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Column | 2017年 04月 19日 10:18 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:
反ユダヤ主義が顕在化しているのはなぜか
4月14日、最近になって顕在化する反ユダヤ主義的な言動は、一時的な苛立ち、それとも無理解、あるいは単なる無知からくるものなのだろうか。写真は2014年9月、ベルリンで行われたユダヤ人差別に反対する大規模集会の開始を待つ男性(2017年 ロイター/Thomas Peter)
John Lloyd
[14日 ロイター] - 西側諸国の政府はすべて反ユダヤ主義を否定している。だが、古くからの嫌悪はまだ生き残っている。その有害性はどの程度のものなのか。最近になって顕在化するユダヤ人差別的な言動は、一時的な苛立ち、それとも無理解、あるいは単なる無知からくるものなのだろうか。
スパイサー米大統領報道官の場合は、ひいき目で見れば、最後の「単なる無知」に該当することになろう。11日の記者会見で飛び出した「ヒトラーは化学兵器を使用しなかった」という彼の発言は、激しい怒りを招き、ただちに謝罪する結果となった。
スパイサー氏が言いたかったのは、ヒトラーが化学兵器を爆弾として航空機から投下しなかったという意味だ。これは正しい見解であり、マティス国防長官も当日述べている。しかし、ナチスは強制収容所で「ジクロンB」を使用している。ヒトラーが戦場における化学兵器の使用を自制したのは、戦術的な理由によるものかもしれない。
スパイサー報道官の視野がもう少し広ければ、彼はアサド大統領とヒトラーを比較することを慎んだろうし、ナチスがどこで誰に対して化学兵器を用いたかを明示しただろう。だが、彼のコメントは必ずしもレイシズム(人種差別・民族差別)を示すものではない。
とはいえ、同報道官が仕える政権は、1月27日の「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」に向けた声明のなかで、ユダヤ人について言及しなかった。バノン首席戦略官兼上級顧問は、いわゆる「オルタナ右翼」を支持していることで、反ユダヤ主義者であるとの批判が絶えない。
一方で、トランプ大統領の娘イバンカさんとその夫のジャレド・クシュナー氏はユダヤ教徒だ。この夫妻の存在によってホワイトハウスの反ユダヤ傾向は緩和されていると見られている。
英国における最近の反ユダヤ主義の高まりを見ても、その現状が特に明確になってくるわけではない。労働党の重鎮で元ロンドン市長のケン・リビングストン氏は、「ヒトラーはシオニストだった」という主張を繰り返してきた。つまり、ヒトラーがイスラエル建国を支持していたという意味だ。この主張はかなり徹底的に反証されており、反ユダヤ主義に基づいていると考える人が多い。
これが「単なる間違い」ということがあり得るだろうか。リビングストン氏は、反ユダヤ主義的な傾向を否定している。彼は党員資格を1年間停止された。労働党議員や党員の多くは、この処分を甘すぎると感じており、トム・ワトソン副党首はこの処分に強く抗議し、除名がふさわしいと主張している。
こうした対立は、あらゆる西側諸国の左派勢力に見られる分裂を露呈している。一方の側には、イスラエルこそ中東における最大の問題であると考え、イスラエルの打倒を誓うヒズボラやハマスといった組織に対し、程度の差こそあれ共感を示す勢力がある。
もう一方には、入植などの政策について現在のイスラエル政府を非難しつつも、ユダヤ民族国家の存続を支持する人々がいる。
現在の労働党党首であるジェレミー・コービン氏は前者のグループに属しており、イスラム教シーア派武装組織ヒズボラやイスラム原理主義組織ハマスの双方を「友人たち」と呼んだこともある。ただし後に、こうした表現について後悔を表明している。
フランスは、西側諸国のなかで最もユダヤ人に対する攻撃や迫害が広がっていた国だが、前党首ジャンマリー・ルペン氏の時代にはきわめて反ユダヤ色が強かった極右政党「国民戦線」が、娘のマリーヌ・ルペン氏のもとでその傾向を一掃したのは朗報に思える。
だが、本当にそうだろうか。
最近の報道では、仏極右政党「国民戦線」を率いるルペン党首の側近、フレデリック・シャティヨン氏が積極的な反ユダヤ主義者であると指摘されている。こうした報道は、国民戦線が基本的には変化しておらず、変化できない兆候だと受け止める人もいる。今なお党員の多くが、真実を主張した人物としてジャンマリー氏に敬意を払っているためだ。
ルペン氏が大統領に当選するようなことがあれば、フランス在住のユダヤ人の懸念は高まり、イスラエルに移住する人が増えるだろう。反ユダヤ主義に基づく事件や攻撃に最も積極的な反対キャンペーンを行っている雑誌バニティ・フェアが掲載した記事は、引退した警察本部長がイスラエルに移住したことを伝えている。
中欧では、古くさい嘘が今も健在である。ハンガリーでは極右政党ヨッビクの得票率が約20%に達し、国民の3分の1が反ユダヤ主義を自称する。ポーランドでの最近の調査によれば、ユダヤ人を家族として受け入れないという回答が半数以上、ユダヤ人が隣近所に住むことを好まないとの回答がほぼ3分の1に達した。
たとえホロコースト後に生まれた世代であっても、ユダヤ人ならば、ナショナリズムや社会不安が高まり、ポピュリスト政党が勢力を伸ばす時代は、彼らにとって決して幸運をもたらさないことを知っている。彼らは、リベラルな政治が生き残り、強さが維持されることを頼りにしている。このこともまた、そうあるべき十分な理由の一つだ。
ナチス時代のユダヤ人拘束、極右ルペン氏「フランスに責任なし」
米大統領報道官、アサド氏とヒトラー比べる発言で強い反発招く
米フィラデルフィアのユダヤ教徒墓地 約100墓石倒される
イスラエル軍で「ひげそり令」、ユダヤ教指導者が反発
http://jp.reuters.com/article/antisemitism-column-john-lloyd-idJPKBN17L02P
World | 2017年 04月 19日 13:18 JST
トランプ米大統領、対イラン制裁解除の見直しを指示=国務長官
[ワシントン 18日 ロイター] - ティラーソン米国務長官は18日、2015年のイランとの核合意に基づく制裁解除が米国の安全保障上の利益かどうかについて、国家安全保障会議(NSC)が中心となって政府機関の間で見直すようトランプ米大統領が指示したと明らかにした。
同長官は声明で、イランは合意に沿って核関連活動を抑制する約束を引き続き順守しているものの、テロ支援国としての役割を巡る懸念があると指摘した。
また、見直しについてライアン下院議長に通知したことも明らかにした。
トランプ大統領は、オバマ前政権下でのイランとの核合意を「最悪の取引」と呼んでいた。
米・イスラエルが15日に首脳会談、イランへの圧力強化目指す
ロシア、イランへのミサイル禁輸を解除 原油のバーター取引開始
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http://jp.reuters.com/article/tillerson-trump-iran-idJPKBN17L0BF
World | 2017年 04月 19日 13:12 JST
北朝鮮問題、同盟国・中国と経済・外交面で圧力へ=米副大統領
[東京 19日 ロイター] - 来日中のペンス米副大統領は19日、北朝鮮に対し同盟国および中国と経済・外交面で圧力をかける決意を示した。ただ、いかなる攻撃にも「圧倒的な力」で対抗すると付け加えた。
米空母の艦上で演説した。
ペンス副大統領は、北朝鮮による脅威に直面する中、米国の意思は揺るぎないと強調。「われわれはいかなる攻撃も打ち負かし、圧倒的、効果的な力で通常兵器あるいは核兵器の使用に対抗する」と述べた。北朝鮮への対応について、あらゆる選択肢があるとあらためて表明した。
また、トランプ大統領と協議し、米海軍の艦隊の約60%を2020年までに域内で展開させると述べた。「米国はアジア太平洋地域で存在感を強める」とし、「われわれの同盟における日本の役割と責任は今後拡大していく」と語った。
中国と周辺国との対立の場となっている南シナ海については、飛行・航行の自由を守ると強調した。
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http://jp.reuters.com/article/pence-north-korea-idJPKBN17L0B1
World | 2017年 04月 19日 12:12 JST 関連トピックス: トップニュース
米空母、朝鮮半島に向かう前に豪と演習 当局の情報錯綜
[ワシントン 18日 ロイター] - トランプ米大統領が前週、北朝鮮に派遣したと明らかにしていた空母「カール・ビンソン」などの空母打撃群が、その時点で朝鮮半島から遠く離れた地点を、半島とは逆方向に航行していたことが分かった。
北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、軍事パレードを実施していた週末時点では、インドネシアのスマトラ島とジャワ島の間のスンダ海峡を抜けインド洋を航行していたもよう。
米太平洋軍は18日、空母打撃群はまずオーストラリアと想定より短い期間で合同訓練を完了しなければならなかったと説明。現在は「司令通り、西太平洋へ向かっている」と述べた。
米軍は当初、10日付けの声明で、ハリス太平洋軍司令官が空母打撃群に「北上し、西太平洋で任務に就く」よう指示したと説明していた。ロイターなどの報道機関は11日、航行には1週間以上かかると報じた。海軍は安全上の理由から、空母打撃群が将来作戦を行う位置を明らかにしていない。
マティス国防長官は11日、「現在移動しているのは、現時点でそこに置くのが最も将来に備えたものであると考えるからだ」と説明。「特定の要求や理由があるわけではない」とした。ただ、ビンソンは豪海軍との演習を中止したと発言。後ほど国防総省が、中止されたのは演習ではなく豪フリーマントルへの寄港だと訂正する事態となった。
米海軍の関係筋が匿名を条件に話したところによると、ビンソンはスンダ海峡を通過した後で訓練を実施したという。 *本文第1段落に説明を追加しました。
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米中首脳の異なる時間軸−トランプ大統領はすぐに実現する成果求める
Bloomberg News
2017年4月19日 12:57 JST
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• かなり顕著に対中貿易赤字を減らす「目に見える成果」を米側は期待
• 中国側は枠組みの設定に何年もかかるBITの推進を望むとホン氏
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席の米中経済関係を巡る時間軸は、大きく異なっているようだ。
米フロリダ州で行われた米中首脳会談では貿易不均衡是正に向けた「100日計画」で合意。トランプ政権はこれに基づき、「かなり顕著」に対中貿易赤字を減らす「目に見える成果」を期待している。米財務省は14日公表した外国為替報告書で、中国を為替操作国として認定することを見送ったが、トランプ大統領は、古い産業が中心のいわゆるラストベルトの有権者に「中国バッシング」が選挙運動でのレトリックだけではないことを示す必要に迫られている。
中国国営の新華社通信によれば、習主席は2国間投資協定(BIT)に向けた協議再開を優先課題の1つに掲げている。有権者をなだめることを気に掛ける必要がない習主席にとって、BITは経済改革を加速させる手段となり得る。
トランプ米大統領と中国、貿易戦争で激突するのか−QuickTake
中国社会科学院のソン・ホン上級研究員は「米中両国は異なるペースで動いているようだ。トランプ大統領はすぐに実現できるものを求めており、中国側は、この先何年も枠組みの設定に時間がかかるBITの推進を望んでいる」と指摘した。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i6QSgY0y.Nqg/v2/-1x-1.png
BITに関する交渉は10年近くに続いているが、協定の対象外とする経済分野を特定する「ネガティブリスト」が主な障害となっている。在中国米商業会議所のウィリアム・ザリット会頭は、米企業が中国で直面する不十分な市場アクセスや公平な競争条件の欠如に対処しなければ、貿易赤字の問題は解決できないと述べた。
原題:Trump’s Deficit Crusade Overshadows Xi’s Investment Treaty Pitch(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-19/OOMWNQ6TTDS301
トランプ娘婿一族が所有のNYオフィスタワー、借金返済増で赤字拡大
Caleb Melby
2017年4月19日 13:08 JST
Traffic passes outside 666 Fifth Avenue in New York, on April 19, 2010. Photographer: Daniel Acker/Bloomberg
トランプ米大統領の娘婿、ジャレッド・クシュナー氏の一族が共同所有するマンハッタンのオフィスタワーは2016年に債務返済が増加し、赤字が拡大した。ローン管理者が提出した文書で明らかになった。
LNRパートナーズの届け出によると、「666フィフス・アベニュー」の損失はローン返済の調整後で1450万ドル(約15億7000万円)と、15年の約1000万ドルから増加した。純営業利益は前年比で2.7%増加し4130万ドルとなった一方、債務返済は11%増の5580万ドル。16年末時点のタワーの入居率は80%と、9月時点の70%から上昇した。
ブルームバーグの先月の報道によれば、ミッドタウンにある同タワーに関する債務12億ドル余りの返済条件は19年の支払期日が近づく中で一段と厳しくなりつつある。クシュナー氏のファミリー企業であるクシュナー社は07年に同タワーを記録的価格で購入していた。
現在、トランプ大統領の上級顧問を現在務めているクシュナー氏は、公職との利益相反を避けるため同タワーの持ち分を親族に売却。父のチャールズ・クシュナー氏は同タワーを高級な居住用不動産に転換するためパートナーを探している。同タワーの再開発に関して中国の安邦保険集団は提携交渉を進めていたが、3月に協議は終了した。
クシュナー社の広報担当は同タワーに関して活発な議論が進んでいると述べたが、財務状況に関してはコメントを控えた。
原題:At Kushners’ Manhattan Tower, Debt Payments and Losses Increase(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-19/OOMYFT6JTSFC01
[FT]メイ英首相が総選挙で手に入れるもの
2017/4/19 12:36
日本経済新聞 電子版
指導者について知るためには、彼らが掲げたマニフェスト(政権公約)を無視し、彼らを縛る制約をただ取り除けばいい。権力は人の意外な姿を明らかにする。絶対的な権力は絶対的に明らかにする。確かにこれは、誰かについて知る方法としては極端だが、英国人が試すには極端すぎることはない。
18日に発表された総選挙翌朝の6月9日には、メイ首相は第2次世界大戦以降、最も力のある首相になっているかもしれない。ブレア元首相は、不機嫌な財務相に手足を縛られた。サッチャー元首相は、まだ重要な存在だった労働組合に配慮しなければならなかった。メイ氏には、それに比肩するような邪魔者がいない。そして、同氏の率いる保守党に労働党の支持票全体にほぼ匹敵する差をつけている世論調査を信じるなら、議会が形式的な認可機関に成り下がるような圧倒的過半数を獲得する。
http://www.nikkei.com/content/pic/20170419/96958A9E93819499E3EB9AE2988DE3EBE2E6E0E2E3E5E2E2E2E2E2E2-DSXZZO1548130019042017000000-PB1-5.jpg
メイ氏は今後7週間、自身の国内改革にメディアの興味を引こうとし、失敗するだろう。今回の総選挙は名前を変えた欧州キャンペーンであり、ヒース元首相が1974年に自身の首相の座と労組の力のどちらかを選ぶよう有権者に求めた総選挙以来初のシングルイシュー(単一争点)選挙となる。実際、そうあるべきだ。英国民の将来にとって、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の条件は、どんな教育政策や財政緩和よりも重要だからだ。
メイ氏が勝利を収めても、それで買えるEUに対する影響力は無きに等しい。EUとしては、国内政治の思わぬ変化が、英国に厳しい離脱条件を課すEUの利益に影を落とすのを許すわけにはいかない。だが、総選挙での勝利により、メイ氏の政治的視野は2020年から2022年へと広がる。同氏は今、たとえ欧州から英国へ来る人の移動の自由の継続やEU予算への分担金拠出という代償を払っても、より長い時間をかけて加盟から非加盟へ移行する措置を検討できるようになった。怒れる有権者はメイ氏を選挙で罰するのを何年も待たねばならず、その頃には、同氏は田舎でのハイキングや(お気に入りの有名シェフのヨタム・)オットレンギのレシピを楽しむ快適な引退生活に入っているかもしれない。
また、圧倒的多数を押さえれば、メイ氏は自分がEUから獲得した離脱条件を議会で通過させることもできる。面倒な同僚から解放されるわけだ。
問題は、それがどの同僚か、ということだ。親EU派の一部は、絶対的な権力は穏健な管理主義者としてのメイ氏の本性を明らかにするとみている。同氏はかつてのEU残留派として、自分より右寄りの熱狂的な議員が今や議会で阻止できなくなった穏やかな離脱を形作ると考えている。18日の英ポンドの値動きは、この期待を反映していた。ドイツ銀行は英国に関する悲観的な成長予想を修正した。1つには、総選挙で「ハードブレグジット(強硬離脱)を要求する議員の影響力が弱まる」というのが、その理由だった。
問題は、これでソフトブレグジット(穏健離脱)や漸進的な離脱を要求する議員の影響力も弱まってしまうことだ。総選挙で強硬派のジョン・レッドウッド議員は力を奪われるが、疲れを知らずに保守党左派を擁護するアナ・スーブリー議員も力を奪われる。メイ氏はスーブリー氏の方に近いという考えは、メイ氏は優柔不断だとする見方と同じくらい根強い通説だ。権力は、市場が思っている以上に徹底した保守主義者の姿を明らかにするかもしれない。確かに、メイ氏は貿易協定や移行措置なしでの唐突な離脱に反対していると思われているが、同じ立場にいれば、ほぼ誰もが反対するだろう。これは、期待するような材料ではない。移行措置の条件や最終的な市場アクセスの度合いについてはかたっていないに等しい。
とんでもなくひどい内容の合意は、一切合意がない場合より悪い長期的影響を及ぼす恐れがある。そして6月になると、そうした合意を議会で通すのが容易になる。18日に本当に薄れたのは、強硬離脱ではなく、昨年の国民投票の破棄や骨抜きの可能性だ。親EU派はこれまで、メイ氏は議会が耐えられないほどひどい内容の合意をまとめ、新首相の下で2度目の交渉を試みるか、そもそも離脱すべきかどうかを争点とする選挙の実施を余儀なくされると考えることができた。その願望は、かすかな希望からほぼゼロへと薄れた。
6月以降、メイ氏の権力に制約があるとすれば、それはスコットランドだ。2014年のスコットランド住民投票で英国の連合保全のために成功だった残留キャンペーンを率いた人々は、翌年に予定されていた英総選挙を前に労働党が世論調査でリードしていたことが勝利の一因だったと考えている。保守党を嫌うスコットランド人は、同党に支配されるのもあと数カ月だと期待して、英国残留に投票できたからだ。そうした有権者は今、6月から先を見通せる限り、英議会で保守党が大多数を占める状況を想定できる。メイ氏は彼らをナショナリズムに走らせるのを避けるために、寛大に統治しなければならない。大した制約ではないが、それで我慢するしかない。ほかの制約は7週間後に消えてなくなる。
By Janan Ganesh
(2017年4月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)
(c) The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK19H0J_Z10C17A4000000/
Column | 2017年 04月 19日 10:48 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:英総選挙前倒し、メイ氏が「お墨付き」得る好機
Peter Thal Larsen
[ロンドン 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 英国のメイ首相は、自身の政治家としての評価が最も高まっている局面をうまく利用しようとしている。6月8日に総選挙を前倒しで実施することは、英国の指導者として国民からしっかりとお墨付きを得る最適な時期と言える。
早期選挙に踏み切るべき強い理由は3つある。まずメイ氏が率いる保守党は今、下院で野党側をわずかに17議席上回るだけの勢力にとどまっているが、世論調査における支持率は野党より圧倒的に高い。ユーガブの最新調査を見ると、保守党と最大野党・労働党の支持率の差は21%ポイントに開いている。2月の補欠選挙では、政権与党の候補が35年ぶりに勝利した。
総選挙はメイ氏個人の信任投票ともいえる。同氏は昨年6月の国民投票後の政治的な混乱の中で首相の座に就いたが、まだ選挙の洗礼は受けていない。ここで勝利すれば、欧州連合(EU)離脱が現実味を増すとともに、英経済が苦境に陥ったとしても、ある程度政治的立場が守られる。2007年にゴードン・ブラウン氏が首相になった時点ですぐに解散総選挙を決断せず、3年後に辞任に追い込まれたという記憶は、選挙の先延ばしをやめさせる効果的な働きをしている。
また欧州の選挙日程はメイ氏に有利に作用する。今年はフランス、ドイツと国政選挙が続くため、ブレグジット(英国のEU離脱)交渉はどんなに早くてもこの両国で新政権が発足した後になる公算が大きい。そしてもし英国が交渉期限の2019年3月までにEUと何らかの合意ができず、単一市場から退出する事態になっても、メイ氏は2022年までは再び選挙の試練に立ち向わずに済む。
選挙前倒し戦略にはもちろんリスクもある。選挙戦を通じてメイ氏は、これまであいまいにしてきたブレグジットで何を優先するかをはっきりさせなければならない。これは保守党内にくすぶる対立の火種をあおり、親欧州の有権者をライバルの自由民主党支持に向かわせかねない。だが選挙で再び十分な多数議席を獲得すれば、メイ氏は向こう10年首相を続けられる。
メイ氏は18日、選挙前倒しへの反対意見を取り下げたのは「最近」で、なおかつ「気が進まなかった」と打ち明けたものの、「確実性と安定性」を得る唯一の道だとも強調した。より説得力を持つ説明は、メイ氏が遅ればせながらも、自分の政治的資産が今後これほど高くなることは二度とないと気づいたからではないか。
●背景となるニュース
*メイ英首相は18日、総選挙を6月8日に前倒しで実施する意向を示し、それがEU離脱交渉に向けて政治的な安定を確保する唯一の道だと話した。
*メイ氏は「不本意ながら総選挙が必要と決断した。EU離脱とその後も見据えた強固かつ安定した英国の統率力を確立するに必要だと確信している」と述べた。
*メイ氏は19日に早期選挙を可能にする法的な手続きに入る方針。現在の枠組みでは次回総選挙は2020年以降に予定されており、日程変更には下院の3分の2の賛成が必要となる。
*野党・労働党のコービン党首は早期選挙を歓迎し、「多数派の利益を最優先する政府を信任するかどうか、国民が投票できる良い機会になる」と語った。
英、6月8日総選挙へ
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英首相、総選挙を6月に前倒しの意向 EU離脱へ政治的安定求める
英下院補選、保守党が得票率減らす サンダース氏兄は落選
http://jp.reuters.com/article/britain-eu-breakingviews-idJPKBN17L049
World | 2017年 04月 19日 10:43 JST 関連トピックス: トップニュース
情報BOX:英首相が総選挙前倒し表明、今後予想される展開
[ロンドン 18日 ロイター] - 英国のメイ首相は18日、6月8日に総選挙を前倒し実施する意向を表明した。選挙実施に必要とされる手続きと政治的な影響についてまとめた。
<どのような手続きが必要か>
解散総選挙の手続きは従来よりも複雑になっている。2011年議会期固定法が施行される以前は、政府は必要に応じて議会を解散して選挙を行うことができたが、同法によって総選挙は5年ごとに行われることになった。
前倒しで総選挙を行うには、下院は総定数(650議席)の3分の2以上の賛成により選挙実施の動議を可決する必要がある。つまり、434の賛成票が必要となる。
メイ首相は動議を19日に提出すると述べている。可決した場合、下院は総選挙の25営業日前に解散となる。6月8日に選挙実施ならば、5月3日に解散となる計算だ。
メイ首相の与党・保守党は現在、下院で330議席を握り、最大野党の労働党は229議席。労働党は解散総選挙に賛成すると表明しており、両党の議員全員が党の方針に従った場合、559の賛成票が集まり、動議が成立するとみられる。
<メイ首相が前倒しを決めた理由>
メイ首相はこれまで繰り返し、解散総選挙の可能性を否定してきたため、方針を急転換したことになる。昨年6月の国民投票で欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)が決まって以降、メイ首相は総選挙を実施するよりも政治の安定が必要と強調してきた。首相は総選挙前倒しを表明するにあたり、議会の分裂がすでに政治の安定を脅かしていることを示唆した。
首相は「国家の極めて重要なこの時期に議会は結束すべきだが、実際は分裂している」と批判した。
メイ氏はまた、「国民投票後に金融・経済危機に早期に陥るとの予想があったにもかかわらず、消費者信頼感は高水準を維持、雇用数は過去最高に達し、経済成長率はあらゆる予想を上回ってきた」と指摘し、政府の成果を強調した。
エコノミストらは、足元の英経済が相対的に堅調であることから、総選挙実施の時期としては適していると分析。
英政府は下院で17議席分と小幅な過半数しかないため、メイ首相は選挙前倒しを決める際に与党の高い支持率を示す世論調査に影響を受けた可能性がある。
ICMが18日行った調査によると、保守党の支持率は労働党を18%ポイント上回っており、ここ1週間の各種調査では20%ポイント以上の差が示されている。
ブックメーカー(賭け業者)などによると、保守党が選挙で過半数を獲得する確率は80%と高く、労働党は2%となっている。
<ブレグジットへの影響>
メイ首相は、総選挙の結果によってEU離脱の日程が変わることはないと表明している。選挙で勝利した場合、首相は国内の求心力だけでなくEUとの交渉に向けた基盤を強化することができる。
同氏は昨年、辞任したキャメロン前首相に代わり首相に就任しており、総選挙に勝利した経験がない。
6月の選挙に勝利すれば、次の総選挙は2022年となり、ブレグジットによる経済への悪影響が出た場合に対処する時間的余裕が生まれることになる。
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World | 2017年 04月 19日 11:16 JST 関連トピックス: トップニュース
英総選挙で、スコットランド独立へ機運高まる可能性=スタージョン氏
写真はスコットランド・グラスゴーでメイ首相との会合を終えたスタージョン首相。3月撮影(2017年 ロイター/Russell Cheyne)
[エディンバラ 18日 ロイター] - スコットランド自治政府のスタージョン首相は18日、英国のメイ首相が総選挙を6月8日に前倒しする意向を示したことについて、スコットランド独立に向けた自身の計画に弾みが付く機会になるとの認識を示した。
メイ氏はこの日、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)協議を優位に進める上で、議会での支持基盤を固める必要があるとして、総選挙を前倒しする意向を表明した。
スタージョン氏は「スコットランドに関しては(メイ)首相のこの動きは大きな政治的判断ミスだ」と指摘。「国民に(保守政府の)偏狭的で対立的な計画を拒否する機会を改めて与えるとともに、スコットランドの人々に将来の選択肢を与えるための民主的な責務を強固にするものだ」と語った。
スタージョン氏は離脱前の2018年終盤か19年初めにスコットランド独立の是非を問う住民投票の再実施を求めているが、メイ首相は適切な時期ではないとして反対している。
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フランス大統領選のリスクを同国の株価指数CAC40を活用してヘッジしたいなら、英国での先例を思い出すのが最善だ。
CAC40の主要構成銘柄にはLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンやロレアル、サノフィ、エアバスが含まれるが、これら企業は仏国内経済へのエクスポージャーが少なく、ユーロが下落すれば吉と出る可能性がある。英国民投票で欧州連合(EU)離脱が選択されると、ポンドはその後数カ月下落したが、これに伴って同国のFTSE100指数は最高値を更新した。
仏大統領選でポピュリスト(大衆迎合主義者)が勝利する可能性がある中で、投資家らの緊張は23日の第1回投票を前に続いており、欧州株下落に備えるコストは昨年6月の英国民投票以来の高水準となっている。それでも、グローバル経済へのエクスポージャーが大きい欧州銘柄がファンド資金を域内に呼び込み、CAC40指数は今月に入って2015年8月以来の高値を記録。その後は上げ幅を幾分削った。
CAC40構成銘柄企業の国内売上高は平均して、売り上げ全体の約4分の1にすぎないことをブルームバーグ集計データは示している。LVMHやダノン、ミシュラン、サノフィ、ロレアル、エアバスなどは、この比率が10分の1に満たない。
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パリに本社を置くアンプルジェストで9億5000万ユーロ(約1110億円)の運用に携わるアルノー・デランゴティエ氏は電話インタビューで、英国民投票「直後の激しい売りの後、英国で何が起きたか思い出してみればいい。ポンド下落に伴い、世界的企業の株価は値上がりした」と説明。「反ユーロの候補者が選ばれた場合、もちろんまずは外国人投資家を中心とする売り圧力を目にするだろうが、LVMHのようにフランス国内でのエクスポージャーが非常に小さい企業のファンダメンタルズに目を向ければ、どうして売りに回ることができようか」と問い掛けた。
英国民投票以降、ポンドは対ドルで約14%下落。これに対し、FTSE100は投票直前の水準を約13%上回っている。
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原題:Déjà Vu as France’s CAC Harks Back to FTSE 100 Before Big Vote(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-19/OOMVD86K50XS01
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