者とともに、6月14日、下院で、アメリカ合州国の経済的、政治的、社会的安定性にとってのグラス・スティーガル法の重要性に関する説明会を企画した。地元出身議員たちに、巨大銀行の無謀な金融慣行のために、金融上の責任を負わされるのは御免だと伝えよう。地元出身議員に、金融界を支配する巨大銀行など望んでいないことも知らせよう。グラス・スティーガル法復活を望んでいることを彼らに知らせよう。
金融機関に十分な運転資本を要求して、商業銀行と投資銀行の混同から生じる金融リスクを少なくしようとする取り組みは無駄だ。2007年-08年の金融危機は、納税者と紙幣印刷機と、金融機関に対する、あらゆる現実的な資本と流動性要求を越える金額を必要としたのだ。
もし我々がグラス・スティーガル法を復活させなければ、金融界の強欲が負うリスクが、アメリカの経済的破壊を完了することになる。
議会は、富の邪神マモンのためではなく、国民のために働かねばならない。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/06/09/without-glass-steagall-america-will-fail/
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