http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/649.html
Tweet |
メイ首相の去就を含め、混乱は続きそうだ(※写真はイメージ)
英国総選挙でメイ首相の悲鳴〈AERA〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170612-00000085-sasahi-int
AERA 2017年6月19日号
圧勝を期し、解散総選挙を決めたメイ英首相の見通しの甘さが、致命傷となった。相次ぐテロで緊迫した英国で躍進したのは、最大野党・労働党だった。
与党・保守党を率いるメイ首相にとっては、全てが裏目に出た選挙戦だった。
大規模なテロが相次ぐ中で行われた英総選挙(下院定数650)で、さらなるテロを警戒して厳戒態勢がとられた6月8日の投票日。国民が出した答えは、「ハング・パーラメント(中ぶらりんの議会)」だった。過半数の議席を持つ政党が不在の状態をさす言葉だ。伝統的に連立政権を好まない英国にとっては、政治混乱を意味する。
仮に連立を組む場合、過半数割れまで議席を減らしながらも、かろうじて下院第1党を維持した保守党が連立工作で優位な立場にあるが、議席を増やした最大野党・労働党の存在感は大きく、政権基盤は弱くなる。再び総選挙をやる選択肢もある中で、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)交渉の見通しもはっきりしなくなった。
●思惑見え見えで反発
任期満了の2020年まで実施しないとしていた総選挙の前倒しを、メイ首相は今年4月18日に突然発表。その狙いは、ブレグジットでEUとの交渉を本格化させる前に保守党の勢力を増やし、政権基盤を盤石にすることだった。当時の世論調査は、支持率で労働党を20ポイント以上も上回っており、「圧勝」の見通しに基づく判断だった。
「思惑が見え見えで、逆に国民の強い反発を招いた。国民のための選挙ではなく、保守党のための政治ゲームだと思った」
そう話す英中部スタフォードの音楽家ダン・ジャクソンさん(35)は労働党に投票した。その理由についてこう説明する。
「労働党もブレグジットに反対していないため、離脱交渉への信任投票にしようとした保守党の思惑は最初から外れた。代わりにメイ首相が選挙公約に掲げた政策に批判が集中した。実際、ひどいもので、労働党はその逆を行って支持を広げた」
特に保守党の社会保障改革の公約は不評だったという。高齢者の在宅介護の自己負担額の見直し案は、「高齢者が自己の資金で自らの介護をしないといけなくなる究極の緊縮財政策で、認知症税だ」と怒る世論の反発を受け、急遽、負担額に上限を設けるという見直しを選挙中に強いられたほどだ。
●テロで支持拡大も裏目
保守党は、公的部門の昇給抑制(年率上限1%)を進め、国営医療制度「国民保健サービス(NHS)」の民営化を図るなど、緊縮財政策を徹底してきた。これに対する国民の不満の大きさをメイ首相は読み誤った。NHSの拡充や大学授業料無料化など左派政策で知られるコービン労働党首の人気を逆に押し上げる自責点になった。
労働党へ投票したキャティ・トンプソンさん(26)は、自身が働くNHSについて、
「財源不足が著しく、フルタイムで働いても自分の医療費すら十分に払えない。1%の昇給抑制は冗談そのもので、物価上昇に対応できない。裕福になるのは上流階級だけで、中流階級以下は切り捨て。緊縮、緊縮で警察官を2万人も削減し、テロに対応できるわけがない。コービン氏に期待するしかなかった」
3月にロンドンで起きたテロ事件に続き、5月に始まった選挙戦中にもマンチェスターとロンドンで相次いだテロを受け、治安対策が争点に急浮上した。テロ対策の強化を約束するなどして求心力を高めようとしたメイ首相だが、自身が内相時代に警察官を削減したことが批判され、これまた裏目に出た。
「どの党にもテロ対策は難題だけに、テロ自体が投票結果を左右したとは思わない。むしろ、テロを理由にして支持を訴えたメイ首相の姿勢に多くの人はいらついた」。福岡市で英語教師をするエミリー・トンプソンさん(28)は、そう分析する。
「だから労働党のコービン党首には期待したい。私たちの年代は、みなそう思っている」
メイ首相の去就を含め、混乱は続きそうだ。(編集部・山本大輔)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。