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マリーヌ・ルペンに妙な期待は寄せない方がよい。所詮、極右は極右。
「国民戦線」は極右政党として出発した。党の基層と古層は、紛れもなく極右だ。植民地独立に反対し、植民地支配を当然視した人々で成っている。人種差別と反ユダヤ主義(ユダヤ人に対する差別)と、排外主義が特徴だ。
たとえマリーヌ・ルペンがややリベラルだとしても、この基層を無視した行動は取れない。2010年代以降、国民戦線の「非悪魔化」に乗って入党してきた層は、全体の3割に満たない。残りの過半数は伝統的な極右だ。
確かに、マリーヌは、耳障りのよいことを言う。しかし実際の行動では、決してリベラルではない。党員の多くが「極右」であるとき、どうして極右の考えに反したことができようか。
今回の大統領選挙(第一回投票)の最大の成果は、メランションの「不服従のフランス」が、新自由主義(社会格差の拡大)に反対する勢力として登場し、国民戦線に対する防波堤の役目を果たし始めたことだ。新自由主義に痛めつけられ、絶望した弱者が、国民戦線に行かずともよくなった。「左翼のピープル主権運動」が生まれたのだ。(支配層が怖れるのはこの「左翼のピープル主権運動」だ。「支配層の飼い犬」である極右ではない。)
「新自由主義者」マクロンが大統領になれば、国は荒れる。社会闘争の嵐が吹きまくる。マクロンは、労働法改悪をさらに進める気でいる。オランド政権での労働法改悪の法案を策定したのはマクロンだ。オランドはそれを議会を通さずに(立法権に委ねず)、「大統領令」という形で施行した。(現憲法はアルジェリア戦争を終結させるために発布されたものなので、そういう強権的な抜け道がある。)
マクロンは、議会で多数派が取れない場合は、この大統領令を連発して、新自由主義政策を強行する、と公言している。議会無視の「大統領独裁」だ。
メランションの「不服従のフランス」は、現行の制度(第5共和政)を「大統領君主制」と呼び、憲法を改正して「第6共和政」を発足させることを主張している。憲法改正には「憲法制定会議」を開く必要があるが、その憲法制定会議議員は、従来/既存の(選挙による)議員ではなく、国民全体から「クジ引き」で選ぶとしている。「クジ引き」以上に民主的な方法はないだろう。
メランションは、大統領選挙の第2回目の投票では、投票行動の「指令」は出さなかった。(ルペンは絶対不可ということを除けば) 自分が誰に投票するかも公表していない。
メランションの表現によれば「極右(エクストレム・ドロワット)と、極金(エクストレム・フィナンス)」しか選択肢がないという状況なのだ。白票や棄権を選ぶ者も少なくないだろう。
「不服従のフランス」自体は、第二回投票での行動について(マクロン/白票/棄権の三択)、内部でWeb上で、メンバー(44万人以上) による投票を行っている最中だ。5月2日の締め切り後にその結果が発表されるが、しかしその結果がメンバーを拘束するわけではない。有権者が誰かの命令や指令に黙って従う時代ではない。メランションの態度を批判する人も多いが、運動のスタイルも理念も変わった、つまり「時代」と「世代」が変わったのだ。
6月には下院議員の選挙がある。焦点はここに移っている。マクロンの「暴政」を食い止め、次回の大統領選挙で巻き返しと憲法改正を図るには、下院の議席を最大限獲得する必要がある。
しかし、共産党も社会党も個別に候補者を立てるようなので、まだ状況は混沌としている。「変革期」あるいは「革命期」というのは、こういうものなのだろう。
社会党はもう壊れたも同然だ。社会党の右派(新自由主義派)と共和党の主流派がマクロンに収斂した。(既成政党が消えたのではなく、マクロンに変わっただけだ。マクロンはオランドの後継者。彼らは「左翼の仮面を被った右翼」と言われている。) 社会党に続き、共和党も早晩立ち行かなくなるだろう。
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