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トランプが家族の反対をも押し切って「パリ協定」から脱退した裏事情
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51912
2017.06.03 歳川 隆雄ジャーナリスト 「インサイドライン」編集長 現代ビジネス
孤立を承知のうえで決断
ドナルド・トランプ米大統領は6月1日午後3時(米東部標準時・日本時間2日午前4時)、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの脱退を発表した。
世界第2位の温暖化ガス排出国の米国が離脱することで同協定が形骸化することは必至である。だが、それに先立ち中国の李克強首相はドイツの首都ベルリンでメルケル独首相と会談し、同協定堅持を明言した。
さらに李首相は2日、欧州連合(EU)本部があるベルギーのブリュッセルでEU首脳と会談、温暖化ガスの排出削減に向けた中国・EU共同計画を発表した。中国は温暖化ガス排出国第1位である。
4月26〜27日、イタリアのシチリア島タオルミナで主要7カ国首脳会議(G7タオルミナ・サミット)が開催された。
安倍晋三首相はG7のセッション「世界経済、貿易、気候変動・エネルギー」で、気候変動問題は国際社会全体が取り組むべきグローバルな課題であり、先進国がリーダーシップを発揮し、途上国、特に温暖化ガス排出量が多い新興国が実効的な措置を取るよう確保することが重要であること、また、そのためにも、パリ協定を着実に実施していくべきだと語った。
一方、マクロン仏大統領が同セッションでトランプ大統領に協定離脱を思い留まるよう強く求め、メルケル首相も同調する場面があったというのだ。
トランプ大統領はこうした諸外国の反対を押し切ってパリ協定離脱を発表した。では、なぜ国際社会での「孤立」を承知のうえで決断したのか。
昨年の米大統領選で掲げた公約「米国第一(アメリカ・ファースト)」に最後まで拘ったことが挙げられる。大統領就任後2月の支持率は(ロイター通信調査)もともと41%と低く、それが半年経った現在は38%まで下落している。
しかし、この「38%」という数字は大統領選で大接戦を演じて勝利したペンシルベニアやオハイオなど石炭産出州のトランプ支持の核心層に負うものだ。
白人貧困層の炭鉱労働者に対してパリ協定離脱の公約(=雇用維持)を有言実行することで、この支持率38%をボトムラインにすることを全てに優先したのである。
トランプファミリーからも反対が
問題は、トランプ大統領がホワイトハウス幹部や主要閣僚に助言を求めず、自ら決断したことである。
長女のイバンカ大統領補佐官・クシュナー大統領上級顧問夫妻を始め、エネルギー・ビジネスの大転換を図った石油メジャー・エクソンモービルの元CEO(最高経営責任者)のティラーソン国務長官、トランプ政権の経済政策を担う元ゴールドマン・サックスCEOのコーン大統領補佐官(国家経済会議委員長)ら有力閣僚の翻意を制しての決断だった。
産業界からも反発の声が上がっている。トランプ大統領のための大統領助言委員会に名を連ねるアップルのクックCEO、石油大手シェブロンのダドリーCEOなどである。そしてテスラモーターズのイーロン・マスク社長は同委員会退会を明らかにした。
特に深刻なのは、トランプ大統領のパリ協定離脱表明会見にイバンカ・クシュナー夫妻が欠席することで不満の意思表示をしたことだ。ファミリー内から異論顕在は初めてのことだ。
この間、筆者が指摘してきたようにトランプ周りでは、とりわけ外交・安保政策に関してクシュナー上級顧問、ティラーソン国務長官、コーン大統領補佐官ら豊富な実務経験がある「CEO出身者」と、マティス国防長官(海兵隊大将)、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当・陸軍中将)など「将軍(ゼネラル)」が連合して、バノン上級顧問・首席戦略官やナバロ大統領補佐官(通商担当)など狂信的な強硬派を政権中枢から退けて現実路線に舵を切ったことが奏功したのである。
だが、今回のパリ協定離脱決断をしたトランプ大統領の背中を押したのが、バノン氏と、一貫して地球温暖化に対する懐疑論を唱えてきたプルイット環境保護庁長官なのだ。トランプ大統領の“先祖返り”が心配される。
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