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トランプ米大統領は9日、米連邦捜査局(FBI)のコミー長官の解任に踏み切った。捜査機関のトップを任期中に解任するのは極めて異例だ。クリントン元国務長官のメール問題をめぐる対応のまずさを理由にあげたが、FBIがロシア政府とトランプ氏陣営との関係を捜査する最中での突然の解任劇に議会などから異論が噴き出している。
トランプ氏は9日、コミー氏宛ての書簡で「あなたは解任された。効力は今すぐだ。私が捜査対象でないと教えてくれたことには非常に感謝するが、あなたがもはや捜査局を効果的に率いることができないとの司法省の判断に同意した」と解任を通告した。
米CNNなどによると、コミー氏はロサンゼルスのFBI施設で職員と会合中だった。テレビで解任という速報が流れ、最初は冗談を言って場を和らげようとした。本部に電話をかけて事実と確認、急きょワシントンに戻る飛行機に乗り込んだという。
解任を上申したローゼンスタイン司法副長官は、クリントン元国務長官が当時、私用メールアドレスで機密情報を送受信していた問題に関し、「長官の捜査への対応を擁護できない」と主張。コミー氏が大統領選のさなかに、再捜査を表明した判断も問題視した。
ただ、トランプ氏は大統領就任後にコミー氏をFBI長官に続投させた。野党・民主党は、なぜ就任から100日以上も経ってから、同氏の対応を問題視して解任するのか不自然だと批判。トランプ氏陣営幹部とロシア政府が選挙への介入で連携していた可能性を調べるFBIへの捜査妨害だと指摘している。
FBI長官の任期は10年。コミー氏はオバマ前大統領が2013年に任命し、6年の任期が残っていた。長官職は政治的中立性を担保するのが慣例で、大統領が任期途中で解任するのは1993年、公用機を私用で使った長官をクリントン元大統領が解任して以来となる。(ワシントン=佐藤武嗣、杉山正)
5月11日朝刊
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