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米国原子力空母「カールビンソン」(「Wikipedia」より/BotMultichillT)
米国、今月28日に政府機能閉鎖へ…トランプ大統領が歴史的失政、軍事行動の裏で
http://biz-journal.jp/2017/04/post_18825.html
2017.04.22 文=鷲尾香一/ジャーナリスト Business Journal
4月に入り、米国はシリアの軍施設に巡航ミサイル59発を撃ち込み、イスラム国(IS)の施設を大規模爆風爆弾で攻撃、さらに北朝鮮に圧力をかけるため、原子力空母「カールビンソン」を中心とする第1空母打撃群を出動させた。
その裏で、米国政府は一部機能の閉鎖に向かっており、残された時間は刻々と減っている。米国は2017年度が始まる昨年10月までに同年度予算が成立しておらず、現在は暫定予算で凌いでいる状態だ。その暫定予算の期限は4月28日と、約1週間後に迫っているのだ。もし、期限までになんらかの手当てがなされなければ、緊急性の乏しい政府機関は閉鎖という事態に陥ることになる。
警察、消防、航空管制、および安全保障に関するサービスは継続され、年金給付や利払いなど、年度ごとの予算措置が必要ない義務的支出関連も継続されるため、すべての政府機能が一斉に停止されるわけではない。
13年10月には、医療保険制度改革法(オバマケア)をめぐる対立で同様に予算が成立せず、実際に16日間にわたり政府閉鎖が行われた。一部の政府サービスが停止され、職員は自宅待機となるなど、国民生活に重大な影響が出た。同様の事態が起こる可能性は高い。
今回、政府閉鎖を避けるには、上院議会で予算関連法案を通過させるため60議席分の賛成票が必要となるが、与党・共和党は52議席しかなく、民主党の協力が必要となる。さらに共和党内でも予算案の内容に反対の勢力もあるため、先行き不透明な状況が続く。
■政権基盤の弱さ露呈
そもそも、この事態はトランプ大統領が引き起こしたわけではなく、オバマ前大統領と共和党議会が17年度予算案に合意できなかったことから始まっている。暫定予算を組んで大統領選を迎え、その後トランプ政権の政策を予算に反映するため、暫定予算が延長され現在に至っている。
そのトランプ大統領は、3月初旬にはイスラム教徒が大多数を占める6カ国の市民を対象にした入国禁止の新しい大統領令に署名し、物議を醸した。政府内部でも反対が多かったこの大統領令により、トランプ政権は一枚岩として結束を固めることができなかった。さらに、オバマケアの見直しに対してトランプ大統領が打ち出した代替案が受け入れられなかったことも、政権基盤の弱さを露呈した。
もっとも、米国では新大統領就任に伴い500人以上の政府高官が交代するのが慣例だが、トランプ政権ではいまだに554の政府高官ポストのうち22人しか就任していない。体制すら固まっていない状況ゆえ、詳細な政策を立てることが困難な状況が続いている。そのため、内政や経済を中心とした政策の失敗から国民の目を逸らすため、外交的には軍事行動に打って出るような傾向を強めている。
いみじくも4月28日は、トランプ政権発足から99日目に当たる。記念すべき政権発足100日目に政府機関が閉鎖されるという事態が、刻々と迫っている。米国議会は4月24日までイースター休暇に入っており、議会再開から暫定予算の期限までは1週間。本予算を成立できなくとも、暫定予算の延長、新たな予算措置など、なんらかの歳出措置を取らなければ、政府閉鎖となる。
トランプ大統領は、この難題を乗り越えることができるのか。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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